現在のテクニックで再録、新たなる息吹を吹き込んだギター・インスト・アルバム
角松敏生『SEA IS A LADY 2017』インタビュー
角松敏生『SEA IS A LADY 2017』インタビュー
2017/06/09
──実は、KORGに勤めてる友人からこれだけは絶対に聞いてくれと頼まれてたことがあるんですが、オープニングの「WAY TO THE SHORE」のイントロで使われてる音は”KORG M1”ですよね。
角松:そうですよ。僕は80年代にM1をすごい気に入って使っていて「Universe」だったかなイントロは。それが高じてそのあと“T1”もマスターキーボードとして使ってましたね。“M1R”も持ってたんですけど壊れちゃって。そしたら本田(雅人)君が持ってて、彼が“使う?”っていうから“使う使う”ってもらってきて。で、“M1R”ってサウンドカードが命なんですよ。さっそく壊れたM1Rから自分のサウンドカード抜いて移したら見事復活ですよ。今でも使ってますね。
──この記事読んだら大喜びですよ。最近のソフトシンセとかは使われてるんですか。
角松:使ってますよ。でも基本的にハードシンセこれだけ残ってるんで。Roland、YAMAHA、KORG、ENSONIQやら、あと倉庫にも沢山眠ってますね。だから、これらのハードシンセとソフトシンセ混ぜて使ってます。
──比率としてはどれくらいですか。
角松:割と半々ですよ。リズムものは“Stylus”がメインになってますね。あとはRolandの“V-Drums”を新調したんですよ。でRolandさんの進言で音源ユニットは一つ前の方が角松さんには合うって言われて。これが今回活躍してますね。「52ND STREET」では実際に叩いてるんですけど、ゴーストがちゃんと出るんで生のフィーリングで叩けるんですよ。「Ryoko!!」の頭のフィルもそうですね。あとは昨年、ン百万かけてMACを2台新調しました。1台は“Vienna Ensemble”専用で。
──じゃあストリングス系は全部“Vienna”で。
角松:そうそう「NIGHT SIGHT OF PORT ISLAND」は全部“Vienna”ですよ。
──今回は後半すごくストリングスパートが盛り上がりますよね。
角松:前はリバーブが効きすぎてて各弦が飽和状態だったんです。だからもう少し分離を良くしたかったんですよ。
──シンセの音色の傾向で、最近こういう音をよく使うっていうのはありますか。
角松:やっぱり、立ち上がりの良い音を探してますね。最近のデジタル音源ってダイナミックレンジが広くて、存在感あるけど見えないみたいなね。
──あぁ混ぜちゃうとみたいな。
角松:そうそう、そういう部分でいうと“YAMAHA DX-7”や“moog Voyager”は圧倒的に居るんだよね。そこにちゃんと。
──これからのシンセに求めるものってありますか。
角松:僕、この“Voyager”がすごい好きで、これ“minimoog”ですよ完全に。“minimoog”なんだけどデジタル管理されてるわけですよ。けど発音は完全にアナログのまんまなんで音は太いっていう。そういうアナログの精度を上げたものがあれば使ってみたいですね。“Prophet”が新しいやつ出して僕はまだ聴いてないんだけど、やっぱり“Prophet10”“Prophet5”が完全にMIDI管理されてて、発音にバグがないってものがあったら欲しいなって思いますね。僕の時代は、フェンダーのストラトやギブソンのレスポールみたいに、“Prophet5”や“PPG”みたいな個体の楽器名称の音なんですよ。今なんでも出せちゃうんで、個性のあるものが欲しいですね。僕割と短気なんでざっくりしてて欲しいっていうね。
──もうすでにツアーが始まってますが、インストの比率はどれくらいなんですか。
角松:半々に近いですかね。インストがちょっと多いくらいで。今回バックコーラスがいないじゃないですか。だから選曲も考えましたね。僕の楽曲ってインストライクな歌モノっていくつかあるんですよ。インストっぽいけどテーマは歌がやってますみたいな。だからそういう楽曲をインストに混ぜてもそう違和感なかったですよ。歌ってる角松敏生も好きだけど、ギター弾いてる角松敏生も好きっていう、そういう僕の多面的な部分っていうのをオフィシャルで切って並べられるライブっていうのはなかなかないので。インストはインストで楽しめるし、インストばっかりだと飽きちゃうっていう絶妙な合間に歌が入って、最後はインストで締めるっていうそういう作りになっているんで、インストが苦手な人にも楽しめると思います。
──非常に楽しみですね。今日はどうもありがとうございました。
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