スタジオクラスの音で録れる最新オーディオインターフェイス
スタインバーグUR-RT2 & UR-RT4の音質をプロが証明!
スタインバーグUR-RT2 & UR-RT4の音質をプロが証明!
2018/08/10
今もなお世界中のスタジオでニーヴのマイクプリやEQが大活躍!
マドンナなどの作品を手掛けている世界的なエンジニア、GOH HOTODA氏が愛用していたニーヴのアナログコンソール。33115というマイクプリが組み込まれており、現在はエンジニアの門垣良則氏が所有している
こちらも門垣氏が所有しているニーヴのマイクプリ。①現行品のAMSニーヴ1073 Classicを改造したもの、②オリジナルのニーヴ1073、③ニーヴ1063×2台。ニーヴは極端な使い方をしても、絶対に音が破綻しないという
ニーヴは、1960年代に当時革新的とされた、ハンドメイドのレコーディングコンソールを作っていたことで有名なメーカーです。ブランド名は、設立者であり技術者でもあるルパート・ニーヴ氏の名を冠しています。
当時のコンソールに使われていたマイクプリ/EQモジュールである「1066」や「1073」などは、ニーヴの代表的な機種として知られ、今でもビンテージ機材の代表格として高値で取り引きされています。
シーメンスグループ傘下の「AMSニーヴ」となった現在でも、当時の製法の通りにハンドメイドで生産する「Classic Series」として、1073などが生産されています。
また、ルパート・ニーヴ氏は今もご健在で、「ルパート・ニーヴ・デザインズ」(以下RND)という会社を立ち上げ、非常に独創的で魅力的な機材を多数リリースしています。今回、UR-RTシリーズに搭載されたトランスも同社が製造したものです。
ニーヴ製品は、入力段と出力段にトランスを用いた回路で高い評価を得ています。そのサウンドは倍音が豊かで非常に太く、クリップしても質感が音楽的であるため、特にキックやスネアなどに使うと、ニーヴ特有のサウンドを明確に認識できます。また、その普遍的な心地良さを持ったサウンドは、複数のトラックが折り重なった時にも素晴らしい一体感を生み出します。
今では数々の著名なアーティストがこぞってプライベートスタジオにニーヴを導入しています。フー・ファイターズ/元ニルヴァーナのデイヴ・グロールは、かつてのアメリカを代表するスタジオ「SOUND CITY」にあった、数々の名盤を生み出したニーヴコンソールを自身のスタジオに置いています。
ニーヴサウンドが聴ける洋邦の代表アルバム 文:永桶喜則(編集部) 協力:門垣良則
ニルヴァーナ『ネヴァーマインド』(1991年発表)
まさにニーヴ印のサウンドが詰まったアルバム。特にキックやスネアの質感が素晴らしく、ニーヴ以外ではこの感じを出すことができない。
メタリカ『デス・マグネティック』(2008年発表)
全パートをニーヴで録音された作品。キックの「チッ」というアタックの感じや、スネアの歪み方に、ニーヴならではのサウンドを確認できる。
ニール・ヤング『アフタ−・ザ・ゴールドラッシュ』(1970年発表)
ボーカルのシルキーさと、弱い部分が持ち上がって聴こえるニーヴの特徴がよく表われた名作。ビブラートの揺れも安定して聴こえる。
[ALEXANDROS]『EXIST!』
(2016年発表)
KANA-BOON『MAMiDA』
(2017年発表)
押尾コータロー『KTR×GTR』
(2016発表)
上記3枚は、東京・目黒のスタジオサンシャインにあるニーヴVR60 with Flying Fadersというコンソールで録音されており、ローミッドがしっかりと出た、ニーヴならではのサウンドを聴くことができる。
トランスという部品の役割と重要性について
「トランス」は、電気信号を一度磁気信号に変換し、再び電気信号に戻すという役割を持つ回路です。主に入出力段において、信号がノイズの影響を受けるのを抑える役割も持っています(ただし、電源トランスなどのノイズには敏感なので、電源トランスを回路から離すか、鉄板で磁気を遮断する必要があります)。
近年、ハイファイな機材や、歪みと音色変化の少ない機材が多く開発されてデジタルテクノロジーが発展していく中で、トランスはどこか旧世代のテクノロジーと見なされる傾向がありました。しかしながら、数多くのプラグインがアナログのテイストを取り入れているように、アナログ回路が見直され始めると、トランスは音色に強く影響を及ぼすパーツとして再注目されてきています。
ちなみに、入力トランスは機材につないだマイクなどの信号がそのまま通りますが、出力トランスには機材の回路を通った信号が入るため、より強く音色に影響を与える傾向にあります。
今日では、アナログモデリングのプラグインにおいてもトランスの挙動を忠実に再現するモデルが出ているなど、機材の音色に大きく関わる重要なパーツとして広く認知されています。
門垣氏が所有しているニーヴの回路を構成するビンテージパーツの数々。基本的に入力された信号(音)は、①入力トランス→②アンプカード(基盤)→③出力トランスの順で通過する。ニーヴには様々な型番が存在するが、大抵はこれらのトランスと基盤の組み合わせで製造されているそうだ
ルパート・ニーヴ・デザインズのトランスの特徴
ルパート・ニーヴ・デザインズのトランスは、たんに電気的な処理をするだけでなく、あくまでも音楽的に心地いいサウンドを生み出すように設計されている
RND社は、ルパート・ニーヴ氏が設計したオールドニーヴとはまた違う特徴を持つ、革新的な機能を搭載した製品を製造しています。
オールドニーヴ同様、トランスを使用した回路デザインを基調にしながら、トランスのキャラクターを選択できるSILKスイッチや超高電圧回路などを搭載。他のメーカーにはない、RNDならではの独創的な機能を持つ機材がラインナップされています。
UR-RTシリーズに搭載されているRND製トランスは、「D-PRE」と呼ばれる、非常にクリアでナチュラルに空間の響きをキャプチャーできるマイクプリの、後段に位置しています。そのため、アナログ回路としては出力トランスに相当します。
そのサウンドは、たんに回路としてのトランスを通したものではなく、「トランスを通した際の信号を、緻密にチューニングしたサウンド」に仕上がっています。小型のオーディオインターフェイスとしては今までに類を見ない、圧倒的なサウンドクオリティを有した機材が開発されたという事実には、衝撃すら覚えました。
トランスをオンにした時のUR-RTシリーズの音は、RNDのSILKにも似た、ひとつの完成されたサウンドと言えるでしょう。
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