ツーマンライヴという形で対面するのは、今回が初
6月11日、東京・恵比寿リキッドルームにて<DEZERT × vistlip 2MAN TOUR “でざとりっぷ!”>のファイナル公演が開催!
6月11日、東京・恵比寿リキッドルームにて<DEZERT × vistlip 2MAN TOUR “でざとりっぷ!”>のファイナル公演が開催!
2023/06/16
vistlipセクション
DEZERTセクション
アンコールセクション
6月11日、東京・恵比寿リキッドルームにて<DEZERT × vistlip 2MAN TOUR “でざとりっぷ!”>のファイナル公演が開催された。同公演のオフィシャルレポートを届けたい。
2007年結成のvistlipと2011年結成のDEZERTは、各々の世代で共にシーンを盛り上げてきたバンドだが、ツーマンライヴという形で対面するのは、今回が初。名古屋、大阪での公演をすでに大盛況に終え、ツアー開催前よりも距離の縮まった状態で迎えたのが、本公演である。
この日の先攻はvistlip。SEと会場中に響く大きな手拍子に迎えられてメンバーが登場すると、あちこちから歓声が飛び交う。智(Vo)が「踊れ」とクールに言い放ち、歪んだギターのリフから「HEART ch.」がスタート。真っ赤に照らされたステージでは、初っ端から手加減なしのアグレッシブなパフォーマンスを見せる5人。華やかで激しい幕開けだ。続く「FIVE BARKIN ANIMALS」は、vistlipのメンバー紹介をラップで披露する、対バンライヴにぴったりの曲。観客たちはヘヴィなサウンドに合わせて飛び跳ね、タオルを振り回して暴れる。
5人の音が生み出す熱は冷めることなく、そのまま「GLOSTER IMAGE」へ。Tohya(Dr)の正確かつ激しくダイナミックなドラミングが始まると、フロアはヘドバンの嵐に。Yuh(Gt)が速弾きで煌びやかなギターソロを披露すると、上手を中心に観客たちが咲き乱れる。海(Gt)はデスボイスを繰り出しながらライヴを盛り上げ、瑠伊(Ba)はステージ前方まで歩み出て華麗なプレイを見せつけた。
「BGM「METAFICTION」」では、これまでとは異なる大人っぽく怪しげなムードに会場が飲み込まれていく。雨の風景と切ない恋心を歌った「アンサンブル」は、あいにくの雨降りとなったこの日にぴったりの一曲。キャッチーな歌メロは、智の美しい歌声をより一層輝かせ、観客たちを魅了した。
「空が晴れたらきっと幸せになれる。ここにいる全員、幸せになる権利がある。今日は、この時間だけは、俺たちが世界で一番幸せにしてやる!」。智のドラマチックな言葉から始まったのは、「Recipe」。歌詞に合わせて智と観客が一緒にお辞儀をしたり、掛け合いをしたり、声を合わせて歌ったりと、微笑ましいやりとりは見ているだけで多幸感が込み上げてくる。
MCでは、「(vistlipは)あんまりツーマンをやってなくて、俺たちがこうやって扉をあけたらDEZERTがそこにいて、真正面からぶつかってきてくれて。俺は本当に楽しかったです。この気持ちのまま、七夕にやる16周年ライヴ、Zepp DiverCityに向かっていこうと思います。力をもらいました」と、DEZERTへの感謝の気持ちとこの先への意気込みを改めて伝える智。さらに、「でも名古屋も大阪も本当にすごかったんだよね。だから今日はファイナルならここで一番とろうぜ!」と気合いを入れなおす。
再び会場に火をつけたのは、「DANCE IN THE DARK」。観客はもちろん、メンバーも髪を振り乱し、ステージ上を縦横無尽に駆け回る。フロアもステージ上も本能を剥き出しにしてどんどんと熱が高まっていく中、「Timer」を投下。「オイ! オイ!」と叫びながら拳を突き上げる観客たちからはすさまじい気迫が伝わってくる。さらに、「LION HEART」、「彩」と続けざまにライヴで定番の暴れ曲を披露し、最後まで熱狂の渦を巻き起こし続けた。
「お前たちの心に穴が開いたとき、いつでもこの空間に戻ってきて。そしてまた明日も生きてください。だからそのために絶対また会おうな!」と智が最後に大きな愛を込めたメッセージを残し、メンバー全員が“全て出し切った”と言わんばかりの晴れやかな表情を浮かべながらvistlipのステージは幕を下ろした。
後攻はDEZERT。SEはなく、ファンの叫び声をBGMにメンバーが登場する。ドラム台を中心に4人が顔を突き合わせ、「DEZERT始めます」という千秋(Vo)の呟きを合図に、「「絶蘭」」がスタート。<僕は殺されました 君に殺されました>と不気味な歌詞をヘヴィなサウンドに乗せてぶちまける。vistlipの華やかな幕開けとは裏腹に、ぞくぞくするような独特の緊張感が漂う、DEZERTのライヴの始まりだ。キレの良い動きと爆音、鋭いシャウトから、このステージに向けた気合いが伝わってくる。
