オーディオライター岩井 喬がお届けする連載コラム

岩井 喬 “今、注目のオーディオアイテム”JVC「HA-MX100-Z」

岩井 喬 “今、注目のオーディオアイテム”JVC「HA-MX100-Z」

2016/11/01


ギターやピアノの弾き語り、レコーディングなど、様々な用途や目的に応じてチョイスしたいオーディオ製品。このコーナーでは、今知っておきたい注目のアイテムを、各種オーディオ製品の監修やレビュー を行なう岩井 喬(イワイタカシ)さんに聞いてみた。ヘッドホンやイヤホン選びで失敗したくない人は、ぜひともチェックしてほしい!

※前々回からの質問
「岩井先生、DTMのモニター用に複数のヘッドホンを揃えたいと思ってます。オススメなモデルをいくつか教えてください!」

岩井:モニターにオススメのヘッドホン、3機種目は国内屈指の規模を誇るレコーディングスタジオであるビクタースタジオが開発に参画したJVCの「HA-MX100-Z」をご紹介します。

■「HA-MX100-Z」

/

価格:¥24,800(税込)

岩井:2011年に本機のベースとなった前モデル「HA-MX10-B」が登場。現代的な高解像度な環境での録音モニターに耐えるような設計となっていて、左右のユニット特性を厳密に揃え、定位表現に影響を及ぼす位相特性についても妥協のない仕様となっていました。加えてオンイヤータイプながらストレスのない装着性を持たせるなど、まさにソニー「MDR-CD900ST」と同じようなコンセプトで誕生した、プロユース前提のモニターヘッドホンなのです。

「MX10」はビクタースタジオにも全面的に納入され、その音質は各方面から高い評価を得ていたそうですが、ここ数年の潮流でもあるハイレゾ音源への対応という点で今少しスペックに見劣りすることもあり、この「MX100」の開発がスタート。磁気回路を熱処理して製造時の機械的ひずみを低減したという新設計のドライバーユニット前面にサウンドディフューザーを置き、その中心部の穴の大きさを最適化して40kHzまでの広帯域化を実現。低域に関してもドライバーユニットの前面にダクトを追加したデュアル・クリアバスポート構造を取り入れ、振動板前後の空気の流れを最適化して入力信号に忠実なサウンドを再現しました。そしてヘッドバンド外装の素材をより耐久性の高いものに変更し、擦れることで外装材が破れないよう改善されています。

ポータブル機器との相性を踏まえ、Φ3.5mmのステレオミニプラグ仕様としていますが、Φ6.3mmへの変換プラグも付属しない潔いパッケージなので、使用時は接続機器のプラグ形状をよく確認しておきましょう。サウンドについては密閉型ながらも空間を素直に描き出し、音像も全体的に締まり良く、キレ鮮やかに描写。余韻の表現も丁寧で、階調の細やかさとS/Nの良さを両立して見通しの深いサウンドとしています。低域の量感や密度感も十分で、MX10よりもよりニュートラルな傾向となりました。高域の倍音表現も落ち着きがあり、個々の楽器も誇張なく自然に描かれ、音源の状態が克明に掴みとれます。立体的な描写力とヌケ良く爽やかな空間性は普段使いのヘッドホンとして、ハイレゾ音源を存分に楽しめることでしょう。出荷時にスタジオ仕様のエージングを施しているため、箱から取り出した直後でも安定したバランスの音質であることも優位点。新世代のモニター機としてぜひともそのサウンドを確認しておきたい一台です。

 

■「HA-MX100-Z」のサウンド傾向

【SPEC】
・形式:ダイナミック型
・出力音圧レベル:107dB/1m
・再生周波数帯域:10~40,000Hz
・インピーダンス:56Ω
・最大許容入力:1,500mW(IEC)
・コード:2.5m OFC
・入力プラグ:ステレオミニプラグ
・質量:265g(コード含まず)

この記事の画像一覧

(全3枚) 大きなサイズで見る。

関連する記事

PAGE TOP