更なる進化を見せたツアーファイナル

DEZERT、5月1日に名古屋DIAMOND HALLにてツアーファイナル公演を開催!

DEZERT、5月1日に名古屋DIAMOND HALLにてツアーファイナル公演を開催!

2022/05/04

[DEZERT LIVE TOUR 2022 “再教育ツアー”]

 

[DEZERT LIVE TOUR 2022 “再教育ツアー”]

 

[DEZERT LIVE TOUR 2022 “再教育ツアー”]

 

[DEZERT LIVE TOUR 2022 “再教育ツアー”]

 

[DEZERT LIVE TOUR 2022 “再教育ツアー”]

 

[DEZERT LIVE TOUR 2022 “再教育ツアー”]

 

[DEZERT LIVE TOUR 2022 “再教育ツアー”]

 

[DEZERT LIVE TOUR 2022 “再教育ツアー”]

 

[DEZERT LIVE TOUR 2022 “再教育ツアー”]

 

[DEZERT LIVE TOUR 2022 “再教育ツアー”]

 

[DEZERT LIVE TOUR 2022 “再教育ツアー”]

 

カメラマン:古川喜隆 ライター:杉江由紀

不可逆な時の流れの中を生きている以上、悩んでいても悲しんでいても明日はやがてやって来る。逆に、いくら楽しくてもどれだけ名残惜しくても、その貴重な時間が永遠にずっと続くこともない。時はただ一方向に向かって刻々と流れ続けていくだけ。そして、DEZERTという今まさに伸び盛りな状態にあるバンドは今、どうやらその速い時の流れの中でもきっちりと地に足を着けながら日々逞しく歩き続けているようだ。
 
「もう、俺はほぼ限界です。おまえたちにひとつ言っておきますが、限界は超えちゃダメだ。限界を超えると歪みが起きて壊れちゃう。だから、限界が来そうになったらそこを乗り越えるために自分の中のキャパシティを拡げて生きていこう。もちろん、時間はかかるぞ。ここから一緒に一生懸命やっていこう。ただ、時には限界を超えなきゃいけない夜もあるらしい…!!」(千秋)
 
今春、最新シングル『再教育』を発表したのちに3月29日の渋谷CLUB QUATTRO公演から開始した[DEZERT LIVE TOUR 2022 “再教育ツアー”]が最終日を迎えたこの夜、
名古屋ダイヤモンドホールでのワンマンライヴがいよいよアンコール終盤に差し掛かったところで、フロントマン・千秋が放ったのはこの言葉。
 
『再教育』の表題曲を皮切りに、終始ライヴバンドとしての表現力をオーディエンスに対してこれでもか!とステージ上で刻々とみせつけていったDEZERTは、今宵その場所で単なる新音源お披露目ツアーとは全く異なる、まさに「再教育」の歌詞を地で行く〈求めたのは「未来」じゃない そうです 今だけです〉な姿勢を、あますところなく音とパフォーマンスを通じて我々へと強く感じさせてくれていた。
 
ちなみに、「再教育」については初日の渋谷では千秋が観客に対して曲中でクラップを求めていたのに対し、この名古屋でのファイナルにおいては千秋が求めずとも自然に盛大なクラップが発生することに。また、シングル『再教育』のカップリング曲である「インビジブルビリーヴァー」ではフロア内で激しいヘドバンの嵐が巻き起こるなど、今回のツアーから投入された新曲たちがもはや完全に第一線で強い攻撃力を発揮するものへと進化していた点は、やはりとても印象的だった。
 
そればかりか、殺伐としたタイトルに反して底抜けな盛り上がり感が場内に蔓延した「殺されちゃう」の前にはSORAの持ち味を凝縮した華やかなドラムソロや、物静かな風貌とはある意味で裏腹なMiyakoのエモいギターソロ、そして何故かSacchanについてはベースソロではなくTikTok風ダンスソロが披露されるなど、今回のライヴでは各メンバーの魅力が随所に活かされていたところも、かつてのギスギスした不穏な緊張感が漂っていた時期がまるで嘘に思えるほど、今現在のDEZERTが芳しいアゲ状態にあることをよくあらわしていたのではなかろうか。
 
とはいえ、DEZERTの内面には始動時から今に至るまで決して失われることのない深淵が変わらず息づいているのもまた事実で、この名古屋公演に関して言えば本編中盤での「「擬死」」から「神経と重力にかけての流れの中で、本来の歌詞を逸脱した千秋による即興的ヴォーカリゼイションをもって、ディープな世界が展開されていった場面は他の追随を許さぬ圧倒的な引力を持っていたと言える。少しばかり具体的に書くならば、「「擬死」」での〈僕は本当の自分を誰にも見られたくないんだ〉〈僕はこんな自分を変えたいがために今を歌ってる〉という即興のくだりと、「神経と重力」の本来的なフレーズ〈ああ 「強くなりたい」〉は根底で繋がっているようにも感じられ、過去の既存曲をも今の旬なものとして表現することが出来る千秋の素晴らしい手腕とセンスに、あらためて感嘆してしまったほどだ。
 
