女優/スタントウーマンとしても活躍するフィンランドの女性ロックシンガー
ジェシカ・ウルフ『GROUNDED』インタビュー
ジェシカ・ウルフ『GROUNDED』インタビュー
2015/12/24
フィンランド出身の女性シンガー・ソング・ライター、ジェシカ・ウルフがセカンドアルバム『GROUNDED』を日本先行リリースした。現在27歳の彼女はミュージシャンだけでなく、特技のカンフーを生かした女優/スタントウーマンとしても活躍するという異色の経歴の持ち主だ。TuneGateでは、新作の話はもちろん、彼女の音楽ルーツについてもインタビュー。さらに、意外な日本との縁についても話を伺うことができた。
取材:斎藤一幸(編集部)
「GROUNDED」で表現したもの
──今回のアルバムを聴かせていただいて、80年代のMTVで流れていたLAハードポップの雰囲気を感じたのですが、その頃の音楽に影響は受けられていますか?

ジェシカ:子供の頃に、テレビからそういった音楽が流れていたのは覚えていますが、それほど大きな影響を受けているとは思いません。それに自分の部屋にはテレビがなかったので、見る機会も少なかったんですよ(笑)。
──このような音楽性は、今のフィンランドでは主流なのでしょうか?
ジェシカ:フィンランドでは、もっとハードで、メタル寄りな音楽がメインストリームなので、フィンランドの典型的な音楽ということではないと思います。私の音楽は、ポップとロックをバランス良く融合させ、そのうえで広がりとダイナミズムのあるものを目指しています。今回のアルバムは、まるで旅行をしているかのように1曲ごとに色んな景色が見られる、そんな構成にしたいと思って作りました。
──ジェシカさんの音楽的なバックボーンについて教えてください。
ジェシカ:小さい頃は両親が家でロックやカントリーをよくかけていたので、自然とそういった音楽を聴いていたのを覚えています。特定のミュージシャンが好きというよりは、色んなスタイルの音楽を聴くのが好きな子供でした。それから10代の頃になると、ピンクフロイドに出会ったり、サイモン&ガーファンクルにはまったりしましたね。最近はP!nkやMuse、リンキン・パークをよく聴いています。
──今回のアルバムは前作「RENEGADE」と同様に日本先行リリースとなっていますが、これには何か理由があるのですか?
ジェシカ:これは偶然なんですけど、私がフランスの音楽見本市に出場した時、最初に声をかけてもらったのがキングレコードさんだったんですよ。そういった縁で、前作と今作どちらも日本で先行発売させてもらいました。
──そんな理由があったのですね。「GROUNDED」のサウンドを聴いた時、アメリカナイズされているというか、世界マーケットを強く意識している印象を受けたので、日本での先行発売はそういった戦略の一環かと思っていました。
ジェシカ:もちろん様々な国でリリースできたらとは思っていますよ。でも、世界マーケットを戦略的に狙っているというわけではないですね。
日本との縁について
──前作をリリースされた2013年にも来日されていますが、日本のファンの印象をお話いただけますか?

