日本を代表するギタリスト木村大とピアニスト榊原大が軌跡の融合

木村大×榊原大 デュオ・アルバム『Rosso Nero』インタビュー

木村大×榊原大 デュオ・アルバム『Rosso Nero』インタビュー

2018/07/03

──パンチイン(部分録直し)は結構されたんですか。

榊原:パンチインは普通にしますね。ガンガンします。

木村:音楽的な流れが途切れないようにお互いにまず一発録ってそこから、うーん気に入らないなってところを重点的に修正していく感じですね。

──結果的に曲のイメージが変わるくらいの修正もあったりしたんですか。

榊原:それはないよね。

木村:榊原さんのところでレコーディング前にプリプロしてるんで、スタジオに入ったら迷いはないですね。

──じゃあプレイ的なミスとかだけですね。

榊原:そうですね。あと音色的な部分とか。

──レコーディングはマイク何本ぐらい使ったんですか。全部マイクですよね。

木村:僕のギターはマイクとライン、ミックスですね。コンデンサーマイク2本と離し気味の2本で計4本とラインですね。

榊原:ピアノはすべてマイクで、エアも含めて7〜8本ですね。なので最初に音場とサウンドを決めて、部分的な録り直しの場合も同じ環境でやりました。

──エフェクトは空間系のみですか?

木村:基本的にはリバーブ、多少コンプもかけているのとあとは企業秘密ですね。(笑)

──では次に具体的な曲に関してお聞きしたいのですが、今回それぞれ1曲づつオリジナルを作られてますよね。木村さんの曲ではピアノが、榊原さんの曲ではギターがメロディを取られていますが、これには理由が?

榊原:そういうわけではないです。後半ピアノがメロディ取ったりして交互にやってます。

木村:だいたい僕の場合はアレンジとか書くと一番おいしい所はピアノに持ってくっていうのはありますね。榊原さんに委ねたいなっていう。一番ハイライトになる部分は。

──ではピアノでの旋律が前提でメロディを作っていくのですか。

木村:そういうわけではないです。自分の中でこういう感じかなってメロディが浮かんで、それを譜面に書き込んで榊原さんに弾いてもらって。それでどうですかって感じで互いに流れを作っていく感じです。

──榊原さんの場合はいかがですか。

榊原:あんまりシリアスには考えてないですね。まぁなんとなく二人のアルバムだし、二人の顔が見えるように交互にメロディを取ってっていう。それと僕が単純にギターって楽器が大好きなんでギターでメロディを取りたいっていう、弾けないけどこう想像しながらね。

──2曲目の“タンゴ・アン・スカイ”ですが、楽曲的にはキメの多い難しい楽曲だと思うのですが選曲理由は?

木村:この曲は昨年亡くなられたRoland Dyansというクラシックギター界ではマエストロ的な存在の方が書かれた、クラシックギターを弾く方なら誰でも知っている名曲なんです。これを僕がアレンジしても同じ雰囲気になってしまうので榊原さんがアレンジした方が良いということでお願いしました。

榊原:僕はこの曲の背景を良い意味でも悪い意味でも知らなかったので、それが逆に良かったのかも知れないですね。普通にかっこいい曲だなと入ったので。ただ何人かのギタリストのYouTubeは観ました。(笑)で、自分なりに思ったことを木村大と僕とでやったらこうなるなというものをイメージしてアレンジしました。だから凄く素人的な目線から、いち音楽ファン的な目線でアレンジできましたね。

木村:「タンゴ・アン・スカイ」の「スカイ」はフランス語で合成の皮を意味してるんですね。これはまぁフランス人が書いたタンゴだから本物のタンゴじゃないよっていうちょっと皮肉ったフランス人ぽいタイトルなんです。これを榊原さんがアレンジしたことによって合成じゃなくて本皮になったかなと。ちゃんと本物のタンゴにアレンジしてくれたかなって思いますね。クラシックギターやってた人や「タンゴ・アン・スカイ」を聴いていた人達はびっくりすると思いますよ。喜んでくれるアレンジだと思います。
 

次のページ »

この記事の画像一覧

(全0枚) 大きなサイズで見る。

木村 大 × 榊原 大
『Rosso Nero』
KING RECORDS
2018年6月6日(水)発売


Rosso Nero
CD
KICC-1456
¥3,000+税

【収録曲】
01.Invention No.4,BWV775
   インヴェンション第4番 BWV775
   (Johann Sebastian Bach)
02.Tango En Skai
   タンゴ・アン・スカイ
   (Roland Dyens)
03.Asturias -Suite"Espanola"
   アストゥリアス~組曲「スペイン」より
   (Isaac Albeniz)
04.Violin Concerto"The Four Seasons"Op.8,No.2 "Summer"3rd Mov."Presto"
   ヴァイオリン協奏曲集「四季」~「夏」第3楽章 プレスト(夏の嵐)
   (Antonio Vivaldi)
05.Waiting For You On The Hill Of Nemophila
   ネモフィラの丘であなたをまつ
   (Dai Kimura)
06.Romance (from The Film"Jeux Interdits")
   愛のロマンス~映画『禁じられた遊び』より
   (Anon)
07.Arabesque No.1 -Deux Arabesques
   アラベスク第1番~「2つのアラベスク」より
   (Claude Debussy)

