河村隆一流の “大人のロックアルバム”

河村隆一『Colors of time』インタビュー

河村隆一『Colors of time』インタビュー

2016/09/26


河村隆一が、ソロとしてアルバム『Colors of time』を9月28日にリリースする。今作は“大人のロック”を目指したというコンセプトの通り、バラードあり、アコースティックありと内容も多岐に渡り、LUNA SEA、Tourbillonともまた違った世界観(今の河村隆一の想い)を堪能できる作品だ。ここでは、アルバム制作のエピソードを中心に、表題曲「Colors of time」誕生の秘話なども聞くことができた。ファン必見のインタビューだ!
取材:東 徹夜

 

──今回の『Colors of time』は、どんなことを意識して作られたアルバムなのでしょうか?

河村:前作のアルバム『Magic Hour』では、すべて生にこだわり、楽器はもちろんボーカルもノンリバーブで、ビルボードやブルーノートのような近い空間で聴く音像をイメージしていました。今回はその上半身をある程度残しつつも、下半身であるドラム、ベースをちょっとロックにしてみたり、80年代のボウイとかジャパンとか、あの時代のリバーブ感だったりエフェクト感もリズム隊に入れています。収録曲には、バラードとかちょっとアコースティックっぽいものもあるんですけど、そういう隙間のある “大人のロック”を作れたら良いな、というのが今回のコンセプトです。

──まず、1曲目の「God's gift to man」ですが、非常に荘厳な雰囲気があって、アルバムの幕開けにふさわしい期待感を持たせる楽曲ですよね。この曲をオープニングに選んだ理由は?

河村:「こういうアルバムですよ」っていう提示がしたかったし、変化球である3曲目にいい形でつなげたかったんです。まぁ、変化球というか「あ、前作と変わったな」という印象をまずは植え付けたかったですしね。

──歌詞や世界観でいうと、どういったことを意識して作られた曲なのですか?

河村:イメージとしては「森の中で雨が降り出してきた」ところですね。今回のアルバムは、全体を通して“雨”が色々なところで出てくるですけれども、雨は木の葉に落ちる時、岩に落ちる時、土に落ちる時と、そのサウンドがそれぞれ違いますよね。風が吹けば当然木から「バサバサバサッ」と落ちてきたりするし。この1曲目では、その自然の作るサウンド、音楽に感動している主人公がいて。それはまるで、「神様がくれた、人間が再現できない素晴らしい音楽」なんじゃないか、これは「神様がくれた恵み」なんじゃないかって。雨っていうと、どうしても暗い印象だけど、そうじゃなくて「恵みの雨なんだ」ってね。

──歌詞の中には、人の愛情についても触れていますよね。

河村:そうですね。森の中で、もう一人の主人公が出て来て、「目を閉じてもあなたのそばに」「あなたのところまで行けるよ」と。人って、自然の中にぽつんと置かれると不安になったり、偉大な自然の力の中で無力さを感じたりするんだけど、自分のことを分かってくれている人がいるんだなって。それは恋でも友情でもあると思っていて。そういう歌にしたかったですね。

河村隆一

 

──続いて、2曲目の「Longing for」ですが、まさに大人のロックというか。ある意味で今回のアルバムを象徴する楽曲だと思いましたが。

河村:2曲目は、光のある場所へ出て行こうとする主人公の葛藤を描いています。イメージでは、ずっと雨の中で砂浜を歩いていた主人公が、もう一人の自分だったり、誰かと出会い、その人間がふと「いや、でもこの世界は繋がっているんだ」と言うんです。その時に主人公は「あ、自分が境界を作っていたんだ!」と初めて気付くんです。そして雨が止むのを待ってみようかと思う。初めて、その光というか日光のたまった場所へ出て行こうとするんです。

──個人的には「傘もささず ただ歩いた」というワードがすごく印象的でした。

河村:そうですね。ここはリフレインもしているし。この主人公の感覚的にいうと、傘をささないこともすべて自分で選んで行なっているような描写だと思うんです。

──河村さんの中では、特に思い入れがある歌詞というと?

河村:やはり「世界はきっと繋がっている」かな。いくつか考えていたんですけど。「止まない雨はない」とかね。でも、この歌詞がコアになったし、この物語の着地点というか。

──なるほど。では、3曲目の「あなたの花」ですが、こちらはピアノから始まる素敵なバラード曲ですね。

河村:メロディもコードも歌詞も違うと思うんですけど、実は小さな頃に聴いた「バ〜ラが咲いた」みたいな曲を書きたいなと思ったんですよ。何か一見寂しい感じがするんだけど、心が温まるような。それは歌い方もそうだし、楽曲のアレンジの積み方もそうだし。スゴく静かに始まって、でも「あなたの努力や思いに笑顔に、その頑張って見せた笑顔が花を咲かせている。もしかしたら周りの人を勇気づけている」という歌を作りたくて。

──歌詞の“一輪の花”とは、河村さんご自身では何色のバラをイメージされていたのですか?

