2021年8月29日(日)

DEZERT、2年ぶりの全国ツアーファイナル「DEZERT LIVE TOUR 2021 / RAINBOW -カメレオンは空を見上げて笑えるか?-」を名古屋ボトムラインで開催!

DEZERT、2年ぶりの全国ツアーファイナル「DEZERT LIVE TOUR 2021 / RAINBOW -カメレオンは空を見上げて笑えるか?-」を名古屋ボトムラインで開催!

2021/09/01

DEZERT

 

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千秋がこの夜「どうせなくなっちまうけど、虹をかけようぜ!」と叫んだのは、本編ラストにて「ミザリィレインボウ」を歌い出す前のことだった。それが決して掃き捨てるようなセリフとしてではなく、極めて前向きなものとして響いたことは、きっとその場に居合わせた誰もがひしひしと感じ取れたことだろう。
 
『RAINBOW』と題した7曲入り新音源を7月に発表したばかりのDEZERTが、2019年初夏に行われたホールツアー[血液がない!]以来となる約2年ぶりの全国ツアー[DEZERT LIVE TOUR 2021 RAINBOW -カメレオンは空を見上げて笑えるか?-]のファイナルにあたる公演をこのたび8月29日に行ったのは、これまた久しぶりの登壇となった名古屋ボトムラインである。
 
「待たせたな!声が出せない分、カラダ使ってちょうだい!!」 殺伐とした重く歪んだ音像の中にDEZERTがこの曲を発表した2013年当時から一貫して描いてきた死生観の滲む「「絶蘭」」から始まり、ダイナミックかつグルーヴィーなSacchan+Miyakoによる弦楽器隊の織りなすユニゾンが派手に炸裂する「Thirsty?」、SORAのワイルドなドラミングが楽曲の持つメッセージ性をより強調していくことになった「カメレオン」と続いたところで、フロントマン・千秋が次に述べたのは以下の言葉だ。
 
「名古屋ボトムライン。どいつもこいつもイイ顔してるけど、おまえらだって何時か誰かに殺されちゃうよ?無様な政治家に殺されちまうぞ。無様なともだちに殺されちまうぞ。でもね、今日だけは囚われた社会の中で俺たちは自由だ!こんな世界、踊ってなきゃやってらんないんだよ!!どうせ「殺されちゃう」Yeah!!」
 
ある意味で現代版「ええじゃないか」とも解釈することが出来そうなこの「殺されちゃう」は、ロックンロールテイストの漂うアゲ曲であると同時に、千秋による〈嗚呼我々は生きる限り 諦めてはいけないのだ 進む限り願う限り みんな救われちゃう〉だとか〈さぁ 生きろ どうせ殺されちゃう〉といった、やけっぱちながらも超ポジティヴな歌詞が最高に痛快なものとなる。「とりあえず、みんなよくたどり着いたな。俺はさ、コロナさんに勝ったところでライヴを観る人たちっていうのはきっと少なくなるんちゃうかなと思ってる。今日やって、70名近くの方が(チケットは発券されているのに)来ていないと聞いております。いや、ほんとそこは来ないという選択も正しいと思うし。来た人の中にも、まだ不安が残ってるという人はおるやろうね。えぇよ、俺が「手ぇ挙げろ!」とか言っても「怖いから動きたくない」っていう人はそれで良いから。全然ノリ悪いとか思わない。俺、そんな悪いヤツじゃないから大丈夫(笑)」
 
むろん彼らのライヴがどんな時も全面的にガイドラインを遵守しながら実施されているのは言うまでもない。しかしながら、それでもまだまだ風向きがあまりよろしくないのは事実で、千秋は今回そこについてもMCにて忌憚なく言及することに。
 
「もう、何したって叩かれんだよ。音楽とかエンタメっていうのは。いろんなことに怒ってる人の気持ちもわかるしね。だけど、もし今日ここに来て家族とか彼ぴっぴに怒られたとしても、俺はあんたらは正しいと思うよ。飲食店がどうとか、エンタメがどうとか、政治がどうとか。まだまだ他人と比べたがるんだね、俺たちは。他人と比べることが悩みの始まりだ。比べんな、とは俺は言わないんで。(中略)とにかく、やれることをやろう。自分のためにでもいいし、人のためでもいいし、出来ることをやっていこうね」
 
今宵、「「擬死」」という曲の中では本来の歌詞中にはないニセモノとホンモノというふたつのキーワードを、メロディの合間や後奏部分などでアドリブ的に乱発してみせた千秋が表現していたもの。それは、パラドクスという名の欺瞞があふれ返る現世に対しての深い嘆きであり、率直なアンチテーゼであり、さらには真摯な問い掛けでもあるように聴こえて来た。
 
