神様が与えた奇跡の才能、左手のピアニスト

ニコラス・マッカーシー、東京の小学校を訪問!

ニコラス・マッカーシー、東京の小学校を訪問!

2016/02/10


/

ニコラス・マッカーシー
 

右手を持たずして生まれ、左手のピアニストとして活動するニコラス・マッカーシーが、来日中の2月9日、東京・千駄木の汐見小学校を訪問し、子どもたちにエールを贈った。

今回の試みは、教育に深い関心をもつニコラスが、日本の小学生との交流を熱望し実現。体育館一杯に集まった子供たちから大きな拍手で迎えられながら登場すると、音楽との出会いや、ピアノを始めたきっかけなど、自身のこれまでの人生を振り返りながらデビュー・アルバム「ソロ~左手のためのピアノ編曲集」から3曲を演奏。子供たちとコミュニケーションをとりながら、ニコラスのモットーである「Anything is possible」“あきらめなければなんだってできる!”という熱いメッセージを伝えた。また、この日のために練習してきたという日本の唄「さくらさくら」、「雪」なども演奏。「雪」では子供たちがニコラスとピアノを囲むように集まり、体育館いっぱいに大合唱が実現した。

<演奏曲目>
1.    スクリャービン:2つの左手のための小品 Op.9~第2番『夜想曲』
2.    ショパン/ゴドフスキー編曲:練習曲 第12番ハ短調『大洋』
3.    スクリャービン/シミーロ編曲:練習曲 第12番嬰ニ短調『悲愴』
4.    さくらさくら
5.    雪
 

/


 

/

 

ニコラス・マッカーシー 来日中のスケジュール

■2月10日 サントリーホール、ブルーローズでお披露目コンサート
■2月11日 フリー・ライブ
・代官山 蔦屋書店内「Anjin」11:00~
・渋谷PARCO前13:30~
・埼玉県 ワカバウォーク 16:30~
■2月13日(土)フリー・ライブ
14:00~ タワーレコード渋谷店 7F イベントスペース
★詳細はこちら

■ニコラス・マッカーシー 来日記念!「ニコラス本人があなたの企画でピアノを弾きに行きます!!」実施中!
http://wmg.jp/artist/nicholasmccarthy/news_68405.html
 

最新作品情報

ソロ~左手のためのピアノ編曲集
Nicholas McCarthy Solo
■仕様:CD/WPCS-13330 ■価格:2,600円(+税)■海外発売日:9月18日
The one hand pianist:ニコラス・マッカーシー、全てを乗り越えた鮮烈のデビュー・アルバム!左手による、左手のための作品集。左手のために作/編曲されたレパートリーを中心に、ニコラス自身による編曲も収録。プッチーニからガーシュウィン、純・クラシックからライト・クラシックまでと幅広く、これまで彼を支えてきたファンに対するニコラスの感謝の気持ちが詰まった、ギフトともいえる作品。

【収録曲】
1.    エイナウディ/マッカーシー編曲:I Giorni
2.    マスカーニ/マッカーシー編曲:『カヴァレリア・ルスティカーナ』より間奏曲
3.    プッチーニ/マインダース編曲:私のお父さん
4.    ベッリーニ/フマガッリ編曲:清らかな女神よ
5.    ラフマニノフ/マインダース編曲:ヴォカリーズ
6.    リスト/ジチー編曲:『愛の夢』第3番
7.    ショパン/ゴドフスキー編曲:練習曲 第3番ホ長調『別れの曲』
8.    ショパン/ゴドフスキー編曲:練習曲 第12番ハ短調『大洋』
9.    スクリャービン/シミーロ編曲:練習曲 第12番嬰ニ短調『悲愴』
10.    スクリャービン/シミーロ編曲:練習曲 嬰ハ短調 Op.2-1
11.    スクリャービン:2つの左手のための小品 Op.9~第2番『夜想曲』
12.    ブルーメンフェルト:左手のための練習曲 変ニ長調 Op.36
13.    アール・ワイルド:ガーシュウィンによる7つの超絶技巧練習曲~第3番『私の彼氏』
14.    ガーシュウィン/マッカーシー編曲:サマータイム
15.    R.シュトラウス/マン編曲:『明日』 Op.27-4

