オーディオライター岩井 喬がお届けする連載コラム
岩井 喬 “今、注目のオーディオアイテム” MUIX「IX1000」
岩井 喬 “今、注目のオーディオアイテム” MUIX「IX1000」
2016/02/19
ギターやピアノの弾き語り、レコーディングな ど、様々な用途や目的に応じてチョイスしたいオーディオ製品。このコーナーでは、今知っておきたい注目のアイテムを、各種オーディオ製品の監修やレビュー を行なう岩井 喬(イワイタカシ)さんに聞いてみた。ヘッドホンやイヤホン選びで失敗したくない人は、ぜひともチェックしてほしい!
「岩井先生。スマホに付いてきたイヤホンが壊れてしまいました。買い替えようと思うのですが、学生の私でも買いやすいオススメのイヤホンを教えてください!」
岩井:普段使いの(付属品)イヤホンが壊れてしまった…替わりに何を選ぼうか、というときにあまりにも選択肢がありすぎて困りますよね。今回は付属イヤホンからの初めての買い替えで、音質が良いのは当然のこと、機能面での面白さを加えたお薦めモデルをご紹介しましょう。
■MUIX「IX1000」
価格:オープンプライス
実売想定価格:¥3,480(税込)
岩井:こちらのイヤホンは、実売価格がほぼCDアルバム一枚分というイヤホン、MUIX(ミュイクス)の「IX1000」です。一番の特徴は、アンプなどの電子回路を用いることのない音質切り替え機能“Dual Sound System”を備えているということ。MUIXは韓国のiSOUNDが手掛けるブランドで、これまで有名メーカーのOEMを担当するなど、実力を蓄えてきたイヤホンメーカーなのです。他社に頼ることなく自社の技術力を生かしたモノづくりを行うべくMUIXブランドを立ち上げたのですが、日本国内ではまだまだ知られていません(実はTBS系列『マツコの知らない世界』“イヤホン”回でも紹介されたので、ピンとくる方もいらっしゃるかも…)。
IX1000は入門クラス機としては贅沢なΦ10mmダイナミック型ドライバーを搭載。特徴となっている“Dual Sound System”は独自のAir Cycle Control Technologyを投入したもので、ハウジングに設けられたスライドスイッチによって“Flat Sound”か“Active Bass”を選択できるのです。これは空気を筺体の外へ逃がす量を制御する仕組みで、“Active Bass”の場合はより多くの空気をハウジング外へ逃がし、低域の豊かさを確保。“Flat Sound”ではすっきりとした空間に輪郭良く音像を描き、ヴォーカルもくっきりとヌケ良く浮き上がります。シンバルやクリーントーンギター、ホーンセクションなど、高域の輝き感も透明度が高く、解像感やキレの良いナチュラル&ニュートラルなサウンドが楽しめるでしょう。
一方“Active Bass”は中低域から下の帯域の量感が増え、ベースやキックドラムの密度が向上。シンセベースのねっとりとした質感も厚み良く表現するとともに、ディストーションギターのボトム感も重心が下がり、安定度が高まります。EDM系だけでなく、ゆったりとした低域の豊かな響きが生む心地よさによって、バラード系の楽曲にも意外とフィットしますよ。低域は増えても空間の透明度に大きな変化はなく、ヴォーカルや高域楽器の粒立ちや明瞭感はそのまま維持されるので、気分や楽曲に応じて自在に切りかえて楽しめるのが美点ですね。
■MUIX「IX1000」のサウンド傾向
【主な仕様】
・ドライバーユニット ダイナミック型
・ドライバー口径 10.1mm
・再生周波数帯域 20-20,000Hz
・感度 - Flat Sound 106dB/mW
・感度 - Active Bass 104dB/mW
・インピーダンス 16Ω
・最大入力 20mW
岩井 喬(イワイタカシ)=プロフィール
1977 年長野県生まれ。小学生の頃、電子工作の面白さに気づき、中学生からは自作の延長線であったオーディオにはまる。工業高校~音響系専門学校を経て、都内レ コーディングスタジオへ就職。オーディオ専門誌への執筆を開始。コンシューマー系オーディオ誌の他、プロオーディオの取材執筆もこなす。またアニメ誌編 集・執筆に携わっていたこともあり、いち早くオーディオ分野と“萌え”の融合にも取り組む。80年代ロックが好物。
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