3月23日にニューシングル『再教育』を発表

DEZERT、3月29日にSHIBUYA CLUB QUATTROで7大都市ツアー「DEZERT LIVE TOUR 2022 “再教育ツアー”」初日公演を開催!

DEZERT、3月29日にSHIBUYA CLUB QUATTROで7大都市ツアー「DEZERT LIVE TOUR 2022 “再教育ツアー”」初日公演を開催!

2022/03/31

DEZERT

カメラマン:上原俊

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諦めが悪い、という表現は往々にして良い意味で使われないことも多い。だが、たとえば学習やトレーニングの現場では問題点の認識とそこに対する復習という名の再教育が何よりの効果的アプローチとなるのは自明であり、その場合はむしろ諦めが悪い人ほど高い成果をあげることになるのではなかろうか。「DEZERTの“再教育ツアー”、本日開幕いたしました。(中略)多分このツアーは俺ら史上最も楽しいものになるであろうし、俺らにとっては決めた覚悟を出していく場にもなるであろうし、凄く大切なものになっていくと思ってます」 (千秋)
 
3月23日にニューシングル『再教育』を発表し、このたび3月29日からはSHIBUYA CLUB QUATTROより[DEZERT LIVE TOUR 2022 “再教育ツアー”]を開始した彼らは、まさに今この時期をバンドにとっての重要集中教育期間として定めているようで、それこそシングルの表題曲である「再教育」には〈求めたのは「未来」じゃない そうです 今だけです〉という1節があると同時に、この曲の最後は〈自分-未来-への再教育 じゃなきゃもう過去すら笑えないや〉という歌詞で締めくくられるものとなっている。未来を見据えた上での再教育を今ここで自らに対して行い、やがては過去さえ昇華したいというこの貪欲な姿勢は我々としても見習いたいところだ。
 
なお、当然ながらこのツアー初日においてその「再教育」は待望の初生披露となり、ニューシングルのカップリング曲「ミスターショットガンガール」と「インビジブルビリーヴァー」もここぞという場面にて投下されたのであるが、今回の新曲たちはそれぞれにカラーは違えど揃いも揃ってライヴバンド・DEZERTの持つ攻撃力および説得力を最大限に打ち出しているものとなっている点が実に特徴的で、ここしばらくヴォーカリスト・千秋があまりに聴かせていなかった“デスボ”の類いが久々にさらりと織り込まれているあたりも、おそらくコアなDEZERTファンからすると堪らないはず。
 
ちなみに表題曲「再教育」では、下ろし立てにも関わらず観客が千秋の求めに応じて盛大なクラップで加勢してみせていた他、「ミスターショットガンガール」では今宵ちょうど誕生日であったというギタリスト・Miyakoが何時にも増してフロアを煽りながらの烈しいプレイを展開し、ハイテンションなラウドサウンドが炸裂する「インビジブルビリーヴァー」ではSORAが轟かせる力強いキックと唸るSacchanのベースフレーズに合わせてオーディエンスが男女問わずかなり激しいヘドバンの嵐を巻き起こす一幕もあり、いずれもが新曲にして既に1軍入りという快挙を成し遂げていたのは驚異的だったと言えよう。とにもかくにも、シングル『再教育』は完全に “再教育ツアー”を前提とした作品となっているため、これからツアーに参戦される方々には是非ともこちらを一聴してから臨んでいただきたい。「最後にもう1曲やります。うちのバンドもかれこれ10年強となりますが、実はここ渋谷CLUB QUATTROでやるのは2019年12月以来です。あの時、確かに言いました。「2年後に武道館を目指します」と。そして、その後すぐにコロナがやって来た。みんなもここまで辛かっただろうし、ライヴが出来なかったこともあるし、それでもライヴをまた始めた時にはみんなが来てくれて、音源を出させてもらえて、去年は久しぶりのツアーも出来ました。(中略)だけど、コロナがちょっとマシになって来たら今度は戦争って…!でも、これについては語らんよ。俺には難し過ぎる。ただ、なんか良くないことだとは思う。だって見てて気持ちよくないもん。あとは地震もな。ビビらせやがって。ほんと、こんな時代に生まれて来てしまったとは感じるよ。不安だし。みんなもそうだと思う。だけど、昔からこれは変わらないのかもしれない。不安な中で生きてても成功するヤツはいて、くじけていくヤツもいて、失敗するヤツだっている。だからこそ、ここでもう一度言わせてください。僕たちはやっぱり、武道館を目指します!何時とは言えないけど必ず連れて行くから、一緒に歩いていきましょう!!」(千秋)
 
このとき場内から沸き起こった拍手は、DEZERTへのエールそのものだった。なおかつ、それを受けながら始まった「ミザリィレインボウ」は現状の彼らにとっての大切な代表曲と言えるもので〈戦い愛する風も 憎しみを貫いた雨も 見て見ぬふりはもうできないよ〉〈無様に架かる 僕らの虹よ 大丈夫さ 行こうよ ミザリィレインボウ〉といった歌詞たちは、昨年発表された音源『RAINBOW』に収録された楽曲でありながら今この瞬間に通じるものとして聴衆の心に深く響いたと確信する。「ひとつ言い忘れてました。6月18日に日比谷野外大音楽堂でやります。これは“再教育ツアー”のファイナルではありません。あくまでも[DEZERT SPECIAL LIVE 2022 in 日比谷野外大音楽堂 “The  Walkers”]です。そこでは、3年前からずっと悩みながら詞を添削しながら書いてきた「The  Walker」という曲をCD無料配布というかたちでみんなにプレゼントしようと思います。〈俺たちの進む道が〉とか〈前を向いて歩け〉とか「The  Walker」の歌詞には出て来るんだけど、それは悩みながら正しい道かどうかもわからないまま進んでく道なのかもしれない。それでも“歩いていく”っていう覚悟をもう決めたんで。僕たちの歩いていく先でまた会いましょう。今日はありがとうございました!」(千秋)
 
アンコールの最後に誓うようにこう語った千秋と、全演奏を終えた各メンバーの顔はこの夜とても晴れやかに見えた。幾ばくかの不安を抱えていたとしても、揺るぎない決心を胸に前へ進むことを選んだ、良い意味で“やっぱり”諦めの悪いバンド・DEZERT。彼らが自身に対する再教育を経て歩き出すのであろう、その頼もしい勇姿ぶりをまたライヴの場で体感することが出来る日を、今は何よりも心待ちにしていたい。


ライター:杉江由紀

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