“DAW女シンガーソングライター” 小南千明が試奏!
弾くのが楽しいエンタテインメント・キーボード KORG「EK-50」徹底レビュー
弾くのが楽しいエンタテインメント・キーボード KORG「EK-50」徹底レビュー
2018/12/26
KORG「EK-50」は、リアルで多彩なサウンドを奏でるキーボードとしての基本性能に加え、様々なジャンルをカバーした伴奏スタイルを内蔵している点が特徴です。これによって、コードを押さえるだけでイントロからエンディングまで1曲分のバッキング・アレンジを簡単にプレイすることができます。演奏では自分専属のバックバンドとして1人でも本格的なアンサンブルを楽しむことができ、曲作りでは伴奏を任せたりアレンジの参考にするなど頼れる相棒となります。そんな「EK-50」の魅力を紹介していきましょう。
文:平沢栄司 写真撮影:小貝和夫 / 編集部
撮影協力:Studio Bpm
◉ “DAW女” シンガーソングライター 小南千明さんによる試奏&コメント動画
◉基本スタイル280種類、名曲をモチーフにしたスタイル64種類の伴奏アレンジを内蔵
「EK-50」の伴奏スタイルは、8ビートや16ビートのオーソドックスなものから、ロックやダンスミュージック、ソウルやファンク、ラテンやジャズ、民族音楽など様々なジャンルを網羅。全280種類のスタイルが17のカテゴリーに分類されています。これだけでも十分ですが、更に、KORGのWebから新しいスタイルをダウンロードして追加することも可能です。
17のカテゴリーを合わせて全280種のスタイルが用意されている。カテゴリー名とその先頭にあたるスタイルのナンバーはパネル上で確認できる
それら通常のスタイルとは別に、名曲のアレンジをモチーフにしたミュージック・スタイルも64種類用意されます。元になった曲を演奏するときの伴奏にピッタリなのは当然として、名曲のアレンジを自分の曲作りに簡単に取り入れられるところも「EK-50」の魅力です。
伴奏スタイルは、MODEボタンでSTYLEかMUSIC STYLEのモードを選んだ後、テンキーで直接スタイルナンバーを入力するか、CATEGORYボタンで各カテゴリーの先頭のナンバーに移動した後にダイヤルを回して選択します。
SHIFT+STYLEボタンでミュージック・スタイルのモードへと切り替えると、スタイル名が見覚えある曲のタイトルになっている。その演奏もスタイル名から想像する通りのアレンジだ
カテゴリー→スタイルという階層構造ではないので、CATEGORYボタンを使わなくてもダイヤルを回していけば全スタイルを呼び出すことができる
◉176種類のリアルなPCMサウンド、伴奏に合うメロ音色の自動選択機能も用意
サウンドはコルグのシンセで定評のある音色から176種類を内蔵。こちらも、17のカテゴリーに分類されていて、KEYBORD SETモードに切り替えた後、テンキーによる直接入力かCATEGORYボタンとダイヤルを使って選択します。また、STSモードをONにすると、選択した伴奏スタイルにマッチしたメロディ用の音色を自動的に呼び出すこともできます。
音色のカテゴリーの一覧もパネルで確認できる
SHIFT+KEYBOARD SETボタンでSTSモードをONにしたときは、ディスプレイ上の音色番号表示部分が数字からSTSに変わり、上段に表示されているスタイルに適した音色が自動的に呼び出される。つまり、伴奏のスタイルを選ぶだけで演奏の準備が整うのだ
◉「EK-50」のバッキング演奏に合わせてメロディをプレイ!
