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ラックスマン「NEO CLASSICO II」の魅力を音楽制作集団「SIGN SOUND LLC」に所属するエンジニアの片倉麻美子が徹底チェック!
ラックスマン「NEO CLASSICO II」の魅力を音楽制作集団「SIGN SOUND LLC」に所属するエンジニアの片倉麻美子が徹底チェック!
2019/01/11
オーディオ評論家
野村ケンジによる「Neo ClassicoⅡ」製品レビュー
◉A4サイズのスタイリッシュボディーに本格コンポーネントの内容を凝縮
ヘッドホンやイヤホンで音楽を楽しまれている音楽ファンは多い。しかし、リファレンスのホームオーディオシステムを持つことは、音楽を楽しむうえで、さらには音楽を作り上げていくうえでとても大切なことだと思っている。ヘッドホンでいつでも何処でも音楽を楽しめることはとても素晴らしいことだが、ヘッドホンでは正しい定位(声や楽器の位置関係)を再現できないし、奥行き感などの表現も厳しい。また、ヘッドホンではダイレクト感の高いピュアなサウンドを聴けるメリットがあると同時に、長時間聞き続けるのが厳しい“聴き疲れしやすい”サウンドとなってしまうデメリットもある。なによりも、アーティストやエンジニアがどんな音をどんな空間表現を作り上げているのか、どんな音を作り上げようとしているのか、しっかりと把握できるオーディオシステムでぜひ一度聴いてみて欲しい。そこでオススメしたいのが、LUXMAN(ラックスマン)の「Neo ClassicoⅡ」シリーズのコンポーネントだ。
Neo ClassicoⅡは、真空管プリメインアンプ「SQ-N150」とUSB-DAC内蔵CDプレーヤー「D-N150」とで構成されている。どちらもA4サイズのコンパクトなボディながら本格的なオーディオ製品としてのクオリティーを持ちあわせている。本格的なピュアオーディオ機器といえばかなりの大型サイズになるのが一般的だが、この「Neo ClassicoⅡ」シリーズは広めのデスクだったら設置可能なコンパクトさと、リビングにもマッチしてくれるスマートな佇まいを持ち合わせている。何よりも嬉しいのは、“ラックスマン”という老舗のオーディオブランドからこういったスタイリッシュなオーディオシステムがラインナップされた、ということだ。
ラックスマンといえば、オーディオ系に詳しい人であれば知らない人はいない老舗の日本ブランドで、実に90年を超える歴史を誇っている。メインとなっているのはアンプやプレーヤーなどの据置型の高級ピュアオーディオ機器だが、近年はヘッドフォンアンプやUSB DACなどのポータブルオーディオ機器もラインナップしていて、こちらにも人気が集まっている。そういった、音質に関しては絶対的な信頼度を持つラックスマンから、リビングオーディオと呼べるスマートな製品が登場してきたのだ。さりげないスマートな佇まいで、サウンドは一級品。現代のライフスタイルにマッチしてくれる、なんとも嬉しい製品だ。
◉話題のアナログ、ハイレゾなど幅広いコンテンツに高品位に対応
ちなみに、「Neo ClassicoⅡ」には先代にあたるモデルが存在しており(2007年発売)、こちらは第2世代モデルとなっている。とはいえ、先代は販売終了されて久しく、なによりも10年以上にわたる時間の流れはとても大きいのか、「Neo ClassicoⅡ」には格別といえるほどの進化が盛り込まれている。たとえばUSB-DAC内蔵CDプレーヤー「D-N150」は、CDドライブメカを一新し、同社「D-380(税別・29万円)」と同じアルメディオ製をチョイスすることで、正確で安定した読み取り性能を確保している。加えて、USB DAC機能も搭載し、TI製「PCM5102A」DACを採用することで192kHz/32bitまでのリニアPCMに対応する。ちなみに、PCとのUSB接続は、音質的なアドバンテージを持つアイソクロナス伝送に加えてインターフェース社のBulk Pet転送も採用するなど、更なる高音質の実現が追求されている。
