コードアルペジオとリフの対比
アジカン「それでは、また明日」を解説【ツインギター・サウンド 研究 第2回】
アジカン「それでは、また明日」を解説【ツインギター・サウンド 研究 第2回】
2015/11/26
ギターバンドのヒット曲を音作り、ミックス、譜例を交えて解説する連載企画「ツインギター・サウンド研究」。第2回は、ASIAN KUNG-FU GENERATION「それでは、また明日」を取り上げよう。
今回の解説曲:ASIAN KUNG-FU GENERATION「それでは、また明日」
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『ランドマーク』収録
キューンミュージック
KSCL-2120/1
●ベーシックなコードのアルペジオにリフや刻みフレーズで彩りを添える
この曲は、左に定位されたギターがベーシックなコードを淡々と弾くことで空間を埋めているのに対し、右のギターはテーマ的なリフを弾いたり、ザクザクと8分で刻んだりと、様々な奏法を駆使して楽曲に彩りを添えています。
サウンドメイクとしては、右のギターはアンプの前に立てたマイクの音だけではなくて、部屋の空気感を活かすためにオフマイクの音も混ぜているように感じました。一方、左のベーシックなカッティングギターは、もう少し響きの少ないサウンドという感じです。
アレンジとしては、左右のギターの音を抜き差しするようなドラマチックなアンサンブルではなくて、常に2本のギターを淡々と鳴らし続けているような印象ですが、間奏のところでワウのかかったギターの音が大きくなって、またすぐに元に戻るのは面白いアプローチですね。そこ以外は基本的に2本の音量バランスも最初から最後までずっと同じですし、ベースも終始リフを繰り返しているので、ミックスの時は2本のギターとベースの絡みを強調するように心掛けていたのではないでしょうか。
全体的な印象としては、例えばバンプ・オブ・チキンとかに比べるとギターの重心が低くて、あえてボーカルを最優先させるようなEQ処理はせずに、バンドサウンド全体が「音の塊」になるような、一体感のある音作りをしています。
アンプシミュレーターでの設定例
GUITAR1
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GUITAR2
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ギター1とギター2共にクランチ気味のサウンドが特徴なので、ローミッドからハイにかけてバランス良く音を出すセッティングにするのがポイントだ。ギターの単音フレーズをツブ立ち良く聴かせたいので、あまり歪ませ過ぎないように気をつけよう。
全体の定位
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左右にバッキングのギターを配置し、センターにボーカルとスネア、ベース、キックが定位している。右のギターはリフや刻みを弾き、間奏ではワウとリバーブをかけている。左のギターは、ベーシックなコードを淡々と鳴らすことで、空間を埋めている。
「それでは、また明日」風のツインギター・フレーズ
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譜例では、ブリッジミュートをしながら8ビートで単音を刻むギター1と、2小節単位という長いスパンでフレージングをしているアルペジオのギター2を絡めている。どちらもCm7のコードトーンである7thやマイナー3rd、ルート音を使ってコード感をしっかりと出しつつ、音程差を付けることで2本の違いを演出している。
ミックス分析:上村 量(エンジニア)
取材:黒田隆憲
譜例作成&解説:野村大輔(ギタリスト)
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