ハードシンセのようにソフト音源をコントロール
ARTURIA KeyLab Essentialを動画付きでレビュー
ARTURIA KeyLab Essentialを動画付きでレビュー
2017/10/31
KeyLab Essentialは、音源やDAWのコントロール機能を備えたMIDIキーボードに2種類のソフト音源とDAWソフト「LIVE 9 Lite」を同梱したパッケージです。例えば手持ちのパソコンを利用して音楽制作システムを作りたいと考えている入門ユーザーや、「パソコンのキーボードやマウス操作になじめない」というプレイヤー指向のユーザーにオススメ。ここでは、付属ソフトウェアとの連携を中心に、KeyLab Essentalの魅力を紹介しましょう。
文:平沢 栄司 撮影:小貝和夫
Point01 同梱のソフト音源「Analog Lab 2」を自在にコントロール!
付属のソフト音源「Analog Lab 2」と組み合わせたとき、KeyLab Essentialの魅力が最も分かりやすく体験できるでしょう。まるで、「Analog Lab」というハードウェアのシンセを操作しているかのように、音色選びからエディットに至るまでパソコンに触れることなくKeyLab Essentalからコントロールしながら演奏できるのです。
こちらが「Analog Lab 2」のメイン画面。ビンテージ・シンセやキーボードを再現した同社のソフト音源「V-COLLECTION 5」に収録されている各機種のプリセットの中から5000種類を超える音色がピックアップされており、アナログ・シンセのファットなサウンドからピアノやエレピ、オルガン、クラビなどのオーソドックスなサウンドまで、これ1つでキーボード・パートがカバーできる。
膨大な音色プリセットの選択も簡単だ。Cat/Charボタンとダイヤルで音色のカテゴリーやキャラクター、更にはシミュレートしているシンセ/キーボードの機種を絞り込みながら、←/→ボタンやダイヤルで音色を選んでいく。カテゴリーなどの選択時はその名称が、音色プリセットを選択するときは音色名がディスプレイに表示されるので、パソコンのディスプレイを見なくても希望の音色をセレクトすることが可能だ。
「Analog Lab 2」では、各種シンセやキーボードの主要なパラメーターを操作して音色の簡易エディットが可能となっている。それらは、KeyLab Essentialのパネル右に並ぶノブとスライダーに1対1で対応しているため、音色の明暗、立ち上がりや減衰のニュアンスといった要素を演奏や曲調に合わせて直感的に調整していくことができる。
もう1つの付属音源が、UVI社のピアノ専用音源「Model D」だ。大容量サンプリングによる高品位なピアノサウンドを奏でることができる。こちらも、KeyLab Essentialのノブやスライダーにパラメーターがマッピングされている。
Point02 MIDIキーボードとしてのプレイアビリティにも優れる!
もちろん、MIDIキーボード/コントローラーとしての実力も十分です。タッチレスポンス対応の鍵盤部は、演奏性に優れた61鍵モデルとコンパクトな49鍵モデルを用意。操作性のいいホイール式のベンダー&モジュレーションとサスティンペダル用の接続端子もあるので演奏表現に死角はありません。また、パネルの左側には8つのパッドが搭載されているので、指ドラムなど鍵盤とは違ったスタイルでの演奏にも対応できます。
1オクターブ単位で上下にシフトするオクターブボタンや簡単に転調の指定ができるトランスポーズボタンをパネル上に用意。音色やフレーズに合わせてサッと操作して弾きやすい状態でプレイできる。また、押さえているコードフォームを記憶して指1本で演奏できるコードメモリーも備えている。
タッチレスポンス対応の8つのパッドを搭載。ドラム音源を指で叩いて演奏したり、サンプラーと組み合わせてサウンドをポン出しするときに便利だ。
KeyLabとパソコンはUSBケーブル1本で接続できる。電源もUSB経由で供給されるため、セットアップは簡単だ。また、MIDI OUT端子とACアダプタ端子も用意され、パソコンと接続せずにスタンドアローンのMIDIキーボードとして、シンセやMIDI音源モジュールなどMIDI楽器の演奏やコントロールにも利用できる。
パソコンに「MIDI Control Center」をインストールすれば、パッドのノートナンバーのアサインやパネル右のノブやスライダーへのコントロール情報のマッピングなど本体のセッティングをパソコン側から自由に設定可能だ。普段使用しているDAWソフトやソフト音源に最適化してKeyLab Essentialをフルに活用しよう。
Point03 DAWのトランスポートやミキサーをコントロール!
Map Selectボタンとパッドを使ってコントローラのマッピングをAnalog LabからDAWに切り替えると、KeyLab Essentalから付属のDAWソフト Ableton社の「LIVE 9 Lite」をコントロールできるようになります。Analog Labの音色エディットで使用したノブとスライダーはミキサー部のパンとフェーダーとして機能し、中央左のボタンでトランスポートや主要な機能のON/OFFなどが可能です。LIVE 9 Liteからプラグイン版のAnalog Labを音源として呼び出している環境ならば、パソコンを触らなくても主な操作をKeyLab Essentialのパネルから行なえるのです。
KeyLab Essentialには、Analog LabとLIVEに特化したコントローラのマッピングがプリセットされている。その他、前述のMIDI Control Centerで設定したマッピングもメモリーしてMap Select+パッドで瞬時に切り替えることが可能だ
中央左寄りのDAWコマンドセンターには、再生や停止、録音、早送り/巻き戻し、ループといったトランスポートの操作や、メトロノーム、パンチ録音のON/OFF、アンドゥ、セーブといった重要操作を行なうボタンを用意。ハードウェアのレコーダーのようにDAWが操作できる。DAWのコントロールは業界標準の「Mackie HUI」に対応しているので、付属のLIVE以外のDAWもリモート操作可能だ。
汎用のMIDIキーボードのようなマッピング作業をすることなく、ハードシンセのようにソフト音源(AnalogLab)が操作できるのは同社のKeyLabシリーズならではの魅力と言えるでしょう。その中でもコストパフォーマンスの高いKeyLab Essentialは、MIDIキーボードやハードシンセも視野に入れたDTMシステムを考えている人の選択肢としてお勧めしたい逸品です。
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