▲SQ-N150 同様、D-N150でも高品位な入出端子を採用。高品位な信号の受け渡しを行うとともに、デジタル入力は同軸、光、USB端子を装備し、話題のハイレゾにも対応。
一方で、同軸/光入力も用意され、テレビの光デジタル出力を繋ぐことも可能だ。また、出力端子はアナログRCAのほか、光デジタルも用意され、「D-N150」をCDトランスポートとして活用することもできる。こういった、音質追求とシステム想定を含めた使い勝手の追求が巧みに両立されているのは、ラックスマンならではの姿勢といえるだろう。
▲軍用真空管として定評の高かったチェコスロヴァキアのテスラの流れを汲むスロヴァキア製JJ社製の真空管を採用。すべての真空管にはLUXMANのブランドロゴがシルク印刷されており、同社によって選別されたことを示している。
▲SQ-N150のフロントパネルにはアナログメーターを配置。音楽の躍動感を視覚的に表現してくれる。
▲SQ-N150のトップパネルに配置されている入力セレクター。3系統のライン入力に加え、MM/MCに対応するフォノ入力でアナログも本格的に楽しめる。あたかも高級カメラのスイッチ類を操作しているかのような操作感が心地良い。
もうひとつの真空管プリメインアンプ「SQ-N150」も、当然のようにクオリティアップと使い勝手向上が推し進められている。まず、アンプの音質にとって重要なポイントとなる真空管については、すべてスロヴァキア製のJJ製に統一することで部品の安定性を確保しつつ、「ECC83(12AX7)」2本と「EL84」4本の組み合わせで、10W+10W(6Ω)の出力を実現している。ちなみに、先代モデルではスピーカーも用意されていたが、今回のモデルでは特に用意されていない。というのも、「SQ-N150」は十分な出力を持ち合わせており、様々なブックシェルフ型スピーカーと組み合わせても充分に実力を発揮してくれるからだという。自分好みのスピーカーと組み合わせられるのは、大変ありがたい。また、内蔵フォノイコライザーも進化し、MMに加えてMCカートリッジにも対応している点も嬉しいポイントだ。
◉アーティストが楽曲に込めた思いまで描き出すNeo ClassicoⅡ
さて、実際のサウンドを確認すべく、ラックスマンが輸入を行っているFOCAL(フォーカル)のブックシェルフ型スピーカー「Aria 906」と組み合わせて試聴した。とても端正な音。歪みや音色の変調を感じない、自然なサウンドキャラクターだ。また、ディテール表現もしっかりと伝わってくるため、音楽の細部までしっかりと把握することができる。アコースティックギターを聴くと、ピッキングの音は立ち上がり鋭く、胴鳴りの音は優しい広がり感を持つという、なんとも絶妙なバランスの演奏が楽しめる。女性ヴォーカルも、基本的にニュートラルでいて何処かにちょっとした甘くて柔らかい響きを持つ、魅力的な歌声を聴かせてくれる。
音場表現もなかなか良好だ。自然に広がる音場感で、ピアノの演奏などは、伸びやかで美しい音色とともに、ホールに広がる響きまでもしっかりと味合わせてくれる。とはいえ、美音に偏りすぎているわけではない。定位感も確かで、Jポップなどを聴いてもアーティストが意図したと思われることまで伝わってくるのが嬉しい。
このようにラックスマンの「Neo ClassicoⅡ」シリーズは、スマートな外観からは想像できない良質な、同時に心地よい響きを持つサウンドを存分に楽しませてくれる。今回のように、定評のあるスピーカーと組み合わせれば、その音楽の本当の姿がしっかりと把握できるし、同時にリラックスして音楽を存分に楽しむこともできる。しかも、どんな部屋でも決して邪魔にならない、スマートなボディサイズでデザインでこのサウンドを実現してくれているのだ。このあたりは、ラックスマンならではの魅力といえる。オーディオマニアだけでなく、日頃、ヘッドホンやイヤホンで音楽を楽しんでいる多くの人にもオススメしたい、とても魅力的な製品だ。
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