08.El Futuro
   エル・フトゥーロ
   (Dai Sakakibara)
09.Piano Sonata No.8,Op.13"Pathetique"2nd Mov.
   ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」第2楽章
   (Ludwig Van Beethoven)
10.One Summer's Day (from The Film"Spirited Away")
   あの夏へ~映画『千と千尋の神隠し』より
   (Joe Hisaishi)

木村大 Dai Kimura (Guitar)
榊原大 Dai Sakakibara (Piano,Toy Piano,Melodica)

Recorded on 7,8,16,24 April,2018@KING SEKIGUCHIDAI STUDIO
【コンサート情報】

「木村大×榊原大 デュオ・アルバム『Rosso Nero』発売記念ツアー」
2018年
■7/21(土)山口 山口市大海総合センター(らんらんドーム)
■7/26(木)名古屋 NAGOYA Blue Note
■7/27(金)大阪 ザ・フェニックスホール

■8/24(金)和歌山 デサフィナード
■8/25(土)三重 鈴鹿・どじはうす
■10/18(木)東京 浜離宮朝日ホール
■10/19(金)石川 金沢市アートホール
■11/27(火)北海道 札幌コンサートホールKitara小ホール

2019年
■1/19(土)岡山 岡山シンフォニーホールイベントホール
■1/20(日)広島 三原市芸術文化センターポポロホワイエ
木村大

木村 大(Dai Kimura)
1982年、茨城県生まれ。5歳より父、義輝に師事、ギターと音楽理論を学ぶ。小学1年で第13回GLC全国学生ギターコンクール小学校低学年の部優勝。1996年、世界水準と言われる第39回東京国際ギターコンクールで優勝。1996年、1997年2回にわたり茨城県知事賞受賞。この年バルセロナ音楽祭に招待されヨーロッパデビュー。17歳でソニーよりCDデビュー。アルバム『ザ・カデンツァ17』『駿馬』『アランフェス』を発売。デビューアルバムがクラシックでは異例の5万枚を超える大ヒットを記録。2001年2月、第11回新日鐵音楽賞フレッシュアーティスト賞を受賞。スペイン王立セビリア交響楽団全国ツアーにソリストとして参加。2002年4月より英国王立音楽院に留学、帰国第一弾として2004年3月、NHK交響楽団と3夜連続共演。11月、第1回ベストデビュタント賞(音楽部門)を受賞。アルバム『カリフォルニアの風』(2005年)、『ロンドン・エッセイ』(2006年)、『INFINITY mugen-DAI』(2009年)発売。2013年3月にキングレコード移籍第一弾となるアルバム『HERO』を発表。同年7月に初の教則DVD『木村大クラシック・ギター・レッスン』、2014年アルバム『ONE』、2016年『ECHO』をリリース。唯一無二のギタリストとして、今後のさらなる活躍が期待されている。

オフィシャルサイト

榊原 大

榊原 大(Dai Sakakibara)
1967年生まれ。4才よりピアノを始める。東京芸術大学音楽学部器楽科ピアノ専攻卒。大学在学中にG-CLEFを結成。アルバム『Pell-Mell』でデビュー。卓抜した音楽性、演奏力をベースにフュージョン・インストゥルメンタルのフィールドを開拓し、インストゥルメンタル・ バンドとしては初の紅白歌合戦出場を果たすなど、多彩な実績を残す。バンド解散後も、その幅広い音色とジャンル不問の卓越したセンスは、葉加瀬太郎、松田聖子、姿月あさと、河口恭吾、森口博子など数々のアーティストのサポートやアレンジワークで発揮される。2001年から本格的にソロ活動をスタートさせ、ソニーレコードから6枚のオリジナルアルバムを発表。bayfm他11局のラジオパーソナリティを務めるなど活動が多岐に渡る。また、映像音楽の分野でも、NHK連続テレビ小説『ファイト』(2005年)、日本テレビドラマ『ブルドクター』(2011年)、映画『あいときぼうのまち』(2014年) など数多くの音楽を手掛け、その他、テレビ朝日系列『ANNニュース』『ワイ ド!スクランブル』テーマなどでも楽曲を提供している。キングレコードに移籍後、アルバム『Seeds Of Life』(2012年)、『Dear Classix』(2014年)、『Dear Love Songs』(2015年)を発表。最新作は初のベストアルバム『My Road~Best Of Dai Sakakibara~』(2017年)。

オフィシャルサイト

関連する記事

PAGE TOP