「次にやる「デザートの楽しいマーチ」は『RAINBOW』に入ってる今回のツアーから登場した新しい曲なんですが、今回のツアーでやってくうちに“始まったらおまえらが前に全員で突っ込んでくる曲”になっちゃったんだわ。ごめんね(笑)。もし、そういうノリがキライだったら好きになって。今日は我慢して拳を挙げてっていうかたちになると思うけど、何時かみんなでグチャグチャになれる時が来たら突っ込んで来いよ、名古屋!」
 
いわゆるラップでもなければ、かといってポエトリーリーディングとも違う、もはや演説的な領域にあるヴォーカリゼイションが千秋によって呈示されたこの「デザートの楽しいマーチ」では、途中部分が〈人生に本番なんてありゃしねぇ〉が〈人生は何時だって練習だ!〉と歌い代えられていたのを筆頭に、全編にわたってかなりフレキシブルな歌詞改編がなされていた印象。今その瞬間の気持ちを音楽にそのままぶつけていく千秋のラディカルな姿勢から、尖ったロックスピリッツを感じたのは何も筆者だけではあるまい。
 
「今日歌う曲全部、俺たちが今日歌う曲は全部きみの歌だから。“きみ”の歌だよ!」千秋のこんな温かな呼びかけから始まった「Your Song」といい、皮肉満載でトゲトゲしさにまみれた「脳みそが腐る」といい、平時であればオーディエンスが共に歌うくだりを楽器隊メンバーが全力でそれぞれに歌いきってみせた「「遺書。」」といい。このツアー最終日にあたって、DEZERTが出し切れるものを全て出し切ろうとしながら全身全霊でパフォーマンスしていく姿には、得も言われぬ潔さが漂っていたような気がする。
 
「次の曲でこのツアー、ラストになります。あらためて、今日のライヴを開催出来て良かったです。世の中ヤベーけど、それでも今日生きて集まって会えたことに凄くほっとしてるし、とても嬉しいです。また明日から頑張ろう!って俺は思えるからね、ありがとうございます。いろいろと迷いがちなDEZERTですが、どうせ死ぬまで悩むから覚悟は出来ているつもりではいるんだけれども、どうやったらきみたちに自分の伝えたいこと、僕たちの伝えたい音を届けられるのかなってやっぱり悩むし、ずっと悩んで悩んでその答えは既に出てたから、今日はそれをここで言うね。俺たちDEZERTは、俺は“きみ”に向かって歌ってる。そういうことなんだ、とあらためて10年やってきて思いました。(中略)俺は、俺たちは、きみたちにじゃなく“きみ”に向けて歌いたいので、これからもよろしくお願いします。最後にもう1曲、心を込めて弾いたり歌ったりするのでぜひ心に虹をかけてください。どうせなくなっちまうけど、虹をかけようぜ!!」
 
始動から10年。DEZERTがこれまでにさまざまなかたちで死と生、絶望と希望、妄想と現実、そして憎悪と愛情について描いてきた中で、最新音源『RAINBOW』に収録されているこの「ミザリィレインボウ」での〈君と僕 誰かのために 架かる虹は色んな色だ その色を赦した心は きっと明日より綺麗な場所だろう〉という切なる歌詞からは、おそらく多くの人が無為なる祈りの念を受け取ることが出来るはず。
 
たとえ今は儚く消えてしまうとしても。次に何時巡り合えるのかまだわからないとしても。いずれまたDEZERTとわたしたちが共に思いあえる場所で、あらたな虹をかけることを叶えられる時が来るならば。どうか、誰もがその虹を美しく素晴らしいと思える佳き心持ちであれますようにー
 
文:杉江由紀

「DEZERT LIVE TOUR 2021 / RAINBOW -カメレオンは空を見上げて笑えるか?-」
2021年8月29日(日) 名古屋ボトムライン
SETLIST

 
1.「絶蘭」
2.Thirsty?
3.カメレオン
4.殺されちゃう
5.蝶々
6.Sister
7. 「擬死」
8.神経と重力
9.あなたのそばにいる
10.天使の前頭葉
11.「排泄物」
12.デザートの楽しいマーチ
13.Your Song
14.脳みそが腐る
15.「遺書。」
16.ミザリィレインボウ
 
アンコール
1.オレンジの詩
2.True Man
3.「君の子宮を触る」
4.脳みそくん。
5.「切断」
 

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