必要な機材の揃え方・選び方がわかる
【ギタリストのためのDTM初心者入門】DAWソフトと宅録機材で音楽制作を始めよう!
【ギタリストのためのDTM初心者入門】DAWソフトと宅録機材で音楽制作を始めよう!
2019/04/26
音楽制作は今やスマホでもできますが、より本格的に曲作りをしてみたいという人には、パソコンとDAWソフトを使うDTM(デスク・トップ・ミュージック)がオススメです。そのメリットと、DTMの基礎知識を、Q&A形式で解説します。
文:内藤 朗
INDEX
Q&Aでわかる「DAW」の基礎知識
「DAW」とは“デジタル・オーディオ・ワークステーション”の略称で、曲作りに特化したアプリケーションのことです。シンセサイザーやドラムなど、様々な音色をソフトウェア上で演奏させたり、ギターやボーカルなどの生音を録音/編集することができます。
DAWソフトには、音楽制作に必要な機能がすべて搭載されています。あらゆる種類の楽器の音源や、プロの演奏を録音した高品質な「サンプリングデータ(ループ素材)」などのサウンドコンテンツ。また、複数の音同士のバランスを調整する「ミキシング」という作業に必要な「ミキシングコンソール(ミキサー)」や、楽器の音色を変化させられる「プラグインエフェクト」なども含まれています。その利便性の良さから、昨今は作曲やアレンジ、レコーディングなど、あらゆるプロの制作工程で使われています。
DAWソフトは様々なメーカーから発売されており、製品ごとに売りとなる機能や操作方法も異なります。ですが、曲作りを行なうための基本的な機能は、ほぼ大差はありません。見た目が気に入ったものや、好みのアーティストが使っているものを選んでもいいでしょう。
高機能なDAWソフトとして知られるSteinberg CUBASE 10
最近はスマホの性能や機能が向上しているので、スマホ用のアプリを使っても、本格的な音楽制作は行なえます。
しかし、様々なソフトウェアや機材を追加できることや、編集の自由度と精度、制作環境の拡張性などを考えると、現状ではモバイルデバイスでの音楽制作は、未だ進化の途上と言えるでしょう。
パソコンを使えば、オーディオインターフェイスやMIDIキーボードといった周辺機器が多数販売されており、広いディスプレイを使って作業スペースが広げられるなど、主に作業効率の面で、大きな恩恵が受けられます。
より本格的な曲作りが行なえて、作品のクオリティアップができる点で、パソコンベースの音楽制作には大きなメリットがあります。
生ドラム顔負けのサウンドを打ち込むことができる、Native Instrumentsのドラム音源「STUDIO DRUMMER」
DTMにおけるパソコン選びのポイントは、ズバリ「CPUの性能」と「メモリの容量」、そしてHDDやSSDなどの「ストレージ容量」です。
まずCPUはパソコンの性能に直結する核となるパーツで、処理を行なううえで頭脳的な役割を持っています。スペック的なポイントは2つあり、「コア数」が多いほど処理能力が高く、「クロック周波数(◯.◯◯GHz)」が大きいほど、より高速な処理が行なえます。
メモリは、CPUが動作する際の“作業スペース”を担うパーツです。メモリの容量が大きいほど、複数のソフト音源やプラグインを同時に起動して使用することができます。空き容量が少なくなると、パソコンの動作が不安定になり、音切れやノイズなどを発生しやすくなります。
SSDやHDDなどのストレージは、OSや各種音楽系のソフトをインストールしたり、作成した楽曲のデータを保存しておくためのもので、基本的には容量が大きければ大きいほどいいでしょう。
各DAWソフトのサイトを見ると、これらのパーツの推奨スペックが記載されているので、参考にしてください。
パソコンをイチから購入する際は、ここで紹介した3つのパーツのスペックに着目して選ぼう。最近はパーツを細かくセレクトできたり、メモリ容量などをオプションで変更できる購入サイトも登場している
パソコンとDAWソフトだけでも本格的な音楽制作は可能ですが、音質面の向上という意味で、「オーディオインターフェイス」の導入をぜひオススメします。また、ギターや歌を録る時は、音声をパソコンに取り込むために必要です。
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その次に揃えたいのは、DAWソフトから出る音をよりクリアに聴くことができる「モニタースピーカー」です。リスニング用のスピーカーと比べて、余計な味付けをしない、フラットな音が鳴るように設計されています。
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また、同じく音の確認には「モニターヘッドホン」もオススメです。モニタースピーカーと比べて個々のパートのチェックがしやすいだけでなく、騒音が気になる外出先でも活躍します。
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他にも、打ち込みに便利な「MIDIコントローラー/キーボード」などを、必要に応じて揃えていくといいでしょう。
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オーディオインターフェイスは作業スタイルに合うタイプを選ぼう
ハーフラックタイプ
1Uの半分の大きさを持つタイプです。フロント面にマイクや楽器のインプット、裏側(リア)にスピーカーのアウトプットやMIDI端子、パソコンとのUSB接続端子を装備したものが多く、入出力端子は2〜4ch程度が一般的です。
スタインバーグUR-RT2(オープンプライス/¥38,700)
DSPタイプ(かけ録りしたい人にオススメ)
現在は、パソコンのCPUに負荷をかけることなく、トラックにエフェクトをかけられる「DSP」という回路を搭載したモデルがあります。右のユニバーサル・オーディオARROWは、付属のプラグインをかけた状態で録音することも可能です。