「EK-50」の機能を活かしたプレイでは、右手でメロディを弾き、左手でコードを指定するのが基本。このとき、SPLIT機能をONにすると右手はKEYBOARD SETかSTSで選択された音色がUPPERパートとなり、左手はバッキング用のLOWERパートの音色にスプリットされるのでお勧めです。また、ENSEMBLEボタンをONにすると、左手で指定したコードに合わせて自動的に右手で演奏するメロディにハーモニーが付くので、単音で演奏しても重厚なサウンドが得られます。
伴奏スタイルを使うときはSPLITをONにするのがオススメ。よりリッチな演奏にしたいときは、ENSEMBLEボタンもONにしよう
演奏したい曲のスタイルを選択したら、SYNCHRO START/STOPボタンをONにした後、低音域でコードを押さえると、そのタイミングでバッキングの演奏がスタートします。
必ずすべてのコードの音を押さえる必要はなく、メジャーコードならばルートのみ、マイナーコードならルートとマイナー3度の2つを押さえればOK。dimやaug、sus4、6thや7th、9th以上のテンションを含むコードも押さえたフォームから認識してくれます。
左手を離してもコードはホールドされるので、鍵盤に不慣れな人でもスムーズに次のコードが指定できるようになっています。
◉曲の展開に合わせてバッキングをリアルタイムでアレンジ!
各スタイルには、1〜4までの4つのバリエーションが用意されています。数字が大きくなるほどアレンジが豊かになり、その中から気に入ったものを選べるのはもちろん、AメロやBメロ、サビとへ進むタイミングでボタン操作でバリエーションを切り変えれば曲の展開に合わせて盛り上げていくといった演出も可能です。また、リズムにアクセントを付けたいときには、FILLボタンとCOUNT IN/BREAKボタンが活躍します。いずれも、ボタンの色(赤、緑)や明滅(点灯、消灯、点滅)で選択しているものや切り変わるタイミングが分かるようになっているのがいいですね。
また、ぜひ聴いて欲しいのが、INTRO/ENDINGボタンを押すと流れる各スタイルに用意されたイントロやエンディングのアレンジです。こちらは、あらかじめスタイルにマッチしたコード進行で演奏されるようになっているので、ボタンを押したら後は「EK-50」にお任せでOKとなっています。
伴奏アレンジをリアルタイムでコントロールするボタン群。左手で弾く音域の少し上のあたりのパネルに並ぶので、演奏しながらでも操作しやすい
そして、バッキングを構成するドラム、パーカッション、ベースなどのパートは、それぞれボタン操作でON/OFFすることが可能なので、不要なパートをミュートしたり、展開に応じて抜き差しすることでもバッキングに変化を加えることが可能です。
PART MUTEボタンを消灯させるとそのパートをミュートできる。下段はバッキングを演奏する4つのパート、上段はスプリットした際の左手パートとメロディを弾く右手パートのレイヤーごとのミュートができるようになっている
◉作曲時の相棒としてもオススメ!
簡単な操作で本格的なバッキングが自動演奏できる「EK-50」は、作曲やアレンジのパートナーとしてもお勧めです。演奏をレコーディングするシーケンサーも内蔵しているので、思いついたメロディを伴奏付きでサッと演奏&記録できます。また、普段は自分で演奏しないようなジャンルのバッキングから新しいアイディアを貰ったり、そのジャンルの伴奏アレンジを理解する際のお手本としても重宝するでしょう。
◉その他の注目ポイント
リアパネルには、USBメモリーやパソコンとの接続で利用するUSB端子(Aコネクタ、Bコネクタ)が並んでいる
背面には、2系統のUSB端子が用意されています。AコネクタにUSBメモリーを接続すると、Webから落としたスタイルを本体に読み込んだり、メモリーに保存されていてるオーディオ・ファイルを再生することができます。
既存のマイナスワン音源やDAWなど音楽制作ソフトで作成したカラオケを再生しながら「EK-50」を演奏するのも面白いですね。
また、BコネクタをUSBケーブルでパソコンと接続すれば、入力用の鍵盤として使ったり音源部をDAWから演奏するなど、「EK-50」をDTMシステムに組み込むことができます。
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本格的な演奏にも対応する標準サイズの61鍵キーボード(ベロシティ付き)を採用しているので、ややボディは大柄ではあります。でも、見た目よりもずっと軽量で、さらに、電池駆動が可能でスピーカーも内蔵しているので、部屋の好きな場所で演奏したり外に持ち出したりと、場所を問わずカジュアルにキーボード・プレイが楽しめます。
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