「楽しむ準備できてる?」という千秋の煽りから「再教育」へ。これまでの重たい空気からアッパーなムードへ一気に切り替わり、フロアには拳ヘドバンの波が起こる。ライヴで披露されることの少ない「胃潰瘍とルソーの錯覚」のイントロが始まると、悲鳴のような大歓声を上げ、嬉々とした様子で髪を振り乱す観客たち。“DEZERTのスーパーギタリスト“と千秋に紹介されたMiyako(Gt)は、輝く笑顔で妖艶なギターソロを披露し、会場中を魅了した。
「音楽、楽しみましょうよ」。ギターを手にした千秋のそんな誘い文句から始まったのは、「神経と重力」。真っ暗闇の中にSORA(Dr)の力強い咆哮が響き渡り、4人によるジャムセッションのような演奏からうねるようなグルーヴが生まれていく。この強烈な印象を残すステージに、観客たちの視線は釘付けになったまま離れなかった。
ダウナーな「異常な階段」、キャッチーで壮大な「The Walker」と、方向性の違うバラード曲をじっくりと聴かせたあとは、「カメレオン」で再び会場のボルテージを上げていく。フロアには無数の拳が一斉に上がり、まるでワンマンライヴのような一体感を醸し出していた。
休む間もなく始まった「大塚ヘッドロック」では海がゲストとして登場。千秋に“vistlipの眼鏡っ子”と紹介された海は、ステージに現れて早々、千秋に蹴りを入れて教育。曲中にも向かい合ってギターを弾くなど仲の良さが垣間見える。そんな中、フロアでは横モッシュ改め“奇跡の大移動(千秋命名)”が起こり、ステージ下手ではSacchan(Ba)と海がなぜかX JAPANの「紅」をリコーダーで吹くなど、まさにカオスな空間が出来上がっていた。
再び4人のステージに戻ると、ラストスパートと言わんばかりに「「君の子宮を触る」」「脳みそくん。」と立て続けにキラーチューンを投下。ヘドバン、ジャンプ、拳と暴れ狂う観客たちのボルテージは最高潮に達し、フロアは湿度が高まり熱気が立ち込めていた。
「汗かいた? 頭振った? それだけで終わりたくないんですけど! あなたたちの人生に良かったらDEZERTっていう文字を刻んでいただければ幸いです」。興奮冷めやらぬ観客たちに千秋が告げたのは、その場の楽しさよりもさらに深い部分に触れたいという、アーティストとしての真っすぐな思い。その気持ちを込めて最後に届けたのは、「ミザリィレインボウ」だ。フロアには、DEZERTの音楽を求める者たちのいくつもの手が高く掲げられていた。
対照的ともいえる各々のパフォーマンスで、これまで積み重ねてきたキャリアで培ったバンドのカラーを見事に表現した本編に対し、アンコールではツーマンライヴの醍醐味でもあるコラボステージを見せる。まずは、大阪公演でvistlipがカバーして大いに盛り上げたDEZERTの「モンテーニュの黒い朝食」を、智と海を迎えて披露。智と千秋のボーカルの掛け合いは、まさにこのステージでしか見られないレアな光景だった。
さらに、Yuh、瑠伊、そしてSacchanのコスプレをした“Macchan”ことTohyaが登場。爆笑に包まれる会場に、9人全員で届けたのはvistlipの「EVE」。SORAがドラムの代わりにギターを弾いたり、YuhとMiyakoが背中合わせで一緒にお立ち台に上ったり、海とSacchanが向かい合ってパフォーマンスをしたり、千秋が智と肩を組んだりと、どこを見ても笑顔があふれる特別なステージが出来上がっていた。
そしてラストは、千秋による「俺はここに本気の綺麗事をvistlipと残していく! 届け、俺の熱い思い!」という盛大な前振りから始まった「「殺意」」。智の強烈なシャウトも飛び出し、最後の最後まで熱いステージを繰り広げた。
今後、vistlipは7月7日にZepp DiverCityで16周年記念ライヴを、DEZERTは6月17日のCLUB CITTA'公演を皮切りに全国でワンマンツアーを行う。互いに大きなスケジュールを前に開催した、この濃密なツーマンツアーは、今後の活動をさらに勢いづかせるものになったに違いない。
カメラマンクレジット:西槇太一
ライター:南明歩
DEZERT × vistlip 2MAN TOUR “でざとりっぷ!”
2023年6月11日(日)恵比寿LIQUIDROOM
<vistlip SETLIST>
01 HEART ch.
02 FIVE BARKIN ANIMALS
03 GLOSTER IMAGE
04 BGM「METAFICTION」
05 アンサンブル
06 Recipe
07 DANCE IN THE DARK
08 Timer
09 LION HEART
10 彩
<DEZERT SETLIST>
01 「絶蘭」
02 再教育
03 胃潰瘍とルソーの錯覚
04 神経と重力
05 異常な階段
06 The Walker
07 カメレオン
08 大塚ヘッドロック
09 「君の子宮を触る」
10 脳みそくん。
11 ミザリィレインボウ
EN1 モンテーニュの黒い朝食
EN2 EVE
EN3 「殺意」
関連する記事
ニュース
2023/12/25
2023/12/20
2023/12/18
インタビュー
2023/03/23
2022/09/15
2022/05/26
2022/01/26
特集/レビュー
2023/04/03
レクチャー
2022/11/15
2022/11/01