GoogleのCMソングでも話題のプロデューサー/DJ

banvox「Watch Me」インタビュー

banvox「Watch Me」インタビュー

2015/12/11


今年は「フジロックフェスティバル2015」を始め、「ULTRA JAPAN 2015」といった大型EDMフェスにも出演をはたし、国内はもとより海外からも注目を集めている若きプロデューサー/DJ「banvox」。彼が手掛ける楽曲は、数多くのダンスミュージックチャートで上位を独占し、新曲の「Watch Me」はGoogleのCMソングにも起用されている(「New Style」に引き続き、自身2度目となるCMソング)。ここでは「FL Studio」の使い手としても有名な彼に、「Watch Me」がどのように生み出されたのか、その具体的な手法について聞いてみた。EDM系のクリエイターは必見だ!

取材:東 徹夜


「Watch Me」のメロディーは「Sylenth 1」と「Harmor」を組み合わせて鳴らしています。


──GoogleのCMで毎日のように新曲「Watch Me」が流れていますが、気分はどうですか?

banvox:うれしい反面、不安もありますね。大人数の方が耳にすると思うので、自分の曲がどう思われるか考えちゃったり。でも、すごいうれしいです。

──「Watch Me」はいつ頃作られた曲なのですか?

banvox:ちょうど今年一番かもっていうくらい忙しい時期だったんであまり覚えていないんです。たしか札幌のホテルで「Watch Me」のボーカル部分の大枠ができて、帰って来てそのままインタビューだったんですが、その前に事務所でボーカル部分を完成させて。次の日の大阪のLIVE(日帰り)での行き帰りの新幹線でメロディーとかイントロを作って。いつもはイントロから順番に曲を作るのですが、この曲に関してはバラバラに作ったものをつなぎ合わせたんです。だから、普段とはまったく違う作り方になってて。

──制作ツールは「FL Studio」ですか?

banvox:はい。バージョンは10です。ボクの中ではFL10が最強だと思っています。でも、最新バージョンのFL12も読み込みはすごく速いし、慣れれば使っていきたいんですけどね。

──「Watch Me」は女性の歌声から始まりますが、この声の処理がユニークですよね?

banvox:これは、声のサンプルをカットアップ(必要な部分を取り出す)して、歌っているように並び替えています。

──カットアップしたもののピッチなども細かく変更しているのですか?

banvox:いえ、カットした素材の音程をうまく利用して、並び替えることで歌っているような状態を作り出しています。素材を切り貼りして並び替えてます。

──この手法はいつ頃から使っているのですか?

banvox:2010年の10月に音楽を作り始めた頃からです。当時、ボクが音楽を始めるきっかけになったアーティストのPigeondust(ピジョンダスト)さんが「FL Studio」を使っていて、Ustream配信をされていたんですね。Pigeondust(ピジョンダスト)さんはヒップホップの方なんですけど、ドラムをスライスして並び替えていて。それを見て、「あっ、ボーカルでやったら面白いかも」って思い付いてやり始めました。

──「Watch Me」では、歌声に合わせて印象的なメロディーが入ってきますよね。メロディーは手弾きされているのですか?

banvox:いえ、すべて打ち込みです。鍵盤もあるのですが、あくまでも音の確認で使っている感じで。ボクは鍵盤は弾けませんから。

──すごくキャッチーなこのメロディーを鍵盤を弾かずに生み出すとはすごいですね。

banvox:ボクは一切音楽経験がなくて。すべて独学なんです。

──とはいいつつもコードやスケールの理論は必要ですよね?

banvox:そうですね。だから、いまだにキーに対するスケール表を置いて、それを見ながら曲を作ったりしています。

──banvoxさんの曲は基本的にはメジャーの曲が多いんですかね?

banvox:あまりそれは意識していなくて。単純に気持ちいいコードができたら、その上にボーカルを乗っけたり、メロディーを考えたりしていくので。もちろん、最初にキーは決めますけど。

──なるほど。では、話を元に戻しますが、「Watch Me」のメロディーは何と言う音源で鳴らしているのでしょうか?

banvox:これは、「Sylenth 1」と「Harmor(FL Studio付属)」を組み合わせています。両方同じメロディーなのですが、高い方の音域を「Sylenth 1」が担当してますね。

──メロディーはどんな感じで思い付くのですか?

banvox:ひたすら打ち込んで、とにかくカッコいいと思うフレーズに仕上げて行きます。意識しているとすれば、何かで読んで頭に残っているんですが、5度の上下を意識するってことですかね。

banvox「Watch Me」のメロディーで使われた「Sylenth 1」(写真左)と「Harmor」(写真右)

 


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「Watch Me」

2015年11月18日発売
(デジタル配信)
250円

banvox(バンボックス)

東京を拠点に活動するプロデューサー/DJ。2011年より活動を開始し、同年にインターネットレーベルMaltine Recordsよりリリースしたデビュー作『Intense Electro Disco』が僅か2日間で4,000DLを記録。2012年にリリースしたデジタルEP『INSTINCT DAZZLING STARLIGHT EP』で米ダンス/クラブミュージック配信サイト最大手のBeatport 総合チャートで2位獲得という快挙を成し遂げ、さらにAmazon Mp3 ダンスチャート1位、iTunes ダンスチャート4位とデジタルチャートを席巻。クラブ/DJシーンにおいて一躍その名を轟かせる存在となる。その作品群はDavid Guetta やDirtyloud、BBC Asian Network 等に激賞され、2013年にはTHE HACIENDA OISO FESTIVAL 2013 やBIG BEACH FESTIVAL 13、Road to Ultra等 名だたるパーティーにも出演。以降deadmau5主宰のレーベルmau5trap からForeign Beggars “Flying To Mars Banvox Remix”、deadmau5やSteve Aokiの作品をリリースする米大手レーベルULTRA RECORDS からMNDR"UBCL(Banvox Remix)" 等海外アーティストのリミックスを立て続けに担当。
2014年にはiTunesがその年に最も活躍が期待されるアーティストに送る“iTunes NEW ARTISTS 2014”に選出され、リリースしたシングル『Connection/Spin It Back Now』『Love Strong/Watch Me Dance』はそれぞれiTunes ダンス/エレクトロニックチャートで1位を獲得。その勢いは留まることを知らず、2015年2月には話題のGoogle Androidそして4月には自身初となるCD作品『Watch Me Dance』をタワーレコード限定でリリースし同作はタワーレコードのレコメンドタイトル“タワレコメン”にも選出。さらに9月にはDJとしてULTRA JAPAN 2014のメインステージに出演し、12月にリリースしたファーストフルアルバム『Don’t Wanna Be』はiTunesダンスチャートで1位、総合アルバムチャートで4位を記録した。
Google Android CM「じぶんを おもいきり」篇の楽曲プロデュースを担当。同曲は音楽検索アプリ最大手Shazamジャパンチャート1位を記録し話題に。そして5/20にリリースした『Summer / New Style』はiTunesダンスチャートの1位2位を独占。立て続けにリリースしたEP『At The Moment』では自身初となるMVも公開。ULTRA KOREA、ULTRA EUROPE等海外フェスへの出演、そしてフジロックフェスティバル2015出演。さらに2年連続となるULTRA JAPAN 2015への出演。
11月には2度目となるGoogle Android CM楽曲を担当。同CMに起用された“Watch Me”は米大手配信サイトBeatport Dubstep Chart、iTunes Dance Chart、そしてShazam Japan Chartで1位と三冠を達成。その注目度の高さを証明した。banvoxが繰り出す最先端の音楽は海を超え、どこまでも広がり続ける。

 

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