ユニバーサル・オーディオARROW(オープンプライス/¥58,000前後)。右はARROWで扱えるUAD-2エフェクト
ループバックタイプ(配信したい人にオススメ)
「DAWソフトの曲を鳴らしながら、自分の声をマイクに入れて、ネットを配信したい」という時に便利なのが、ループバック機能付きのモデルです。また、同時に起動した他のアプリの音をDAWソフト上に簡単にレコーディングできます。
タスカムMiNiSTUDIO CREATOR US-32(オープンプライス/¥8,000前後)
ミキサー兼用タイプ(ライブ派にオススメ)
リアルタイムに音量やパンなどを調整できるフェーダーやツマミなどが付いた、オーディオインターフェイス機能付きミキサーです。モデルによってチャンネル数も様々で、エフェクトを内蔵しており、本体でそのままマルチ録音ができるモデルもあります。
ズームLiveTrak L-12(オープンプライス/¥62,000前後)
マルチエフェクター兼用タイプ(ギタリストにオススメ)
ギターやベースなどのマルチエフェクターにオーディオインターフェイス機能が内蔵されているモデルです。多数のアンプやキャビネット、エフェクターを内蔵したモデルが多いので、機材を増やしたくないタイプのプレイヤーにはオススメです。
ボスGT-1(オープンプライス/¥20,000前後)
オーディオインターフェイス選びのポイント
Point 1 パソコンとの接続方法(端子)
パソコンとオーディオインターフェイスの接続方法は、モデルによって異なります。USB2.0対応の機種が多いのですが、データ転送速度に優れたUSB3.0やThunderbolt、光回線で使われるイーサネット接続のモデルもあります。USBには、USB B端子以外にmicro USBやUSB Type Cを持つ機種もあります。
Point 2 対応OS
オーディオインターフェイスが手持ちのパソコンのOSに対応しているかどうかを、確認しておきましょう。昨今はMacとWindowsに両対応の製品が多い中、どちらかにしか対応していない製品もあります。また、iOSやAndroidに使えるモデルもあるので、スマホやタブレットを宅録に使いたい人はそれも確認しましょう。
Point 3 入力チャンネル数
「入力チャンネル数」に応じて、一度に同時にレコーディングできる楽器やマイクの数が決まります。1人やユニットなどの少人数で宅録を行なう場合は、2〜4ch程度あれば十分です。一方、バンドでの一発録りやドラム録音などを行ないたい場合は、8〜16chなどの多入力モデルを選ぶのがオススメです。
Point 4 iPad/iPhone、Android機器との接続
最近はパソコンに限らず、iPhoneやiPad、Androidなどのモバイル機器で使えるモデルが多くなってきています。音楽制作用のアプリと併用することで、場所を選ばずどこでも楽曲制作を行なうことが可能です。なお、機種によっては接続に別途アダプターなどが必要なモデルもあるので確認しましょう。
Point 5 マイクプリアンプの有無
マイクの信号を増幅してくれるのが「マイクプリ(アンプ)」で、ほとんどのモデルに搭載されています。高音質なマイクプリを搭載している機種なら、ノイズなどが乗らずに、声や楽器を録音できます。このマイクプリは、マイク録音以外にも、ギターやベースなどをライン録音する際の信号も増幅してくれます。
Point 6 ヘッドホン端子の数
通常、オーディオインターフェイスにはヘッドホン端子が1つ用意されています。しかし、ボーカリストと一緒に録音作業を行なったり、バンドやユニットで一緒にミキシング作業をする時などには、上の写真のようにヘッドホン端子が2つ以上あるモデルが便利です。
DTM用ヘッドホン&スピーカーの選び方
ボーカルや楽器の録音、また打ち込みやミックスなどのモニター用に欠かせないのが、ヘッドホンやモニタースピーカーです。DTM向きのヘッドホンとスピーカーの特徴やそれぞれの利点を解説していきます。
DTMで使われるヘッドホンの特徴
ヘッドホンは、スピーカーに比べて定位や奥行き感などが判断しやすいのが特徴です。また、「オープン型」と「密閉型」があり、オープン型は自然な聴き心地が特徴で、作曲などの長時間の作業に向いています。一方の密閉型は、バックトラックを再生した際の音漏れが少ないため、ボーカルなどのレコーディングで多く使われます。
オーディオテクニカATH-R70X
(オープンプライス/¥36,000)
オーディオテクニカ
ATH-M50X(オープンプライス¥17,000)
ヘッドホンの利点
- ●夜中でも大音量で作業できる
- ●サウンドの細部やエフェクトの効果までシビアにチェックできる
- ●周波数特性がフラットに近い
DTMで使われるモニタースピーカーの特徴
モニタースピーカーは、空気を通った自然なサウンドを持ち、耳への負担が少ないのがメリットです。プロの楽曲の最終的なミックスの際は、必ずスピーカーでバランスを整えていることからも、スピーカーは重要です。
ヤマハHS-5(オープンプライス/¥15,000前後/1本)
モニタースピーカーの利点
- ●色付けのないサウンドで再生できる
- ●ソフトシンセなどをリアルな音で再生できる
- ●パワードモニターなら別途アンプを用意しなくて済む
モニタースピーカーの振動を抑えるインシュレーター&制振シート
モニタースピーカーをデスクに直接置くと、大音量を出した際に本体の振動がデスクに伝わってしまい、スピーカー本来の能力を100%発揮できません。そんな時にモニタースピーカーの下に敷いて振動を抑えてくれるのが「インシュレーター」や「制振シート」です。
①AET SH-2007シリーズ(インシュレーター4個/¥2,400〜)、②AET SH-2014G(インシュレーター4個/¥4,200)、③AET VFE-4005H(制振シート4枚/¥1,200)、④AET VFE-5002NS(制振シート4枚/¥1,200)
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