──今回のレコーディングはバンドのスタジオ「ユナスタ」で主に作業をされたそうですね。

未緒：苦労を感じることなく進められました。今までよりも楽というか、スゴく効率よく作業が進められたんですよ。

莎奈：当初ユナスタでレコーディングするにあたって、ネックというか気になっていたのは、ヴォーカルとドラムを録ったことがなかったので、ちゃんとCDに収録できるようなクオリティでできるのかを心配していました。あと、当時のシステムの関係でマイクをたくさん立てることができなくて、普段と同じ本数は立てられなかったんですけど。レコーディングという面ではいつも通りにできました。ただ、レコーディングができても使い物になるという保証がなかったんです。今考えると、よく試しもせず本番をやったなって思います。

LiN：何よりも最初は機材集めが大変でしたね。一応レコーディングができる最低限のものは揃えていたんですけど。

──そもそも、ユナスタを作ろうと思ったきっかけは？

LiN：以前、渋谷公会堂でのワンマンライヴ前にスケジュールにリハーサルがたくさん入っていて、色々と場所を押さえたりとか時間の調整が大変で。じゃあスタジオ作れば良いじゃんって思ったんです。それでメンバーにも呼びかけてたんですけど “そうだね、作りたいね” って話をするだけで止まっていて。

未緒：きっかけはたくさんあるんですけど、印象的だったのはLiNさんが “俺、もう家じゃ曲作れないからスタジオに閉じ込めてくれ！　できるまでそこから出さないで！　” って言って。LiNさんはそこまで追い込まれていたんです。

莎奈：よほど『UNiVERSE』で1曲しか収録されなかったことが心残りだったんですね。

──それがLiNさんを奮い立たせるターニングポイントになったんですね。

LiN：そう言いたいところなんですけど、それはもうちょっと先かなって。というのも、もしかしたら俺のその闘争心が「ジュピタ」で完全燃焼してしまうかもしれないので。だからもうちょっと曲作りで結果を出してからだと。

結：でも最近ユナスタで結構早いペースで曲いっぱい作ってるよね？

LiN：うん。今までのスピードで換算すると3年分ぐらい作ってます。だって、去年は1曲、一昨年は「ice」と「WONDER f∞l PEOPLE」の2曲だけなんで。

──ところで、その「ice」などの楽曲をライヴで披露する際、音源とは違うアレンジを加えることが増えましたよね。

LiN：以前はライヴでも音源通りに演奏するバンドだったんですけど、莎奈さんが加入して変わりまして。彼、結構自由にライヴやる人なんです。いきなりブレイクをしたりするんですよ。

莎奈：ライヴ中にふと “やってみよう” って思うんですよ。同じパターンが数回続く曲だったら、みんなのフレーズを良く聴いて。全員が止まる瞬間を探し出して、“次のとこでやってやるぞ” みたいな。俺の中で「ライヴしている」って何となくそういう感じなんです。

──遊び心があるんですね。

莎奈：その日だけしか聴けないっていうのもあるし、その時にだけ思いつく面白さが出るのが一番良いかなって。

──全国ワンマンツアーが開催されますが、日程の中に沖縄で「裏ファイナル」という公演が行なわれますよね。

未緒：結構前からLiNさんがダーツで何かをやりたいっていう案を出していて、今年のスケジュールを考えている時に、そろそろやりましょうよって話になりまして。じゃあどこでダーツをやろうかってことを考えた時に、“今年の年越しでやるか” とか “どこか単発で地方公演やろうか” など意見が出たんですけど、どれも現実的ではなかったんです。それで “じゃあ、ダーツで裏ファイナルの開催場所を決めよう。なおかつ場所は今まで行ったことがないとこでやるのが面白そうだよね。” って。そしたらまさかの沖縄になりました。

