J-POPのヒット曲を大研究

「美メロの秘密」を探る!(荒井由美「ひこうき雲」風のメロディ)

「美メロの秘密」を探る!(荒井由美「ひこうき雲」風のメロディ)

2015/11/17


J-POPの大ヒット曲のメロディを取り上げて、そのカッコ良さの秘密を解き明かしていきましょう。まずは、荒井由美「ひこうき雲」風のメロディを研究してみたいと思います。

※譜例は原曲のものではありません。

荒井由美「ひこうき雲」風のメロディ

 この曲はスタジオジブリの最新映画『風立ちぬ』のテーマ曲として、この夏に耳にした人も多いと思います。ゆったりとしたテンポで語りかけるように歌われるこのメロディは、一聴すると素朴な印象ですが、ユーミンのやさしい歌声と相まって、言葉とメロディが一緒に耳に入ってくる印象深い楽曲になっています。今時のJ-POPとは違う、しゃべり言葉の延長にあるような自然なフレージングとシンプルなアレンジも見事です。

収録あアルバム
『ひこうき雲』
(40周年記念盤)
EXPRESS
TOCT-29190
 

【Aメロ】2小節単位で盛り上げるストーリー性のあるメロディ

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 譜例は「ひこうき雲」のAメロ風のメロディです。2&3小節目、4&5小節目という2小節での反復フレーズが基本となります。また、1〜7小節目までは音の動きが少ないながらも徐々に音程を上げていき、8〜9小節目で最も高い音を使っているのですが、こうすることで音程の変化が少ない部分は曖昧さを残した“問いかけ”となり、音程が昇りきった最後の2小節は達成感を感じさせる“答え”といったストーリー性を出すことができます。


【サビ】高い音域をキープし、リズムの反復で印象を強める

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 「空にあこがれて〜」と繰り返す印象的なサビ風のメロディです。上で紹介した徐々に上昇していくAメロを受けて、Aメロの1オクターブ上という高い音域でシンプルなフレーズを反復することで耳に残るメロディにしています。また、4小節目で最も高い音程に跳躍してアクセントを付けているのもポイントで、続く5〜9小節目では、カチッと完結せずにゆらゆらと揺れるフレーズで受け止めて、余韻を残したサビにしています。

 

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