ファン投票により選ばれた楽曲を再レコーディングした20周年記念ベストアルバム
千聖『Can you Rock?!』インタビュー
千聖『Can you Rock?!』インタビュー
2017/06/20
昨年25周年を迎えたPENICILLINのギタリスト千聖が、ニューアルバム『Can you Rock?!』を6月7日にリリースした。本作は、彼のソロデビュー20周年を記念したベストアルバムで、収録曲はなんとファン投票によって選出。1997〜99年リリースの楽曲を再レコーディングしたという渾身の作品だ。今回のインタビューでは当時の思い出を振り返りながら、再レコーディングに至った経緯や使用機材に加え、豪華なゲストアーティストとのエピソードについて語ってもらった。また、インタビューの最後には、リリースツアーに向けての意気込みや気になる公演内容についても触れている。ファン必見インタビューだ。
取材・文:橋本周大(編集部)
──まず、リリースの経緯について教えていただけますか?
千聖:「どうしても20周年だからベストアルバムを出さなきゃ」というわけではなかったんですが…。ただ、なかなか20周年って迎えようと思っても難しいじゃないですか。実際、僕がソロデビューした当時小学生だった人が立派な大人になって、今こうやって取材してくれているわけですし(笑)。
──僕自身も「VENUS」を聴いていたあの時、まさか20年後ご本人をインタビューさせていただけるなんて思いもしませんでした(笑)。
千聖:本当にありがたい話です。どちらかというと僕というよりは今まで応援してくれたファンの人に「ありがとうございます」という感謝の気持ち、そして新しい未来に向けてというか。過去の音楽活動を振り返るというよりは、一回自分の経歴、軌道を見てみようかなと。未来に向かうため、もう一度見直すという意味でベストアルバムを出すことに対しては前向きでした。それに、ファンに対する感謝だけではなく、スタッフとか。あと今回収録されているのは、千聖名義での楽曲なんですが、この名前での活動は20代の頃に始まり、終わっていて。
──その後はCrack6としてのプロジェクトがスタートしましたよね。
千聖:だから千聖名義の作品は、比較的20代の僕、そしてプロデューサーである重盛さん、T2ya君の3人でしのぎを削って作っていたんです。なんか“任侠モノ” みたいですけど(笑)。でも実際、それぐらい必死になっていました。例えばイントロだけで6時間かけて作ったりだとか。
──スゴい!
千聖:とにかく信じられない時間と労力を費やしていました。それに見合ったモノだったかは分からないですけど。当時の必死になって生きた証ですよね。それを一回見直してみるのも良いなと。ただ、見つめ直して「あぁ懐かしいね」ってリリースするよりは、僕なりにもう一度対峙したかったので録り直したんです。
──なるほど。
千聖:ちょっと変わっているというか「なんでそんな苦労するの?」と思われるかもしれませんが、デビューした1996〜1997年ぐらいまでの作品に関しては、僕の歌い方が今とは違い過ぎてて。自分の中でも、先ほど話に出た「VENUS」なんかも、「もうちょいこういう風に出来たのにな」と感じる部分が結構あったり。他にも1998年にリリースしたシングル「KICK!」までは、ちょっと歌唱方法が違い過ぎるので。「今だったらこの方が良いな」って後悔しているものも多いので、“過去に対する復讐” じゃないですけど、リベンジという気持ちも含まれています。それにファンの人達の何人かが、今僕が1stアルバムの最後に収録されている「This Side Of Paradise」を歌ったらどうなるかって聴きたいっていう声もあって。そういった意見も含めて収録曲をファン投票という形で決めたんです。
──ファンの意見も取り入れた作品だと。
千聖:「再レコーディングするから他にどんな曲を聴きたい?」って。だから “僕” のというより 自分を媒体とした“みんな” のベストアルバムです。なので、その中で楽しみを見出すとなると、じゃあクオリティを当時より高くしようと。もちろん、当時が低かったわけじゃないですけど。逆に過去の自分が、どれだけ必死になって高いクオリティを発揮しようとしていたかが、改めてよく分かりました。多分、今回のリリースがなければ過去の自分を見つめ直すことなく一生を終えていたかもしれないです。全部録り直すことで、全部を復習と復讐ができました(笑)。
──成り行きで出したのではなく、重要な意味が込められたベストアルバムなのですね。
千聖:えぇ、寄せ集め感がない作品です。プラス、再レコーディング作品って、アレンジもすべて変えてしまって原曲の雰囲気が消えてしまうことがあったりするんじゃないですか。「あの曲のあそこが好きなのに! 欲しかったのに!」とか。そういったことを避けた作品にしようという考えもありました。オリジナルを限りなく忠実に再現しつつ、当時より良い作品に仕上げるという。「Love」という曲以外はアレンジも全部です。だから昔の音源と聴き比べてみるのも面白いかもしれないです。
──非常に難しい作業ですね。
千聖:当時と今の状態とでは違うんですけど、我々が今できることで “ベストの中のベスト” を尽くすというか。シャレでも何でもないんですけど(笑)。そのために全力を注いで、約半年をかけて作り上げました。ただ、2ndアルバム以降に関しては歌のクオリティが高くなったと自負しているので、それを超えなくてはならないという試練もありました。あと、ギターが当時より上手くなっていることには正直驚きましたね、「あぁ大人になっても上手くなるんだな」って(笑)。もちろん当時の方が勢いはありますけどね。もう作品が出来上がる喜びを全身で感じていたんだと思います。
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