──見事LiNさんがダーツで射止められたそうですね。

LiN：俺はずっとダーツで沖縄に行きたいって思ってましたので、念願が叶います。

莎奈：正直本当に行くことになるとは思っていませんでした。

──それでは最後に今回のツアーに対する意気込みをお願いします。

莎奈：5周年記念の東京ドームシティホールでのライヴが僕らとしてスゴくいい内容だったので、その勢いを崩さないような良い公演ができたら良いなと。これはいつも思っていることなんですけど、その日しかできないことを精一杯頑張るのって当たり前なんですけど実際ツアーだと特に難しくて。2Daysとかになると余力を残したりだとかどこかで考えてしまうんです。でも、全公演同じモチベーションで東京ドームシティホールと同じ熱量でできたら良いなと思っています。あとは音源化されていな楽曲を初披露する予定になっていたり色々と考えているので楽しみにしていてください。

LiN：ワンマンツアーは自分達が成長できる場所だと思っていて、『UNiVERSE』のリリースツアー「俺たちに明日は無い」が大成功だと捉えているんです。ギタリストとしても色々な発見があったりして、今回もまた新しい自分に出会えることを楽しみにしています。それと、あまりライヴに慣れていない子が来てくれたりするので、そういった人達も率先して大きな声を出せるようにするのが自分の役割だと思っているので、頑張って盛り上げます！

──LiNさんは物販担当大臣でもありますが、そのあたりは？

LiN：今回はグッズの点数自体は少ないのですが、一つ一つにこだわりを持って初だしのグッズも用意しています。それと「天国チェキくじ」というのをやるのですが、過去のチェキの中に当たりが入っていて、当たったらライヴ終演後に好きなメンバーと2ショットが撮れるという、2ショットをかなり大事にしている僕らが解放するので、よろしくお願いします。

ハク：昨年のツアー「俺たちに明日は無い」がライヴに対する姿勢を底上げできたんですね。今回のツアーは「天国」というキーワードが含まれているので、お客さんも自分達も楽しめる内容にしたいなと。でもツアーに対する気持ちは忘れずに臨みたいなと思います。さっきも話に出た莎奈さんがアドリブ入れたり、俺が「Love_Duck_Core_Nothing」のギターソロパートを弾いたりすることもスゴく楽しくて。だからツアーをやっていく中で、また新しいライヴの楽しみを見つけられたらいいなと思います。

結：俺はライヴがスゴい好きで、自分達のことを好きなファン達が “癒された” とか “辛いことがあったけど、助けられた” とか言ってくれるのを糧にしています。みんなそれぞれ考えていることが違ったりすると思うんでけど、本来ライヴって会場に足を運んで初めて楽しめるものだと思っているので、お互いに深く考えずに楽しめるツアーになったら最高だなと思います。結成当初のような初心に帰った気持ちでやれたら良いなと思います。

未緒：昨年のツアーがバンドとしてスゴく実りある内容で、やって良かったなって俺の中で初めて思えたんです。もちろん楽しいツアーも過去にあったんですけど、バンドが成長できたと感じられてツアーをたくさん回って意味があったなって思えたのが去年のツアーで。その反面、バンドの意思をファンの人達に無理強いさせた部分もあったんです。お客さんが余計なことを考えなきゃいけないってエンターテインメントではないじゃないですか。僕らが本来目指しているところではないんですけど、ただそうしないと得られないものもあるので。実際今までで一番手応えがあったし、バンドも成長できたし、それを踏まえた上で色々と経験した上で東京ドームシティホールのライヴがあって。それと5周年イベントで様々なイベントを行なってファンと触れ合う機会がたくさんあったんですけど、ライヴも含めてスゴく有意義で幸せなひと時だったと感じているんです。それが去年一年間の成績表だとしたらやっぱりやってよかったなって思ったのがツアーだったりして、その根底はバンドで抱えたまま今度はお客さんに無理強いさせないで楽しませてあげたいなと。結さんも言ってた初心に帰るじゃないですけど、本来エンターテインメントを楽しめる場所にするべく立ち返るツアーなんじゃないかと。バンドとして去年のツアーを踏襲して、ただ楽しむだけで何も成長できないツアーにならないようにしたいと思います。