J-POPのヒット曲を大研究
「美メロの秘密」を探る!(サザンオールスターズ「TSUNAMI」風のメロディ)
「美メロの秘密」を探る!(サザンオールスターズ「TSUNAMI」風のメロディ)
2015/11/21
J-POPの大ヒット曲のメロディを取り上げて、そのカッコ良さの秘密を解き明かしていきましょう。ここでは、サザンオールスターズ「TSUNAMI」風のメロディを研究してみたいと思います。
※譜例は原曲のものではありません。
サザンオールスターズ「TSUNAMI」風のメロディ
「TSUNAMI」は、サザンオールスターズが2000年にリリースした、バラードの名曲です。ピアノのシンプルな伴奏でしっとりと歌うAメロから、気持ち良く歌い上げるサビに至るまで、メロディの音程の動きに緩急を付けて、それに伴ってアレンジも徐々に盛り上げていく絶妙な展開になっています。サビも同じテンションのまま歌いきるのではなく、サビの最後の部分をスッと落として余韻を残して終わるところにも注目です。バラードの王道パターンとも言える、歌メロ作りのお手本な曲です。
◉サザンオールスターズ「TSUNAMI」
収録アルバム
『バラッド3
~the album of LOVE~』
ビクター/TAISHITA
VICL-60660
【Aメロ】上昇する歌メロと下降するコード進行の対比に注目
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Aメロは全8小節のフレーズで構成されていますが、よく聴くと2小節でひとくくりの反復が基本となっていることがわかります。譜例は曲の最初の5小節で、2小節パターンで徐々に音域を上昇させることで、次へとつながる期待感を持たせる展開になっています。一方、コード進行はAメジャーから、ベースラインが「ラ→ソ♯→ファ♯→ミ→レ」と下降する動きになっている点に注目しましょう。このように、メロディの上昇とコードの下降を相反させることで、メロディの上昇で気分が盛り上がり過ぎないようにうまくバランスを取っています。
【Bメロ】転調と1小節単位のフレーズでガラリと雰囲気を変える
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この曲のキーは「Aメジャー」ですが、このBメロで転調してキーが「Cメジャー」になっているのがポイントです。また歌メロは、Aメロでは2小節でひとくくりのパターンだったのに対して、1小節単位の短いサイクルで矢継ぎ早に展開させていくことで、サビに向かって徐々に加速して盛り上がっていく流れを感じさせています。Aメロがゆったりとした上昇方向のメロディだったのに対して、Bメロの2〜4小節目の各小節の頭を見ると、「ミ→レ→ド」と1度ずつ下がっていくような展開になっており、Aメロとサビをつなぐための世界観を作っています。
【サビ】最高音に跳ね上がった後、ゆっくり下降してストーリー性を生む
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サビのフレーズはメロディ作りの定石通り、同曲中で最も高い音域で歌い上げるフレーズになっています。しかし、常に高音に張り付いているのではなく、まるで助走をつけて飛び上がるように要所要所で音程の跳躍を入れることで、フレーズの高い音にしっかりとアクセントを付けて、リスナーに予想外の驚きを与えているのがポイントです。また、フレーズ全体の流れを見てみると、Aメロとは逆に音程を徐々に下げる方向に動いており、これによってサビでしっかり盛り上げつつも、再びしっとりとしたAメロの雰囲気に戻れるように展開をうまく作っています。
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