河村隆一流の “大人のロックアルバム”
河村隆一『Colors of time』インタビュー
河村隆一『Colors of time』インタビュー
2016/09/26
──8曲目にはアルバム表題曲の「Colors of time」が収録されていますよね。あえて、英語の歌詞で歌われた理由を教えてください。
河村:実はこの曲は2年前に作った曲なんです。「Patek Philippe(パテック・フィリップ)」というスイスの機械式時計のメーカーがあるのですが、そのメーカーが2014年に175周年イベントを聖徳記念絵画館というところで開催して。そこは聖徳太子の絵が飾られてある博物館なのですが、イベントではそこに飾ってある絵と同じ年代の懐中時計も展示されていて。僕自身もそのメーカーのファンなんです。そこで「イベントで歌わせてください」とお願いをして、曲を書かせてもらったんです。なのでタイアップというよりは、自分で持ち込んだというか(笑)。当然スイスからチェアマンである会長や社長もいらっしゃったので、ぜひ英語で意味を伝えたいなと。曲に篠笛が入っているのも日本を感じて欲しくてのことです。ちなみに、曲の冒頭に「チーンチーンチーン」って音が入っているんですけど、あれはPatek Philippeの時計に付いているミニッツ・リピーター音なんです。それをサンプリングして収録しています。
──「Patek Philippe」のどういったところがお好きなのですか?
河村:携帯にも時計が付いているし、腕時計している人も減ってきていると思いますが、でも、歯車とゼンマイで「自分で手巻きして命を吹き込んで動かす」というところが好きです。動力としては単純にゼンマイを巻いて解けることで動いているっていう、スゴい古典的だけど、そこに宇宙があって。ミニッツ・リピーターの音も天界の音楽みたいなことを言われているらしくて、スゴく美しい音色ですよ。あと、音楽ってBPMがあるじゃないですか。何分何秒って、ある意味ですべてが時に支配されていて。ロックバンドからすると、機械式時計にはいくつも共通点があるんじゃないかと思っています。
──さて、ソロとしては来年で20年を迎えるということで、いい意味で自分の声に関して、昔と変わって来たと思う部分はありますか?
河村:今回、AKG「C12A」というマイクを、ソロ、Tourbillion共に初めて使いまして。1ヶ月の間でソロ3日、Tourbillion4日の計7日間なんですが、やはりマイクの合う、合わないはその時によって変わってくるんだなっていうのはあらためて感じましたね。今まではNEUMANNの「49」、「67」、「269」を使っていたんですけど、今回は「C12A」がぴったりでした。倍音が下にも伸びてきてね。例えば、一時期は高い音でローカットしたような、とんがったキンキンした音を求めて歌っていた時代もあるんですけど、今はできるだけ自分の声をナチュラルに出したいなと。当時と同じキーを歌っても今の方が余裕があるように聴こえるというか、あまりキンキンしないんです。「キー下がりましたよね」って言われることがあるんですけど、逆に言うとコーラスのラインとかは高いキーを出しているんです。そういう意味では歌にふくよかさ、余裕が出てきたのかな。
──ずっと第一線で唄い続けるために行なっているトレーニングなどありますか?
河村:今はボイストレーナーの先生のところには何年も通っていないんです。でも週に何回かは絶対に歌っていて、それがトレーニングになっていると思う。スタジオにも行くし、リハーサルもするし。レコーディング、本番、ライブ、色々なところで必ず歌い続けているので、それが常に訓練にもなるというか。本番で磨かれるというか鍛えられている気がします。
──食事などで気をつけていることはありますか?
河村:あまりないです。一番の問題は、僕アレルギー性鼻炎で。これを患っている人は鼻だけではなく、喉が腫れたり赤くなったりするんです。つまり粘膜のすべてがアレルギーに反応しているというか。クーラーが効いていないところから急に効いているところに行くとくしゃみが出たり。冬の暖房、夏の冷房で喉を壊したり。なので、僕は一年のうち200日ぐらいマスクをして寝ています。苦しいんですけど。でも、それをやることでやっぱり調子が良いんです。
──ジムにも通われているそうですが、体を鍛えると違いますか?
河村:やはり違いますね。今は特にトレーニングの中でダッシュをやっています。角度のついた坂を、マイル表示なんですけど、20度の9マイルとか、25度の10マイルとか。それを6〜10秒走るのでものスゴく心拍数が上がるんです。ほぼ無酸素運動に近くて。それで「ハーハー」言って数十秒後には「もう一本いきましょう」って、心拍の上げ下げを毎日のように繰り返しているんです。そうするとライブで言うところの「わーっ!」って歌って「はぁはぁ」ってなるけど、MCをしている間に心拍数が戻ってくるみたいな。で、すぐに次の曲でもう一度スタートダッシュを決められる状態になっているので。これは大きいと思います。
──今後、ソロツアーも予定されていますよね。LUNA SEAやTourbillionとは違い、どのようなライブになりそうですか?
河村:今回は、ノーマイク&ノースピーカーがあったり、ニューアルバム中心の公演があったり、また11月には教会ツアーも予定しています。とにかく僕は集中力がスゴく大事だと思っていて。常に違うアプローチやチャンネルを持っているのもそれが理由です。そう言ったことの一つ一つがスゴく自分にとって新鮮な時間であったら良いなと思うし。ファンの人達にも本当にそういう集中している魂の叫びを届けられたら良いなと思います。
──では、最後にあらためて今回のアルバムの聴きどころと、ファンへのメッセージをお願いします。
河村:今回の『Colors of time』は、余裕のある、そして良い意味で遊び心というか、隙間のあるロックアルバムになったと思います。バラードもあるし、様々な楽曲が入っていますけども、何かこう色々な雨粒、雫の光を感じてもらえればうれしいです。ぜひアルバムを聴いて、ライブにも遊びに来てください!
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