バンド存続の危機を乗り越え生まれた、2年ぶり4枚目の最新作!
IKE(SPYAIR)『4』インタビュー
IKE(SPYAIR)『4』インタビュー
2015/11/24
11月18日に約2年ぶりとなるニューアルバム『4』をリリースしたSPYAIR。今年の夏には単独野外バンドでライブ史上初の1万人を集めた『JUST LIKE THIS 2015』を大成功させた彼らだが、ボーカルIKEの喉のポリープによる療養期間を挟むなど、アルバム完成までの道のりは決して平坦ではなかったという。そんな彼らがいかにして『4』を完成させたのか!? ここでは、復活を遂げたボーカルIKEに、今作にかける想いやレコーディングの様子などについて話を聞いた。自らも強いこだわりを持つマイクに関する話など、ファンはもちろんボーカリストを目指す人も必見のインタビューだ!
取材:布施雄一郎 撮影:吉浜弘之
『4』は自分の気持ちとのリンク率がものすごく高い

──4作目となるアルバム『4』は、音楽的にも幅の広い、実にバラエティに富んだ作品となりましたね。
IKE:これまでの3枚と比較しても、カラフルさが増して、いろんな色味を出せたと思っています。ロックバンドだという自分たちの形を保ちながら、色んなアプローチの曲に挑むことによって、より作品に輝きを持たせることができました。もちろんロックバンドとしての意識を強く持っていますが、それがあまりに強すぎて、ジャンルが限定されてしまうのもよくないと思っているんです。音楽の幅って、本当に広くて、深いじゃないですか。でもその中で、リスナーのみなさんが自然に受け取ってくれるものって、たぶん“ポップさ”だと思うんです。そこには、ロックテイストのポップもあれば、いわゆるポップスもあるわけで、そういったバランスを一番いい形でアルバムの中に収められました。これまでのSPYAIRの作品の中で、一番、オーバーグラウンドでも通用できる聴きやすさを形にできたなという自負を持っています。
──前作『MILLION』からの約2年間が凝縮された内容ですね。
IKE:その間に、イレギュラー(注:IKEの長期療養による活動停止)があって、その後に復帰していくわけですけど、復帰直後に録った曲と、制作期間の後半に録った曲とで、俺らの演奏タッチ自体も変わっていて。歌詞に関しても、その時々を象徴する言葉が散りばめられていたりと、自分たちの歴史が詰まった、ドキュメンタリー性の強いアルバムになったと感じています。
──制作の進め方自体も、これまでと何か違いがあったのですか?
IKE:過去の3作は、最初に作品全体の“設計図”を作って、それを完成させるべく楽曲を1曲1曲作っていくというようなやり方だったんです。でも今回は、イレギュラーな出来事があったので、結果として設計図なしで、1曲1曲と向き合うような形で作っていきました。これは、俺らにとって初めてのやり方だったから、「本当にアルバムになったのかな?」って、当初はあまり実感が湧かなかったんですよね。でもマスタリングを終えた音源を、自宅のコンポや車の中、iPhoneなどいろんな環境で聴いて、「ああ、アルバムになったんだな」という安堵した気持ちになっています。
──その分だけ、これまでの3作とは、やはり想い入れの違う作品になったのでは?
IKE:2年という歳月を注ぎ込んで完成した『4』は、曲ごとにその時々のリアルが詰め込まれてるし、自分の気持ちとすごくリンクするものばっかりなんです。自然と「いいアルバムだな」と感じます。しかも、曲中のメッセージは、俺にとっては痛みを伴うものもありますから、決して無視できるような存在ではないんですよ。
──それだけリアリティのある作品だと。
IKE:絶対にスルーできませんよね。ここまで包み隠さず、すべてを曝け出してしまっていいのかなって思うし(笑)。音楽って、基本的には、“きれいな嘘”があって成り立つものだと思ってるんですよ。だけど俺らは、ここまで正直に話してしまうし、俺が歌っていない曲(注:「4LIFE」は、IKEの活動停止中に、残りのメンバー3人がIKEに向けて制作した楽曲)も、思い切って収録しました。正直に言うと、ちょっと迷いもありましたけど、アルバムが完成して、改めてこの曲も受け入れられるようになりました。
──それだけ特別な作品となったわけですが、歌に対する気持ちやボーカリストとしての意識の変化もあったのでしょうか?
IKE:実作業の面では、これまでと大きな違いはありませんでしたけど、やはり気持ちの面では随分と違いましたね。復帰後は、肩の力を抜いて活動できているので、素直に歌えたと思います。「COME IN SUMMER」と「ダレカノセイ」は、復帰直後で、まだ硬さが残ってるんですけど(笑)。レコーディングの後半戦に録った「Stand by me」や「アイム・ア・ビリーバー」は、個人的にすごく納得できる仕上がりになりました。
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