あらゆるDAWを素早くコントロールできる
MIDIキーボード「Impact LX88+」を打ち込みとミックスの両方の作業でレビュー
MIDIキーボード「Impact LX88+」を打ち込みとミックスの両方の作業でレビュー
2017/04/05
ネクターのMIDIコントローラー/キーボード「Impact LX88+」は、様々なDAWとの高い親和性を誇る、快適な操作性が特徴の製品です。その操作性や利便性のポテンシャルを探るために、打ち込みとミックスの両方の作業でチェックしてみました。
文:内藤 朗
写真:小貝和夫
「Impact LX88+」は、フェーダーやボタンのレイアウトが十分に考えられているため操作性が良く、88鍵ながら軽量ゆえ機動性が高く、ライトタッチで演奏性も優れており、MIDIキーボードとしての基本性能は申し分ありません。
本製品の最大の売りは「Nektar DAWインテグレーション」という機能です。これは、本体のフェーダーやボタンなどを自動でDAWに合うセッティングにしてくれる機能で、使用するDAWのインテグレーションファイルをインストールするだけで、主な操作がImpact LX88+側から行なえるようになります。
CUBASEで試してみると、「ミキサー」モードでは、フェーダーを操作すれば各チャンネルのボリュームバランスの設定が、ボタンでミュートやソロ、ノブでパンの設定が瞬時に調整できました。また、「インストゥルメント」モードでは、フェーダーでソフト音源のアンプとフィルターのエンベロープが、ノブでカットオフやレゾナンスなどが操作でき、アイディアをすぐに音にしたい急を要する場面でも、素早く作業ができそうです。
また、作業モードの変更時にありがちな誤操作が、「ソフトテイクオーバー機能」によって回避されるのも評価したいポイントです。これは、フェーダーやノブの位置とパラメーターの不一致による意図しないパラメーター変更を防ぐ機能で、急なモード変更を行なってもスムーズに切り替わってくれたのが好印象でした。
「ミキサー」と「インストゥルメント」を素早く行き来して作業できる
「ミキサー」モードでは本機の9本のフェーダーが、8トラック分のボリュームフェーダーと1本のマスターフェーダーとして機能し、マスター以外の8トラックを切り替えながら作業をします。フェーダー下部のボタンでソロ/ミュート、8個のノブでパンの調整も行なえます。
これらを利用してミックスを行なってみたところ、CUBASEのソフト音源「HALion Sonic SE」の音色エディットをしたくなったので、ImpactLX88+を「インストゥルメント」モードに切り替えて、フェーダーの1~4でアンプリチュード、5~8でフィルターのエンベロープ、ノブでカットオフ/レゾナンスなどのエディットを行なえました。あとは「ミキサー」モードを選ぶだけでミックス作業に復帰できるので、スピーディーに作業を進めることができます。
なお、パッド部は通常はドラム音源の演奏などに使いますが、DAWによってはクリップやシーンの割り当てができたり、それらのスイッチとしても機能します。例えばReasonの場合、ソングのロケーションポイント(シーントリガー)をパッドで操作することができます。
① LEDディスプレイ表示は、非常にシンプルな表示ながら視認性は良好だ。その下部にはトラック選択とパッチ選択のためのボタンが配置されている。
② 6個のトランスポートボタンは、左からループ、巻戻し、早送り、停止、再生、録音の順に配置され、Shiftボタンを併用してポジションへの移動や設定の他、アンドゥやモード切り替えの操作が可能となっている。
③ 9本のフェーダーはDAWミキサーの8chのボリュームフェーダーと1chのマスターフェーダーとリンクし、リンクする各チャンネルの切り替えが可能だ。
④ 8個のパッドは4色のLED表示がされるため、使用しているパッドプリセットがどれなのかを素早く確認することができる。また、ベロシティ対応で、ドラムの打ち込みに適したタッチ調整が施されているのも、トラックメイクを行なううえでの大きなアドバンテージだ
DAWインテグレーションの操作性を高めたPanoramaシリーズ
同社のMIDIコントローラーのラインナップには、Nektar DAWインテグレーションの操作性をさらに高めた「Panoramaシリーズ」(Panorama P1/P4/P6)も用意されています。Impactシリーズとの大きな違いは、3.5インチのカラーTFTディスプレイを装備し、必要な情報がよりクリアに表示される点です。
また、ミキサーのボリューム調整やオートメーションの書き込みに便利な「タッチセンス対応ALPS製100mmモーターフェーダー」を装備していたり、演奏感を高めたウェイト付き鍵盤が採用されるなど、DAWを徹底的に使いこなすための機能や装備が充実しています。
Panorama P4。16基のエンコーダーと9本の45mmフェーダー、10個のアサイン可能なLEDボタン、12個のパッドが装備されている。同様の機能を持ち、鍵盤数が61鍵に拡張されたPanoramaP6も用意されている(P4=¥68,800/P6=¥82,000)
Panorama P1は、16基のエンコーダーと9本の45mmフェーダー、8個のLED付きボタンを装備し、コントロール機能のみに特化したデスクトップ型のMIDIコントローラーだ(¥42,000)
問:(株)フックアップ
TEL:03-6240-1213
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