ジェシカ:素晴らしいオーディエンスだと思います。前回来日した時のライブでは、曲はもちろん歌詞まで覚えて一緒に歌ってくれたりして、私の音楽に対して真剣に向き合ってくれるのがすごく伝わってきました。また、昨日もホテルに戻ったら、遠くから駆けつけてくれたファンが待っていてくれてすごく嬉しかったです。こんなに律儀なファンはとても貴重な存在だと感じました。
──前回来日されたときはライブやプロモーション以外に観光はされましたか?
ジェシカ:それが全然できなかったんです(笑)。前回はそういう機会がなくて本当に残念でした。でも今回は1日だけオフがあるので、寺院やサムライミュージアムに行ったり、原宿の街を回ってみたりしたいです。
──以前から日本の文化にはご興味があったのでしょうか?
ジェシカ:父がフィンランドでホンダの代理店をやっているので、その影響で日本に興味があったんです。父はバイクを専門にしていたから身近にオートバイがあって、それで私も大好きになりました。また、頻繁に日本へ出張していたので、よく日本の食べ物を買ってきてくれました。だから日本という国は私にとって小さな頃から“エキサイティングな国”として感じていました。
──ジェシカさんにとって日本という国は小さな頃から馴染みがあったのですね。
ジェシカ:はい、だからフランスの見本市での私は「日本のレーベルの人に私を知ってもらいたい!」という気持ちが強くありました。それにフィンランドと日本の音楽シーンは親和性が高いと思っていたので、日本でのデビューが叶った時はとても嬉しかったのを覚えています。
──どういった点で“親和性が高い”と思われたのでしょうか?
ジェシカ:ハノイロックスをはじめNIGHTWISHやCHILDREN OF BODOMなど、フィンランド出身のロックバンドやヘビーメタルバンドは日本でも人気が高いので、フィンランドの音楽は日本で受け入れられやすいんじゃないかなと思ったんですよ。
──フィンランドの音楽事情もお聴きしたいのですが、女性アーティストも多いのでしょうか?
ジェシカ:最近は女性シンガーの比率が増えているよう感じています。特にフィンランド語で歌う人が増えていますね。ロックバンドは相変わらずたくさんありますが、ポップな音楽も次第に増えているなと感じます。
曲づくりや女優活動について
──ジェシカさんが作曲を始められたのはいつ頃からですか?
ジェシカ:確か16歳の時からです。最初はミュージカル風の曲やバラードっぽい音楽をやっていたのですが、20歳くらいからファーストアルバムに収録された曲を作り始めて、その頃からロック系の音楽に本気になっていったという感じですね。
──曲作りはどのような方法で行なわれていますか?

ジェシカ:まず、思いついたメロディーや詩を歌いながら曲のアイディアを作ります。その後、そのアイディアを色々な人たちとコラボレーションして完成させていくという流れで作っています。また、子供のころからピアノを習っていたので、ピアノを使うこともありますよ。
──ジェシカさんはミュージシャンだけでなく、特技のカンフーを生かしたスタントウーマンや女優としてもご活躍されていますが、ミュージシャンよりも女優業のキャリアが長いのでしょうか?
ジェシカ:まずミュージシャンとして活動を始めて、そのうちに女優もやるようになったという流れですね。だからミュージシャンとしてのキャリアのほうが長いです。もともとスタントやアクションは趣味でやっていて、それがだんだんと本格的にやるようになってきたのですが、音楽と同様に“演じる”ということも大好きですよ。
──カンフーを始められたきっかけは?
ジェシカ:元々私はジャッキー・チェンのファンだったので、その影響からですね。私は学生の時、初めは演劇を専攻にしていたのですが、その後演劇に一旦区切りをつけて、音楽活動を始めたんです。それと同時期にカンフーも始めたんですよ。音楽とカンフーを同時にやるということは、私にとってすごく刺激になりました。
──ジェシカさんのように、フィンランドではミュージシャンと役者を兼業している方は多いのでしょうか?
ジェシカ:いることはいますけれども、それほど多くはないですね。
──では最後に、今後の豊富と日本のファンへのメッセージをお願いします。
ジェシカ:まず、ツアーがしたいですね。色々な国で私のライブパフォーマンスを見せたいとです。作品をリリースする国も増やしていきたいですが、焦らず、一歩ずつやっていこうと思っています。また、日本のファンにはとても感謝しています。いつも応援やサポートしてくれてありがとう。私の日々の活動や曲のインスピレーションを受けた出来事、音楽以外の生活ではどんなことをしているのかなど、気になる人はYouTubeのジェシカ・ウルフチャンネルもチェックしてもらえたらと思います。ぜひ見てみてくださいね!

インタビュー後の一枚。愛用の剣で決めポーズをとってもらいました!
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