また、本編終盤で歌われた「「遺書。」」でも非常に興味深い歌詞改変が一部なされることになり、ここでは以下のような千秋の言葉から曲が始められることになった。「昔、この曲でおまえたちに怒りをぶつけ、長く活動してきた中では自分にも怒りをぶつけ、どうしようもない日々もあった。それでも、わかってくれる人もちらほらいる、そんな現実。どうしようもないけど、失いたくないから俺は過去も未来も全部獲る。そのためには何が必要か。歌が下手でも、生き方が下手でも、何度だって自分を殺してまた新しい自分を生きる。俺はそんな人生を送っていきたいから、今日ここでその気持ちを込めてこの曲を歌います。希望と絶望を込めて…遺書を書こう!」(千秋)
 
〈だから誰かに僕の命を半分あげることにしました〉→〈だから誰かに僕の音楽を半分あげることにしました〉と意図的に歌い変えられたこの「「遺書。」」から感じたのは、すなわち今の千秋が感じているのであろう強い使命感だった気がする。
 
そのうえで、本編最後に奏でられた「ミザリィレインボウ」は現状の彼らにとっての大切な代表曲と言えるもので、千秋はこの歌に対してもこのような言葉を添えていた。「この曲は、希望の曲でも絶望の曲でも何でもない。ただ俺たちが真っ直ぐに、あなたたちとおなじ目線で贈る愛の歌だと思って聴いてくれ」(千秋)〈戦い愛する風も 憎しみを貫いた雨も 見て見ぬふりはもうできないよ〉〈無様に架かる 僕らの虹よ 大丈夫さ 行こうよ ミザリィレインボウ〉といったここでの歌詞たちは、昨年発表された音源『RAINBOW』に収録された楽曲でありながら、今この瞬間にこそ響くものとして聴衆の心に深く沁みていったのは言うまでもない。
 
その後、この夜のアンコールでは2015年にMiyakoが加入したタイミングで作られたものだというレアな未音源化楽曲「ともだちの詩」が久しぶりにふるまわれたほか、「包丁の正しい使い方~終息編~」では観客に対してスマホ使用が解禁され、SNSへの動画拡散がバンドから推奨されるという一幕も。そうしたさんざんの盛り上がりをみせた後に、大ラスの1曲である「「殺意」」を前に千秋が語ったのが、あの冒頭の「もう、俺はほぼ限界です」という言葉だったわけだ。当然、この夜のDEZERTはそこから限界点を見事に撃破することで[DEZERT LIVE TOUR 2022 “再教育ツアー”]を無事完遂することになったのである。
 
しかし、早くも6月18日にはDEZERT史上最大キャパとなる日比谷野外大音楽堂での[DEZERT SPECIAL LIVE 2022 in 日比谷野外大音楽堂 “The  Walkers”]が決定しており、ここでは千秋が「3年前からずっと悩みながら詞を添削しながら書いてきた曲」であるという「The  Walker」のCDが入場者全員に無料配布されるとのこと。
 
この春の “再教育ツアー”で、ハジける時にはとことんまでハジけ、深く潜行していく時にはどこまでも深く潜行していき、愛を表現する時には限りなく貪欲かつ率直に愛をステージ上にて溢れさせてきたDEZERTが、いちロックバンドとしての大幅な伸暢をみせたことを考えれば、今度の日比谷野外大音楽堂での彼らはさぞかし堂々たる姿で我々をさらに驚かせてくれるものと予測出来る。
 
思えば、最新シングル『再教育』のカップリング曲「ミスターショットガンガール」でDEZERTは、〈派手にいこうぜ 所詮どうせぐちゃぐちゃの未来歩いていくんだ〉と歌っているではないか。彼らはここからも不可逆な時の流れの中で、たとえまた何かしらの紆余曲折があったとしても、きっとひたすらに歩き続けて行くに違いない。
 
 
DEZERT LIVE TOUR 2022 “再教育ツアー”
2022年5月1日(日)名古屋DIAMOND HALL
SETLIST
 
01 再教育
02 Thirsty?
03 インビジブルビリーヴァー
04 カメレオン
05 insomnia
06 Sister
07 ミスターショットガンガール
08 殺されちゃう
09 Call of Rescue
10 「擬死」
11 神経と重力
12 「秘密」
13 デザートの楽しいマーチ
14 Your Song
15 「遺書。」
16 ミザリィレインボウ
 
EN1 ともだちの詩
EN2 普通じゃないⅢ
EN3 True Man
EN4 包丁の正しい使い方~終息編~
EN5 「君の子宮を触る」
EN6 「殺意」

 

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