河村:赤かな、やっぱり。でも全体的にモノクロのイメージもありました。

──この曲も“雨の中にあるバラ”なのですか?

河村:今、時代がスゴくもがいていて。もちろん良いところもあるけど。僕、悲観的なことを考えたり言葉にするのがあまり好きじゃないので、悪くなるなんて全然思っていないし。歌詞では「この雨がきっと止むとあなたは知っていた」って書いたんですけど、人の痛みを和らげる笑顔があったり、努力している姿に必ず一人一人に花は咲いているんだ、っていう曲を書きたかったんです。
 

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『Colors of time』

【CD+DVD】

¥4,500+税
AVCD-93475/B

CD
1. God's gift to man
2. Longing for
3. あなたの花
4. August
5. Guitar Riff
6. raindrop
7. a butterfly
8. Colors of time
9. line of flight
10. oneself

DVD
1. Longing for (Music Video)
2.「 Colors of time」 Making Movie

【CD】

¥3,500(+税)
AVCD-93476

CD
1. God's gift to man
2. Longing for
3. あなたの花
4. August
5. Guitar Riff
6. raindrop
7. a butterfly
8. Colors of time
9. line of flight
10. oneself

ライブ情報

Ryuichi Kawamura Live 2016(仮)
NEW ALBUM 中心のライブ
2016年10月1日(土)
開場17:00 /開演18:00
Zepp Tokyo

Ryuichi Kawamura Live 2016「深愛」
「2001.1st stage 深愛」(日本武道館)のSET LIST を再現!!
2016年10月2日(日)
開場16:00 /開演17:00
Zepp Tokyo

11.18 「大覚寺夢舞台」~伝統文化支援・熊本地震復興支援コンサート~
〈第一夜〉
2016 年11 月18 日( 金)
18:30 開場/ 19:00 開演
cоba
八神純子
河村隆一
会場:旧嵯峨御所 大本山 大覚寺(宸殿・白砂庭園)
京都市右京区嵯峨大沢町4

2016.11.04〜11.26
Ryuichi Kawamura Presents No Mic, One Speaker Concert at Church Tour

2016年11月4日(金)
開場18:00/開演18:30
仙台セント・ジョージ教会
JR「仙台駅」徒歩約5分
仙台市宮城野区鉄砲町西1-22
【問】ニュース・プロモーション 022-266-7555

2016年11月10日(木)
開場18:00/開演18:30
キリスト品川教会 グローリア・チャペル
JR「品川駅」徒歩約8分/京浜急行「北品川駅」徒歩約3分
東京都品川区北品川4-7-40
【問】キョードー東京 0570-550-799

2016年11月13日(日)
開場15:30/開演16:00
北陸学院大学 番匠鐵雄 記念礼拝堂
JR「金沢駅」よりバス「北陸学院大学前」下車徒歩3分
石川県金沢市三小牛町イ11番地
【問】FOB金沢 076-232-2424

2016年11月25日(金)
開場18:30/開演19:00
九州キリスト教会館 4F 礼拝堂
地下鉄空港線「赤坂駅」徒歩約7分
福岡市中央区舞鶴2丁目7-7
【問】キョードー西日本 092-714-0159

2016年11月26日(土)
開場16:30/開演17:00
日本基督教団 広島流川教会
JR「広島駅」徒歩約15分
広島県広島市中区上幟町8-30
【問】HIGHERSELF 082-545-0082

全席指定:¥10,800(税込)
※未就学児童のご入場は不可
一般発売:2016年10月15日(土)

河村隆一
(RYUICHI KAWAMURA)

1970年5月20日生まれ
牡牛座
O型
神奈川県出身

1990年代を代表するロックバンド、LUNA SEAのヴォーカリストとして世に知られる。1997年、バンド活動休止に伴い本名でのソロ活動を開始。1997年に発売された4枚のシングルは 全て大ヒットを記録(特に2枚目のシングルである「Glass」は自身初となるミリオンセラーを達成した)し、自身初のフルアルバム『Love』は今現在も男性ソロアーティストアルバム売り上げ歴代1位である。また、デビュー1年目にして紅白歌合戦に出場するなどLUNA SEAを知らない年齢層にも広く認知されることになった。 LUNA SEA終幕後の2001年には2度目の紅白歌合戦出場を果たしている。2011年5月3日には、日本武道館にて104曲を歌い、ギネス・ワールド・レコーズに認定。LUNA SEA再始動後は、2013年1月11日〜13日、18日〜20日日本武道館6DAYS公演を行い、同年12月には13年 振りとなる、アルバム「A WILL」をリリース。結成25周年の2014年6月7日松戸を皮切りに約8ヶ月に及ぶ全国ツアーを敢行。そして25周年のファイナルとして2015年 6月27日・28日の両日、初めての冠フェス「Lunatic Fest」を幕張メッセで開催。驚異的な話題を集める。ソロとして現在まで、シングル19枚・アルバム18枚をリリース。 2016年9月28日にはニューアルバム「Colors of time」をリリースする。


 

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