本人インタビューあり
谷口尚久、4年ぶりのシングル「SPOT」をリリース!
谷口尚久、4年ぶりのシングル「SPOT」をリリース!
2020/06/30
様々なアーティストへ楽曲提供をしているギタリスト、谷口尚久が4年ぶりのシングル「SPOT」を2020年7月22日にリリースする。ここでは、本人のインタビューを交えて新作の聴きどころを紹介していこう。
──久々のリリースおめでとうございます。
谷口 : ありがとうございます。
──前作の5曲入りEPが2016年ですから4年ぶりですよね。
谷口 : そうですね。ファーストアルバムが2010年ですから、5年ごとに何かしら作品をリリースしているペースになります。ただ曲数はどんどん減っているんです。笑
──今回は初めてシングルというリリース形態なのはどうしてなんですか?
谷口 : 1曲作ってるうちに時間が過ぎてしまった、というだけですね。曲の骨格は3年ぐらい前には出来ていて、当時出そうと思っていたレーベルの上の方に聴かせたりもしてたんですけど。この3年で自分の制作環境に大きな変化があって、それで自分の出来ることもどんどん変わっていったから、というのも理由です。
──どういう変化ですか?
谷口 : 一番大きいのは、自分のスタジオであるWAFERS STUDIO (ウエハース・スタジオ) を新しく構えたことです。そこでミックスまで完結出来るようになりました。また生楽器の録音も出来るようになったので、昔やっていたトランペットの練習を再開したんです。
──今回の作品でも吹いていますよね。
谷口 : はい。そして、友人の宮川弾に誘われて楽器屋にフリューゲルホルン を試奏しに行って気に入ってしまい、彼より先に購入し練習し始めたんです。
──それで今回の曲のテーマとなるメロディが、トランペットとフリューゲルホルンなんですね。
谷口 : やっぱり、鍵盤やギター以外の楽器で主メロを演奏できるというのは大きいですね。これまでの作品と一番異なる点だと思います。いや、DOT3ではトランペットを吹いてたか。それほど前面には出せなかったですけど。
──あと今回の作品は、自身のレーベルからのリリースとなりますね。
谷口 : そうなんです。WAFERS recordsというレーベル名は2001年から使っていて、その後放りっぱなしにしていたんですけど、新生WAFERS STUDIO立ち上げを機に再開することにしました。というのも、こういう制作環境を作ったので、自分が懇意にしているミュージシャンの作品を作りたいと思ったんです。制作からリリースまでお手伝いできるのは、自分としても嬉しいことなので。
──なるほど。ではこれから先、WAFERS recordsから他のアーティストのリリースがあるということですね。
谷口 : まあ、まだ何も決まってませんけど。そうできると楽しいだろうなと思います。
──あとは、今回の作品には映像も用意されていますね。
谷口 : はい。最近知り合った西郡勲さんという映像作家のテイストが今回の曲に似合うだろうと思ってオファーしたら引き受けて下さったんです。これはラッキーでした。
──音とシンクロする映像が気持ちいいです。
谷口 : その通りです。西郡さんもそうおっしゃってました。やっぱり映像が付くと音の意味合いが変わります。より動的になるというんでしょうか。ありがたいことです。
──コンセプトはどうやって決めたんですか?
谷口 : 特にこちらからは指定しませんでした。最初に西郡さんが「谷口さんの人物像を映像にしてみます」と言っていたんです。で送られてきたのを見て、なるほどと思いました。自分のイメージというよりは、自分は曲のイメージにぴったりだと思ったんですが、ま、自分の曲イコール自分ですからね。
──なんというか「附に落ちる映像」だと思いました。
谷口 : そうですね。自分は曲を通して具体的な意味や感情を伝えようとは思ってません。ただ自分の頭の中にあるイメージを人に伝えるためには音楽にするのが一番良いんです。そのイメージというのは、明るいとか悲しいとかいうような言葉には表せないものです。ただ、誰かの何かのきっかけになるような、背中を押すようなそういう曲を作りたかったんだと思います。
──そういう曲は仕事の中でも作ってるのではないですか?
谷口 : うーん、作ってるとも言えますが、やはり仕事として作る時は相手がいるわけで、クライアントだったりその先のエンドユーザーだったりの目線で調整をしながら作ってます。今回はそうじゃないんです。マーケティングのない制作、ということですね。俺はこういうのいいと思うんだ、どう?という問いかけを、世界中のどこかにいる誰かに発信しているだけ、という。
──なるほど。パブリックに向けたのではなく、あくまでプライベートな視点で制作された曲なんですね。
谷口 : そうです。
──だから、演奏も自分ひとりでやったということですか?
谷口 : それは違うと思います。たぶん。いや、違わないか。自分が演奏をするのは、こういう演奏が欲しいというものを音にするには自分で演奏するのが一番だからだと思います。他人に演奏の方向性を伝える時に、誰かを例に挙げたりジャンルを言ってしまうと、その言葉に縛られてしまうじゃないですか。そうじゃないものが欲しいので。なので、いったん譜面に起こしてそれを練習して演奏する、ということを今回はかなりやってます。
──つまり必要だから全部演奏した、と。
谷口 : そうですね。そうすることにアイデンティティがあるわけではなく、そうせざるを得なかったという感じかな。
──ありがとうございます。今後の予定などあれば教えてください。
谷口 : えっと、特に決まってません。でも WAFERS STUDIO を使って作品を残したいと考えている人は随時募集しています。そしてWAFERS recordsからリリースできる作品が生まれると嬉しいです。ありがとうございました。
(取材・文 服部旭)
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