有名モニタースピーカーが一堂に集結!
【イベントレポート】SONIC ACADEMY SALON発表会 & モニタースピーカー試聴&展示会
【イベントレポート】SONIC ACADEMY SALON発表会 & モニタースピーカー試聴&展示会
2020/02/05
有名モニタースピーカーをプロのエンジニアが徹底レビュー!
レビュワー:伊永拓郎(エンジニア)
「SONIC ACADEMY SALON(ソニアカ)発表会(2019年12月10日)」の特設会場で行なわれた、「有名ブランドのモニター試聴&展示会」に出展されたモニタースピーカーについて、エンジニアの伊永拓郎氏にさらに詳しく話を聞きました。
IKマルチメディア「iLoud MTM」(オープンプライス=¥43,000前後/1本)
↑2016年に発売された iLoud Micro Monitorは、そのサイズを超えた低音域の再現力と正確な原音再生能力で、プロ/アマの音楽制作者からエンジニア、ハイファイオーディオマニアまで、幅広い層に驚きを与えると同時に、モニタースピーカー業界を震撼させた。この iLoud MTMは後継機で、現代のスタジオ・リファレンスモニターの音質を備え、リニアな位相特性、音像の正確さ、使いやすさのすべてに革命をもたらす最新モデルだ。 問:IKマルチメディア https://ikmultimedia.com
使用する部屋を選ばない音場補正システムを搭載。
徹底的にユーザビリティを追い求めたモニター
ローがしっかりと出ているのをまず感じました。今の時代のローの出し方を考慮して音作りがされているなと思います。
本体に音場補正のボタンが複数用意されていて、様々な作業環境に適応させる設定が手軽に行なえて便利です。特に、机の上に直接置いて使用する場合のプリセットである「DESK」は、机で起こるローの共振も考慮されたいい設定だと思いました。
また、音場補正用のマイクが付属しているので、使用する部屋に合わせて、より詳細な音場補正が可能です。縦置きも横置きもできるし、置き方をアレンジしても同じ聴こえ方をキープできる点対称なデザインと、コーンの配置も好印象です。そのデザインの恩恵もあってか、定位もバシッと決まります。
タンノイ「GOLD 5」(オープンプライス=¥20,000前後/1本)
【製品概要】タンノイ伝統のデュアルコンセントリック(同軸)方式の最新スピーカー。「同軸」とは、ウーファーとツイーターを同軸に配置するだけでなく、それぞれの位相が完全に一致するように作られているスピーカーのこと。滑らかなベース音とダイナミックなアタック音が特徴だ。GOLD5(5インチ)は200W、GOLD7(6.5インチ)とGOLD8(8インチ)は300Wという3機種がラインナップされている。 問:キクタニミュージック㈱ http://www.kikutani.co.jp/tannoy/gold.html
シャープな定位と原音に忠実なサウンド。
低域から高域まで、ナチュラルに再生してくれる
今回試聴した中で唯一の同軸タイプです。僕は以前に同軸タイプのモニターを使っていたので、 すごく耳馴染みが良かったです。
シャープな定位と原音に忠実な再生音という、同軸ならではの特徴がよく出ていると思います。スペック上だと再生帯域は49Hz〜20kHzとのことですが、試聴した環境ではもっと上下が伸びているように感じました。どんな音量で再生しても、低域から高域まで、しっかりとナチュラルに再生してくれる印象です。
前面の「HF trim」ツマミでツイーターの音量が調節できるのですが、この変化の具合がまた絶妙で、部屋の反響でキンキンしがちな出音をチューニングすることができます。何よりコスパがいい! この音でこの価格は驚きです。
フォステクス「NF04R」(¥50,000/1本)
【製品概要】衝撃的なサウンドとそのルックスで大ヒットとなった、あの伝説のNF1の誕生から20年。その伝統を受け継いだだけではなく、新しい技術を採用したNF04Rは、NFシリーズ初となるアルミダイキャスト・ボディを採用し、4インチのHR形状ウーファーユニットを搭載した革新作だ。エッジの逆共振を排除してくれる「UDRタンジェンシャル・エッジ」と「プッシュプル・ダンパー」により、直線性に優れたレスポンスのいい中低域を実現している。 問:フォスター電機㈱フォステクスカンパニー https://www.fostex.jp/
