イヤホン、ヘッドホン、PCなどで聴く音楽の臨場感が格段にアップする
音楽スクールに通う4人が
LUXMAN「DA-150」の魅力に迫る!
音楽スクールに通う4人がLUXMAN「DA-150」の魅力に迫る!
2016/07/29
学生たちのインプレッションに続き、ここからは「DA-150」の特徴と、システムのセットアップ例を紹介していこう。USB-DACはUSB入力以外にもデジタル接続機器を繋げる入力を持つものも多く、その場合はセレクターとしても機能する。さらにヘッドホンアンプやボリュームといった装備も持つので、USB-DACの出力にアンプ内蔵スピーカーであるパワードスピーカーを繋げばコンパクトなPCオーディオ環境を構築できる。最近、小型で高音質なパワードスピーカーが増えてきており、デスクトップ環境で使える選択肢の幅も広がった。また、USB-DACにヘッドホンアンプが内蔵されているケースが多く、PCやDAP、スマホに直接ヘッドホンやイヤホンを繋いで聴くのとはレベルが違う高音質なサウンドで楽しめるようになる。
「DA-150」を使ったオーディオシステムのセットアップ例
※ スマートフォンとの接続には「Apple Lightning - USBカメラアダプタ」等、
各端末専用のOTGケーブルが必要になります。
USB-DACは数千円から数十万円するような高級機まで実に幅広いラインナップが揃う分野である。その中から今回試聴に用いたDA-150は、創業しておよそ90年になる老舗高級オーディオブランド・ラックスマンが2011年に発売したDA-100の「コンパクトなサイズでありながら高品位な音楽再生を実現する」というコンセプトを引き継ぎ、B5ファイルサイズの筐体に最新のスペックを投入した最新のヘッドホンアンプ内蔵USB D/Aコンバーターだ。
その内容は、同社が昨年発売した高級機DA-250(17万円)の内容をほぼ全面的に引き継いだものとなっている。最近話題のハイレゾ音源への対応力を高めるためにUSB入力PCM192kHz/32bit、DSD5.64MHzに対応。高級ヘッドホンにみられるハイインピーダンスタイプのヘッドホンも楽々ドライブできるように駆動力を大幅に向上させたヘッドホンアンプ回路、ヘッドホン出力用の音量調節回路には同社が誇る超高音質電子制御アッテネーターLECUAまで搭載されている。上位機 DA-250 との違いは、DA-250 は本格的なオーディオシステムとの接続に配慮して充実したプリアンプ機能が内蔵されているが、DA-150ではこの部分が省略され、ライン出力は固定出力1系統のみと簡略化されているくらいだ。普段、ヘッドホンを中心に音楽を聴いている人にとっては、上位機とほぼ同一の内容を持った非常にコストパフォーマンスの高い内容となっている。
DA-150の前面パネル(左)と背面パネル(右)
■岩井喬による「DA-150」インプレッション
ここからは、オーディオライターの岩井喬による「DA-150」のインプレッションをお届けしよう。様々なオーディオ機器を試してきたプロならではの視点から、「DA-150」の優れた点をたっぷりと語ってもらった。
今回は、このDA-150を核にヘッドホンに加えて、アクティブスピーカーとの組合せでも聴いた。最初にヘッドホンとの組合せで聴いてみた。用意したのはともに中高級機となるシュアのオープン型ヘッドホンSRH1840と密閉型ヘッドホンSRH1540。まずDA-150とSRH1840を繋いで聴いた。SRH1840は癖のない素直な音質傾向を持つモニターに最適なサウンドが特徴だが、その特徴を十分に引き出すには、組み合わせるヘッドホンアンプに高い駆動力が要求されるモデルだ。DA-150 との組合せではドライブ感は十分。一つ一つの音がクリアに引き出され、S/N良く音場へ浮き上がってくる。ベースとキックドラムの分離も鮮やかで、音像のフォーカスも明確だ。女性の声の艶やハリはクールで、残響音の余韻も澄み切っている。オーケストラの響きも見通しが深く、落ち着き良く丁寧なハーモニーが展開。余韻のにじみのないストレートかつ色付けのないサウンドを味わえた。
次に密閉型のSRH1540を試してみた。この組合せではリズム隊の厚みが出てどっしりとした太くリッチな中低域を実感する。ピアノは高域の倍音を流麗に表現し、滑らかで素直なタッチだ。低域方向の響きについても重厚で存在感たっぷり。ウッドベースやギターなど、弦楽器は弾力良く艶やかな質感で描かれ、オーケストラのハーモニーは滑らかで豊潤な響きで満たされる。ボーカルはハリ良く爽やかで分離良くノリの良いリッチなサウンド傾向だ。全体的に華やぎ感のあるゴージャスな音色といえそうだ。
G Oneを使った試聴の様子
続いて、パワードスピーカーと組み合わせてみた。パワードスピーカーにはGENELECの「G One」を選んだ。このモデルは世界中の多くのスタジオでモニタースピーカーとして採用されているGENELECが家庭での音楽再生用に開発したパワーアンプ内蔵のパワードスピーカーだ。1.9cmメタルドームトゥイーターと7.6cmウーファーから構成される2ウェイ構成で、各々のユニット用をドライブするアンプ部にはAB級のバイアンプ方式で採用。アルミダイキャスト製の堅牢なキャビネットの採用とあいまってクリアな再生音が特長だ。DA-150のライン出力は固定出力だけなので、音量調節用にジェネレック純正のボリュームコントローラーVC9000を組み合わせて用いた。
この組み合わせでは、低域はダンピングが良く利いた音で締まって音離れが良く、オーケストラの旋律もハリが良く浮き上がって自然な空間が目前に展開される。ハーモニーは清々しいほど爽やかで、クリアな音場が広がる。ピアノの響きも澄んでいてアタックのキレも良い。自然な解像感できつさはない。ウッドベースは胴鳴りの弾力が良く響くが制動が効いており、輪郭が崩れることはない。ロックのディストーションサウンドでは締まり良く、アタックのタイトさが際立っている。適度な厚みを持つボーカルはフォーカス良く浮き上がり、シンバルの余韻が爽やかに響く。DSDフォーマットのハイレゾ音源では余韻の表現がより丁寧になり、艶のクールな高域がヌケ良く浮き上がる。さらにDSD5.6MHz音源では分離の良い空間が広がり、各々の音像は立体的に浮き立つ。声の伸びもより滑らかで、余韻の階調もさらに細かくなる。実に落ち着きの良い響きに満ち、ヘッドホンとは違うナチュラルで立体的な空間が目前へ展開してゆく。圧迫感のない開放的で鮮度の高いサウンドである。
DA-150はどの組合せでも安定感があり、上品なタッチで音楽を奏でてくれる印象を受けた。GENELECのパワードスピーカーというやや硬派でドライな気質のスピーカーシステムであっても、適度な潤い感を与え、音楽に彩りを添えてくれる。
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