立体感のあるユニゾン的アプローチ
BUMP OF CHICKEN「firefly」を解説【ツインギター・サウンド研究 第3回】
BUMP OF CHICKEN「firefly」を解説【ツインギター・サウンド研究 第3回】
2015/11/27
ギターバンドのヒット曲を音作り、ミックス、譜例を交えて解説する連載企画「ツインギター・サウンド研究」。第3回は、BUMP OF CHICKEN「firefly」を取り上げよう。
今回の解説曲:BUMP OF CHICKEN「firefly」
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トイズファクトリー
TFCC- 89396
●ユニゾン的なアプローチをしつつ時おり休符やオブリを加えて曲に立体感を出す
この曲は左右に振り分けられたエレキギターの両方がバッキングを担当することによって“音の壁”のようなギターアンサンブルを作っています。聴感上は2本に聴こえますが、もっとたくさん重ねている可能性もありますね。しかし、いずれにしても曲の軸となっているのは、左右のエレキギターです。
フレーズ的には、パッと聴いた感じではユニゾンのようですが、よく聴くと左のギターがジャキジャキとコードカッティングをしているのに対して、右のギターは随所で休符を入れたり、ちょっとしたオブリを入れたりしていて、2つのサウンドが合わさった時に立体感が出るように構築されています。
サウンドメイキングでは、左のバッキングギターにコーラスを薄くかけているか、もしくはダブルトラックにしている点が注目ですね。そうすることでフランジング効果が生まれて、キラキラした爽やかなサウンドになるんです。左右のギターのフレージングやアタック感の違い、ニュアンスの違い、そして音色の違いによって生み出される音像の奥行きと広がりが、この曲のギターアンサンブルの特徴だと言えるでしょう。
また、左のギターのロー成分が全体的に抑えられていますが、これは中高域にいるボーカルの邪魔にならないようにEQでローをカットしているのでしょう。そういう意味では、「ギターをガッツリ聴かせる」というより、むしろ「歌を大切にしたミックス」ですね。
アンプシミュレーターでの設定例
GUITAR1
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GUITAR2
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両方のギターが中~高音域を中心とした爽やかなサウンドを出すセッティングになっている。また、アンプはフェンダー系のギラギラした感じよりも、やや落ち着いたマーシャルタイプを使い、マイクはコンデンサータイプをチョイスするのがオススメだ。
全体の定位
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両方のギターが中~高音域を中心とした爽やかなサウンドを出すセッティングになっている。また、アンプはフェンダー系のギラギラした感じよりも、やや落ち着いたマーシャルタイプを使い、マイクはコンデンサータイプをチョイスするのがオススメだ。
「firefly」風のツインギター・フレーズ
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ギター1は開放弦を使ったコードストロークが中心で、ギター2が同じポジションでアルペジオを弾くことでメロディックな雰囲気を作り出している。この2本が重なった時に厚みのあるバンドサウンドになるのだ。6弦から1弦までまんべんなく使っているので、低音域から高音域までレンジが広く、楽曲全体の帯域を埋めているのにも注目してほしい。
ミックス分析:上村 量(エンジニア)
取材:黒田隆憲
譜例作成&解説:野村大輔(ギタリスト)
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