小音量から大音量まで脚色されない自然なサウンドを
スピーカー全体がしっかりと震えて鳴らしてくれる
まず、コンパクトな筐体からは想像できないくらいパワフルな出音が印象的です。
大音量にしてもスピーカー全体がしっかりと震えて、筐体全体で鳴らしてくれるようなイメージです。コンパクトなモニタースピーカーは内部のEQなどで低音をブーストしがちですが、本機の場合はその印象がなく、脚色されていない素直な出音だと感じました。そのため、ミックスの際の楽器ごとのノイズチェックやEQ、コンプをかける作業がやりやすいと思います。
おかしな部分があった場合にきちんとおかしく聴こえてくれる、こういったモニターを1台は持っておきたいですね。外部スタジオに持ち込んで、いつもと同じスピーカーでチェックする使い方にも最適だと思います。
アダム・オーディオ「S2V」(オープンプライス=¥410,000前後/ペア)
【製品概要】創立20年の同社の製品は、解像度の高いリボンツイーターと忠実な原音再生が特徴で、一躍プロスタジオの定番となったブランドだ。常に革新的な新しい技術を投入し、プロの要望に応え続けるその質実剛健なベルリン気質で、世界中のエンジニア達から信頼を寄せられている。今回試聴したSシリーズは、ニアフィールドからミッドフィールド、そして大規模スタジオのメインモニターまで、どの用途にも適している。 問:ソニックエージェンシー㈱ https://www.sonic-agency.com
アダムと言えば解像度の高いリボンツイーターが特徴。
パキッとした見やすいハイは最大の魅力
まず、ストリングスやピアノなどのアコースティック楽器の息遣いや部屋鳴りがよく感じ取れます。
前モデルのS2Xでは、サブウーファーを併用してキックやベースを見えやすくするという使い方をされるエンジニアさんも多かっんですけど、このS2Vは低域の量感も豊かで、コーンの動きにも余裕があるため、S2V単体でローエンドの判断ができるように設計されていると思いました。サブベースが当たり前に使われるようになった現代の音楽性にもマッチしています。
リスニングポイントで聴くと、かなりキャラの異なるツイーターとウーファーがしっかりまとまって1本のモニターに聴こえるのが面白いですね。リズム録りでガンガン鳴らしたいモニターです。
PMC twotwo.6(¥660,000/ペア)
【製品概要】レコーディングスタジオや放送局など、プロフェッショナルな現場での信頼が高いPMC(Professional Monitor Company)は、イギリスの老舗音響メーカーだ。このtwotwoシリーズはコンパクトサイズで、スペースが限られた放送車や個人ユースにも対応しており、デジタル入力やDSPを搭載するなど、先進的な仕様になっている。ウーファーの大きさが違う8インチ、6インチ、5インチの3モデルをラインナップしている。 問:オタリテック㈱ http://www.otaritec.co.jp
どの音量でもローエンドのバランスが崩れない、
上品で歪み感のないストレスフリーな出音が魅力
今回試聴した中では、最も強いキャラクターと設計思想を感じるモニターでした。
特に同社独自のATL(Advanced Transmission Line)技術によって生まれる低域は、今まで聴いたことのない「透き通ったローエンド」という印象を受けました。ツイーターも含めた全体の印象は、どこか上品さを感じます。歪み感のないストレスフリーな出音なので、結構大きな音量を出し続けていても耳は疲れにくいと思いました。
ローエンドのバランスがどの音量にしても崩れないのも好印象です。今回は試せませんでしたけど、DSPエンジンによる細かなチューニングも可能とのことです。「次世代の音はこうなって行きますよ」と提案してくれているようなモニターでした。
- 1
- 2
関連する記事
2018/05/26
ニュース
2023/12/25
2023/12/20
2023/12/18
インタビュー
2023/03/23
2022/09/15
2022/05/26
2022/01/26
特集/レビュー
2023/04/03
レクチャー
2022/11/15
2022/11/01