昨年、メジャーデビューをはたした神奈川県出身4人組バンドHOWL BE QUIET（ハウル・ビー・クワイエット）が、ニューシングル「Wake We Up」を8月3日にリリースした。今作は高校サッカー部を題材にしたテレビアニメ『DAYS』のオープニング主題歌となっており、彼らにとって初のアニメタイアップ。発売に先駆けて公開されたミュージックビデオ（ショートVer）は10万再生を達成しており、早くも話題を呼んでいる。ここでは唯一無二のバンドスタイルが持ち味の彼らに、楽曲のコンセプトや制作秘話、気になるタイトル表記の謎について聞いてみた。

取材：橋本周大（編集部）

──まず、今作のコンセプトについて教えて下さい。

竹縄：僕らは3月にリリースした1stシングル「MONSTER WORLD」でメジャーデビューしたんですけど、この「Wake We Up」というのは、前作に続けて僕ら自身が憧れているアイドルの音楽性や自由度、表現の多彩さといった部分に重点を置きました。その上で自分達だからこそできるカルチャーのミックスだったりをコンセプトにしながら作っていきました。

──アイドルの音楽性に対する憧れというのは？

竹縄：アイドルという言葉でネガティブな印象を持ってしまうかもしれませんが、アイドルの音楽って純粋に素晴らしいなと思うんです。僕自身、小さい頃からSMAPさんを聴いて育ってきたのもあるんですけど、アイドルって現在の音楽シーンの中でも素晴らしい歌を出していると思うし。日本国内にとどまらず海外でもOne Direction、韓流で言えばSHINeeだったり、とても音楽の最先端を行っているし何より面白いじゃないですか。

──ジャンルに縛られないということが重要なのですね。

竹縄：そうですね、アイドルだからこそできることでもあると思うんです。ロックバンドが変わったことをすると「ロックバンドなのに」とかマイナスな印象を持たれてしまうじゃないですか。でも、アイドルというだけでその音楽に対して良い意味でアイデンティティがないから、様々なジャンルの音楽ができるし、同じように表現も多彩な方法を選ぶことができる。僕自身そういった音楽を自由に表現していきたいという気持ちがあるので。ただ、アイドルというコンセプトというか、アイドルそのものになりたいとかではなく、音楽のジャンルに対して憧れを抱いていますね。

──表題曲はテレビアニメ『DAYS』の主題歌ですが、実際に原作をご覧になった印象は？

竹縄：曲を作る前に読ませていただいたのですが、まずとても面白かったです。それと自分との共通点を多く感じました。

──共通点とは？

竹縄：物語が高校のサッカー部ということで、僕ら自身高校から活動を続けていてるのもそうだし、高校で出会ったのも同じ。一緒にライブハウスでライブもしていたし、部活も一緒だったり。そういったところは『DAYS』の登場人物達と何ら変わりがないです。スポーツと音楽というジャンルは違えど、ストーリーなど共通する部分がスゴく多かったですね。

──岩野さんはいかがですか？

岩野：読む前に、サッカー漫画ということは聞いていたので、いわゆる「スポ根なのかな？」と思いつつ読んでみたんです。でも、スポ根というよりは登場人物一人一人の個性がスゴく濃くて。その中でキャラクター達の心情の描き方が面白く、身近に感じられるような作品だったので「こういうスポーツ漫画は見たことないな」と。それに高校時代の部活動って、一生の内でとても大切で貴重な時間を読んでいるという感覚でした。

橋本：僕も亨（岩野）が言ったように、人間ドラマに惹かれました。人間ってストレートに言うと、ずる賢いというか汚い部分も持ち合わせているじゃないですか。そういう部分もあって人だと思うんですけど、でも主人公の柄本つくしは、皆のためにだったり、その人達と一秒でも長くサッカーをやれるためにだとか、自分は下手だけど周りの人達の力になる、といったように自分の損得を考えずに向き合っていく姿に感動しました。自分もこの純粋な気持ちを忘れちゃいけないと。

黒木：いわゆるスポーツ漫画って、テクニックがスゴかったりだとか、キャラクターに技があったりするじゃないですか。もちろん『DAYS』にも出てくるんですが。ただ、僕がこの『DAYS』を読んで新しいなと思ったのは、キャラクターの心情や性格が一人一人丁寧に描かれていることでした。人物同士の関係性であったり、出会い方だったりが脇役にまでしっかりしていて、どの人がどういう人物なのかがリアルなレベルでわかるというか。いわゆるスポーツ漫画と青春漫画が融合したような作品だと思いました。あとはいい意味で汗臭くなくて、爽やかな甘酸っぱい部分もあって。なので今回のお話をいただけて素直に嬉しい気持ちです。