 

ニコラス・マッカーシー(エピソード)

ニコラス・マッカーシーは、ロンドン郊外サリー州タッドワースで育った。子供の頃から電子ピアノで遊ぶ少年だったが、音楽を習ったことはなかった。それが14歳の時に友人が弾いたベートーヴェンのソナタ『ワルトシュタイン』に大感激して、「僕は、コンサート・ピアニストになる!!」と決心する。それから両親に量販店で買ってもらった廉価なキーボードで、最初は独学で練習し、後に先生のレッスンを受けたりするなか、15歳で地元の音楽学校に通う話が持ち上がる。

ところが、学校のオーディションを受ける段階で、腕のことが伝わると、「音階も弾けないじゃない」と拒否されてしまう。そのやりとりの過程で、ニコラスは、学校側に「僕が弾きたいのは音階ではなく、音楽なんです」と頼むが、やはり入学が認められることはなかった。この一件がニコラスの本能に火をつけた。絶対にコンサート・ピアニストになってみせる。それからネットで情報をこまめに収集するようになり、17歳の時にロンドンのギルドホール音楽演劇学校のジュニア部門でオーディションが行われることを知る。今度は、腕のことを隠して受験し、審査員たちを驚かせることになったが、無事に名門に入学することが出来た。

でも、本当の試練は、ここから始まった。他の生徒は、3,4歳からクラシックのトレーニングを始めて、モーツァルトやベートーヴェンを練習してきたわけだが、その基礎がニコラスにはない。しかもクラシック・ピアノの基本は、右手が主旋律、左手が伴奏というスタイル。これに当てはめると、ニコラスは、伴奏の練習しか出来ない。学校の授業は、全然楽しくなかった。そんな時に出会ったのがスクリャービンの作品だった。ようやくニコラスのピアノ人生のチャレンジが本格始動し、それから目標をクリアすることに没頭したことで、学校の年間ピアノ賞を受賞するまでになった。

それから一流音楽学校として世界的に知られる王立音楽大学に進み、大学では毎日6時間の練習に励む。その結果、2012年に名門音楽学校の130年の歴史で、初めて左手だけでピアノ科を卒業した学生という名誉に輝くが、彼自身は、大学での収穫はそんなことではないと考えている。実に豊富な左手のためのレパートリーを発掘出来たことが大きな喜びだった。ニコラスがUKで初めて編成された障害者によるオーケストラ、「パラオーケストラ」に参加した時、盲目と弱視の2人に「左手だけで演奏しているなんて全然にわからなかったと言われて、すごく光栄だった」と語っているが、ペダルを駆使すること、左手を低音部から高音部に超高速で動かすことで、この素晴らしい演奏が成り立っている。

ちなみにパラオーケストラで大学卒業直後の2012年、ロンドンで行われたパラリンピックの閉会式で、約8万人の観客の前で、コールドプレイと一緒に演奏したことが大切な想い出になっているという。彼のピアノについて、王立音楽大学ピアノ科の主任教授ヴァネッサ・ラターシャ先生は、1本の腕で90分のリサイタルを行える驚異的な持久力を身につけた努力を称えつつ、「障害を乗り越えて、不可能に見えることを可能にしていく彼の姿は、他の多くの学生の素晴らしきインスピレーションになった」と、メディアのインタビューで語っている。

ニコラスは、現在も1日4時間の練習に加えて、毎朝3マイルのジョギングをしてスタミナを養っている。ただ走る理由はもうひとつある。ピアノに出会う前は、シェフになりたいと思ったくらい料理すること、食べることが大好き。今もリラックスしたい時は、料理をする。体重維持のためにもジョギングが必要なのだ。
 

この記事の画像一覧

(全4枚) 大きなサイズで見る。

関連する記事

関連する記事

PAGE TOP