10モデルを実践チェック

ライブ演奏にオススメのワイヤレスシステム

ライブ演奏にオススメのワイヤレスシステム

ライブ演奏にオススメのワイヤレスシステム

2017/06/14


ケーブルを使わずに演奏が行なえる「ワイヤレスシステム」は、絡まったり断線するなどの心配がなく、ステージパフォーマンスをするのに最適です。使い方が複雑で高価というイメージがあるかもしれませんが、近年はライブハウスでも簡単に使うことができる、リーズナブルな製品が数多く登場しています。ここでは注目のアイテム10製品を、それぞれボーカル用とギター用に分け、ライブハウスのエンジニアとプロのギタリストにチェックをしてもらいました。

取材協力:西川口 Live House HEARTS 取材:平沢栄司 撮影:小貝和夫

※本コンテンツは音楽雑誌「サウンド・デザイナー」(2017年6月号)より抜粋したものです。
雑誌では、より詳しい情報を掲載しております。
詳しくは、http://www.sounddesigner.jp/をご覧ください。

ケーブルを使わなくても高音質でライブ演奏はできる!

楽器やマイクと機器を接続する際、通常はケーブルを使いますが、ステージで演奏を行なうミュージシャンにとっては動いている間にケーブルが抜けてしまったり、足で踏んで断線してしまうなど、トラブルが起きやすいという問題があります。また、アクションや移動も制限され、人によっては心地良く演奏ができないなど、様々な制約があります。

ワイヤレスシステムとは、ケーブルを通じて行なわれる音の伝達を、電波の送受信によって実現できる機材のことです。最大の利点は、やはりステージ上を心の赴くまま、自由に動き回れるということでしょう。ちなみに、ワイヤレスに対してケーブルを使うことは「ワイヤード」と呼ぶので、覚えておいてください。

ワイヤレスシステムは、大きく分けてギターやマイクからの音声信号を電波に変えて飛ばす送信機(トランスミッター)と、電波を受け取って音声信号に戻す受信機(レシーバー)で構成されています。また、一度電波へと信号を変換するため、音質の変化が生じます。以前は音質の劣化や音の遅延などの症状が見られましたが、現在の製品はワイヤードの時よりも高域の劣化が少なくなるなど、着実な進化を遂げています。

なお、ワイヤレスシステムが扱う電波にはアナログとデジタルがあり、前者は国内法に基づいて作られた「B帯」と呼ばれる周波数帯を、後者は国際規格となっている「2.4GHz帯」を使用しています。一般的にはデジタルの方が音質がいいとされていますが、Wi-fiやBluetoothと同じ周波数帯であるため、人が集まる場所では干渉が起きる場合があります。
 
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ボーカル用のワイヤレスシステムの場合、ハンドヘルドマイクの内部に送信機を内蔵している

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最近では受信機がストンプ型になり、チューナーやA/B回路機能を搭載した製品も登場している


ワイヤレスシステムを接続する際のポイント

楽器やマイクの音(電波)が正しく送受信できるように、送信機と受信機のチャンネルを合わせよう

ワイヤレスシステムの接続方法は、楽器用とボーカル用でそれぞれ異なります。楽器用の送信機の場合、機種ごとに専用のケーブルが付属していることが多く、それを使用して接続を行ないます。一方ボーカル用の送信機は、それ自体がマイクの役割を兼ねているので、送信機側の電源をオンにするだけで接続されます。


受信機側は、楽器用は通常の標準フォーンプラグでつなぎ、ボーカル用はXLR端子を持つ、バランスケーブルを使ってPAミキサーなどに接続をします。

次に、送信機と受信機間のチャンネル(電波の周波数)を合わせる「ペアリング」を行ないます。例えば、バンドで複数人が1つのワイヤレスシステムを使用する場合、ボーカルがチャンネル1を使うのであれば、ギターは2、ベースは3というように、番号を振り分けることで電波の干渉を防ぐことができます。

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楽器用のワイヤレスシステムを使用する場合は、送信機とギターなどを付属のケーブルで接続し、受信機とギターアンプなどをシールドでつなぐ

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ボーカル用のワイヤレスシステムを使う場合は、受信機とPAミキサーなどをXLRジャックを持つバランスケーブルで接続するようにしよう

ライブハウスのエンジニアがボーカル用ワイヤレスシステムをチェック

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エンジニア
永瀬晃司

1984年生まれ。フリーの音響エンジニアを経て、2011年に株式会社イーストサウンドに入社。同社が経営するライブハウス、「Live House Hearts」にてチーフエンジニアを務めている。現在はツアーを行なうバンドへの同行や野外フェスの仕事など、音楽関係全般のエンジニアとして活躍している。

