“葛藤の末にたどり着いた答え” であるミニアルバム
葵-168-『ニュークラシック』インタビュー
葵-168-『ニュークラシック』インタビュー
2018/10/12
──続いて楽曲制作についてお聞きしますが、全曲葵さんが作詞をされていますね。どのように曲作りを?
葵:僕は昔からずっと曲先行で、詞を先に書いたことはないです。メロディを聴いて思い浮かべて書くタイプなんです。例えば鼻歌で歌って、言葉の鳴りが一番良いものをざっくり当てていって、そこから広げていったりとか。曲はソロを始めた頃から作曲家の方に作っていただいています。当時はイメージをなかなか上手く伝えられていなかったんですが、最近は変化して。中でも渡辺拓也さんには当時からお世話になっていて、当時僕が葛藤していた頃も知っているので、「CANDY」とか「水葬」に関しては「昔の僕と今の僕をイメージして作ってください」ってお願いしました。
──1曲目の「eureka」はインスト曲ですがEDMの要素が入っていて、個人的に葵さんのイメージとは少し違うのかなという印象でした。
葵:実はこの曲、マニピュレーターをやってもらっているIPPEI(ex.FEEL/絶対的メメント)さんに作ってもらったライブのSEなんです。「eureka」というのはギリシャ語で「発見した」という意味で、「自分の中で答えが一つ出た」という意味をタイトルに込めています。ちなみに『ニュークラシック』の制作時期に作ってもらっていて、あえて今っぽい曲調にしたんです。「古いことも新しいことも、僕は知っているよ。それを踏まえて、自分の中で良いものを出していくから」というメッセージも込められています。
──IPPEIさんとはソロになってからの付き合いだとお聞きしました。
葵:そうですね、ソロ1stシングルから一緒にやっています。IPPEIさんはEDM的なサウンドも得意なので、イメージを話して作ってもらいました。
──先ほどお話に出た2曲目の「MUSIC」ですがいつ頃作られたのでしょうか?
葵:2年ちょい前かな。
──制作時間は?
葵:全曲に通して言えることなんですが、割とパッとできました。曲オケに関してもすぐに返ってきましたし。今作に関して、特に苦労したことはありませんでした。「MUSIC」は、涼平君から送られてきた曲をもとに歌詞を書いたんですが、当初タイトルは決めていませんでした。その前にコンセプトや書くことは決まっていて、自分が葛藤や苦悩していることを歌ってみたい、というのはあって。ただ、当時はリリースが決まっていなかったので、まったく言葉選びをせずに「ライブで歌う」ということだけを意識して作詞しました。「何かあったら、後で考えよう」ぐらいで。
──葵さんと涼平さんのタッグで、このキャッチーなサビは最高ですよね。
葵:ありがとうございます(笑)。多分ですけど、涼平君は、彩冷える初期の楽曲「ロマンサー」を意識して作ってくれたんだと思います。
──3曲目の「CANDY」は渡辺さんが作曲されていますね。
葵:「CANDY」は収録曲の中でも一番最近に作った曲で、今年の春ツアー前だから3月ぐらいです。
──オーケストレーションだったり、NAOKIさんのベースソロなど聴きどころが満載です。
葵:ベースソロは渡辺さんも僕も意識していなくて、NAOKI君が考えてくれたんです。想像していたもののはるか上を越えていたので、ファインプレイです(笑)。ソロは基本的にそれぞれのプレイヤーに任せています。
──歌詞についてですが、男性目線の歌詞なのかな? という印象でした。
葵:わざと恋愛モノに落とし込んではいるんですけど、実は違くて。対バンイベントに出た時に、僕目当てじゃないお客さんを見て思ったことを書いています。言おうか迷ったんですけど(笑)
──それを聞いて、聴き直したら曲全体のイメージがだいぶ変化しますね。
葵:『ニュークラシック』は全体的にラブソングにはなっているんですけど、「好き」だとか「愛してる」だとか一個もなくて。音楽を “辞めよう” から “もう一度やってみよう” って思い立ってから、今までの間に感じたことを色々な世界観に落とし込んで作っているんです。だから、闇深いです(笑)
──4曲目の「アザレア」は「CANDY」から一変して、女性目線のイメージで歌謡曲に近いですね。
葵:作曲を担当している岩井佑樹さんは、渡辺さん同様ソロになってから楽曲を書いてもらっていて。ソロになってからアダルトでジャジーな作品が多かったんです。その当時の要素も入れたかったので、僕のソロワーク作品をイメージしやすい作品だと思います。もともと僕は女性面線の歌詞を書くのが得意で、テーマになっているのが歌詞にも出てくる「何が正しくて、何が間違いか分からない世の中だな」ということで。結局、どう考えても闇だなと。正解がない中で、「正解は自分が決めるものだ」という問いかけみたいなものを色々な情景に落とし込んで表現してみました。でも、この曲は実は4年近く前から原曲があるので、昔から同じことを思ってたんだなと自覚しました(笑)
──5曲目の「水葬」はまた違ったイメージの楽曲ですが、どのように制作されたのでしょうか?
葵:僕はリアリティな世界観が得意なんですけど、もともとは非現実的なものをやりたくてヴィジュアル系を始めたので、そういった表現をした曲がが一つ欲しくて。音楽から離れて、映画や舞台に出て思ったのが、「世界を作るのって歌詞書く人の特権だな」と。もっと世界観こだわって作ってみたいなって思って作りました。あえて、映画や小説、漫画みたいに頭から終わりまで脚本みたいにストーリーを書き出してみて、歌詞に落とし込みました。で、「これは絶対ダメだな」という表現がたくさん入っているのをOKしてもらえたので、「徳間ジャパンさんありがとう」って感じています(笑)。まぁ直接的にダメなことは言ってないんです。ギリギリなラインだと思うんですけど。
──初めて聴いた時に、自然と「海」をイメージしました。
葵:まさにおっしゃる通り「海」です。サビで「果てない」って出てくるんですけど、水槽のように出口がない、スゴく狭い海の中で「死んでも離さないよ」って言っているイメージです(笑)。その中で言葉遊びというか、「水槽」と「水葬」をかけていたり。歌詞の言葉選びも同じことが言えて、例えば「棺桶」って言ってしまえば分かりやすいんですけど、「ショーケース」にしてみたり。少し、非現実になりそうな言葉の変え方をやっています。他にもギミックが多いですね。韻を踏んでいたりとか。こういった言葉の遊び方は、メジャーのフィールドで学んだことを多用していて、それに僕の暗い部分を混ぜ合わせた作品になっています。
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