J-POPのヒット曲から学ぶ

アレンジ/編曲の方法を分析!(荒井由美「ひこうき雲」)

アレンジ/編曲の方法を分析!(荒井由美「ひこうき雲」)

2015/12/23


ここではロックからポップス、ダンス系まで、様々なジャンルのヒット曲を例に、それぞれのアレンジの耳を引くポイントを分析していきます。また、各ポイントのフレーズを試聴できるので、記事を読みながらアレンジのコツがつかめます。

※ここでは、すべての曲を「キ=Cメジャー」に置き換えて解説しています。また、メロディは参考曲にインスパイアされて作ったオリジナルフレーズです

無駄のない究極のシンプルアレンジ (BPM=86)

ジブリ映画『風立ちぬ』のテーマ曲としてリバイバルヒットしたこの曲は、“シンプル・イズ・ベスト”を実践したアレンジのお手本です。1コーラスの構成は、Aメロとサビのみと簡潔ながら、聴き応えのある起伏の多い展開になっています。また、アコギとピアノもコードストロークとアルペジオなどのシンプルなプレイが中心のアコースティックなアレンジが施されているのもポイントです。ドラムとベースのリズム隊も手数を最小限にとどめて、淡々としたグルーヴを出すことに徹しており、まさに一切の無駄を省いた究極のアレンジと言えます。

サビ ユーミンの個性が詰まったサビでのコード進行(0:56~)

「空に憧れて 空をかけてゆく……」と歌われるサビは、その切ないメロディと相まって、まさに“ユーミンらしさ”が詰まった独特のコード進行が使われています。特に注目したいのが3小節目の3&4拍めの「Gm7」で、通常は「G7」になるところをマイナーにしています。この予想外の展開が何度も聴いてもドキッとさせると共に、物憂げなイメージを引き立てています。

サビ後半 バンド全体でリズミックなキメを入れて聴き手をハッとさせる(2:34~)

Aメロとサビの繰り返しで淡々と進行するこの曲の場合は、リスナーに単調さを感じさせないようにしていることもアレンジのポイントです。2コーラス目の後にサビを繰り返す際に、上で紹介した特徴的な「Gm7」と、その後の「Fメジャー」の部分でバンド全体でのリズミックなキメを入れて聴き手をいい意味で裏切り、ハッとさせる効果を生んでいます。

エンディング 意味深な余韻を残すエンディングのテク(2:46~)

1番と2番の「ひこうきぐも~」の部分は「G7sus4→G7」の繰り返しですが、エンディングのサビの繰り返しの「ぐも~」(8小節目)では、コードを「Fmaj7→ Gm7」に変えているのが斬新です。さらに、この8小節目がエンディングの1小節目になっています。このように前のセクションの最後と次のセクションの頭を重ねる手法は、エンディングで多用されるので覚えておきましょう。

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