ゲストアーティストには細美武士、大橋トリオが参加!
SUEMITSU&THE SUEMITH『Bagatelle』インタビュー
SUEMITSU&THE SUEMITH『Bagatelle』インタビュー
2016/10/13
末光:特にないんですよ。アルバムタイトルの『Bagatelle』(バガテル)とは、クラシック音楽で言うところの「ピアノ小品集」っていう意味なんですね。「ベートーベン小品集」など色々あると思うんですけど、そこに収録された楽曲は何か関連性を持っているわけではなくて、それぞれ独立した小品を集めている。今作はそれに近い性格なので、このタイトルを付けました。何か一つの大きなテーマにしばられて曲作りをするというよりは、「やりたいことを、やりたい人と、1曲ずつ完成させていく」という感じでしたね。
──なるほど。料理でいうところの「アラカルト」的な感じですね。
末光:はい。ただ、そのままだと本当にとっ散らかったままになってしまうので、曲の骨子である自分自身は見失わないようにしながら、注意して作りました。どこを切り取っても僕らしさが聞こえてくるような、そんなアルバム作りを心掛けました。
──末光さんらしさ、というのはご自身ではどの部分だと思われますか?
末光:うーん、とても抽象的になってしまいますが、例えば大橋トリオをフィーチャーした曲に関しても、大橋くんのために書いた曲というより、あくまでも僕のフィールドの中で大橋くんに歌ってもらっているというような。そこは、楽曲提供の場合の書き方とは全く違ってくるんですよ。
──曲作りはいつもご自宅で行なわれているのですか?
末光:そうです。家にあるスタンウェイのアップライトピアノを弾いて曲を作っています。僕はDTMがあまり得意じゃなくて(笑)。操作する際のストレスが半端ないんですよね。使い方を覚えることにあまり興味がないし、その時間がもったいないと感じてしまうので。その代わり、僕にとっての作曲・編曲ツールがピアノなので、頭の中で鳴っているギターやドラムのフレーズを、ピアノを弾きながら整理して、そのイメージをマニュピレーターさんに説明しています。例えば、「ドラムはこんな感じで、ベースはこうで」っていうのを口で歌ってみたり、ピアノで弾いてみたりしながらまとめていく。あくまでもデモは、レコーディングに参加してもらうバンドメンバーに聞かせるために作っているんですよ。
──自宅以外の場所で曲を書くこともありますか?
末光:ほとんどないですね。なぜかわからないけど、曲は家で作っています。ただ、最初のモチーフみたいなものは、普段の生活の中で考えます。それも、街で流れている音楽などに影響されることが大きくて。どこかのお店に入って、「いいな」と思う曲が流れていると、お店の人に聞くこともありますね。恥ずかしいんですけど(笑)。
──今はスマホのアプリで曲を簡単に見つけてくれますよ?(笑)
末光:そうみたいですね。でもインストールしたり、操作したりするのが面倒臭くて...(笑)。多少恥ずかしくても、聞いてしまう方が手っ取り早いって思っちゃうんですよね。で、そういう時に耳に引っかかるのは、普段自分では進んで買わないような楽曲だったりするから面白くて。そういうところから受けたインスピレーションを、自分の作風に反映させながら色んなタイプの曲を作っているのかもしれないです。
──そういう時って、楽曲のどのようなところに引っかかるのでしょうか? コード進行?
末光:まさにそうです。僕はコードとメロディしか聴いていない。そこに付随する音は一切無視して、主旋律と和声の関係に注目しています。そうすると、その楽曲がどんなサウンドだろうが、どんなジャンルだろうが関係なく、自分の音楽に取り込めるんですよ。もちろん、楽曲によっては「このキックの音良いな」とか「このシンセの音色カッコ良いな」と思うこともありますし。それを参考にアレンジを考えることもあります。
──ピアノを弾きながら思い浮かんだ楽曲は、ICレコーダーか何かに録りためておくのですか?
末光:いや、録らないですね。これもまた面倒臭いんです(笑)。録ったものを聴き直す作業も面倒臭い。なので、大抵は頭の中で覚えておきますね。何曲か同時に作ることもあるのですが、そういう場合でも録らずに覚えておく。数えてみたことがないけど、10曲くらいは同時に作れると思います。1曲を1日で仕上げることってあまりないので、何日かかけてちょっとずつ固めていきますね。
──マニュピレーターさんと制作するデモ音源は、かなり細かい部分まで作りこむのですか?
末光:かなり細かく指示して作り上げます。ただ、それを聞いたセッションメンバーの人達が、どう解釈して、どんなふうに演奏してくれるかは、ほぼすべてお任せしていますね。
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