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ライブハウス
西川口 Live House HEARTS

今回の試奏は東京の西川口にある「Live House Hearts」にて行なわれた。天井高4mの広々としたホールに加え、カフェのような居心地のいいラウンジも用意されているなど、快適な空間作りが印象的だ

【試奏環境】
今回は、各モデルの受信機をステージ上に設置して、フロア側でお客さんに聴かせるためのハウススピーカーと、プレイヤーが耳にするステージ上のシンプルなモニタースピーカーの両方でマイクの特性をチェックしています。
普段のマイクはシュアSM58を使っているので、そのサウンドを基準にハイやミッド、ローの出方をチェックしました。ちなみにその際、「チェック、ワンツー、ハロー」という言葉を連続してしゃべると、すべての母音と特徴的な子音が含まるので、音の特性が正確に判断できます。
また、ワイヤレスマイクは下部の電池ケース部分に送信機が入っているので、電波の感度が変わらないように、そこを手で持たないように気を付けることも大切です。

【試奏したモデル】
AKG「WMS40 PRO MINI VOCAL SET」
オーディオテクニカ「ATW-1102」
サムソン・オーディオ「Concert 99 Handheld」
シュア「SVX24/PG58」
Line 6「XD-V55 Handheld」

ギター用ワイヤレスシステムをプロのギタリストが徹底試奏

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ギタリスト
真壁雄太
1993年生まれ。中学生時代にハードロックを聴いたことでギターに目覚め、高校時代にイングヴェイ・マルムスティーンやポール・ギルバートと出会い速弾きに没頭。尚美ミュージックカレッジ卒業後、2014年にメタルバンドTORNADO-GRENADEを結成。2枚のアルバムを発表し、5月24日には最新作「Mighty Flugel」を発売する。

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代表作品
『Mighty Flugel』
TORNADO-GRENADE

PUSH OUT RECORDS
PUOT-0005

【試奏環境】
今回の試奏では、ギターは北海道の工房で製作された一品物をカスタマイズしたモデルを使いました。ピックアップはハムバッキングなんですけど、低出力でシングルコイルに近いタイプです。
実際にレシーバーをステージ上に置いて、EX-Proのケーブルでマーシャルのアンプと接続した状態で弾いてみた後に、自分が普段使っている歪み系ペダルを通してチェックを行ないました。送受信機間の距離を変化させた時の電波状態の変化やレイテンシーも確認するため、フロアへ降りてのチェックもしています。
どれも音の特性などが見事に違っていたので、自分に合うモデルを見つけることが大切なのは、ワイヤレスシステムでも同じなんだなと、改めて実感しました。

【試奏したモデル】
AKG「WMS40 PRO MINI INSTRUMENTAL SET」
オーディオテクニカ「ATW-1501」
サムソン・オーディオ「Concert 99 Guitar」
シュア「GLXD16」
Line 6「Relay G30」

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【注目アーティスト】
橋本絵莉子波多野裕文
春ねむり
フラチナリズム

この記事の画像一覧

(全10枚) 大きなサイズで見る。

試奏製品ラインナップ

AKG
WMS40 PRO MINI VOCAL SET
オープンプライス(¥13,000前後)

Clean

オーディオテクニカ
ATW-1102

¥38,000

Clean

サムソン・オーディオ
Concert 99 Handheld

オープンプライス(¥38,800前後)

Clean

シュア
5SVX24 /PG58

オープンプライス(¥32,000前後)
Clean

Line 6
XD-V55 Handheld

オープンプライス(¥48,000前後)

Clean

AKG
WMS40 PRO MINI INSTRUMENTAL SET

オープンプライス(¥13,000前後)

Clean

オーディオテクニカ
ATW-1501

¥47,000

Clean

サムソン・オーディオ
Concert 99 Guitar

オープンプライス(¥37,800前後)

Clean

シュア
GLXD16

オープンプライス(¥52,000前後)

Clean

Line 6
Relay G30

オープンプライス(¥27,000前後)

Clean

ライブ演奏にオススメのワイヤレスシステム・カタログ

AKG
WMS40 PRO MINI2 VOCAL SET DUAL
オープンプライス(¥23,000前後)

Clean

オーディオテクニカ
ATW-1302

¥60,000

Clean

サムソン・オーディオ
Concert 88 Handheld

オープンプライス(¥13,900前後)

Clean

シュア
BLX24 /SM58

オープンプライス(¥48,000前後)
Clean

Line 6
XD-V75

オープンプライス(¥61,800前後)

Clean

 

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