発表会の模様をレポート!
宅録に革新をもたらしたUAD-2が「Live Rack」となってPAの世界に登場
宅録に革新をもたらしたUAD-2が「Live Rack」となってPAの世界に登場
2018/07/29
数々の有名アウトボードをソフトウェアで忠実に再現した、人気のDSPプラグイン、ユニバーサル・オーディオ「UAD-2」。本製品をライブPAで使えるように改良したのが、この度発売された「UAD-2 Live Rack」です。発売に先立って行なわれた本製品の発表イベントをレポートします。まずはイベント冒頭で、同社のセールスマネージャーの永井“ ICHI”雄一郎氏(以下ICHI)から、製品の概要が語られました。
取材:本多理人(編集部)
写真:小貝和夫
ライブ中のトラブルに対処するセーフティシステムが充実している
「UAD- 2 Li ve Rack」( 以下、Li veRack)は、世界中のアーティストに愛用されているUAD-2を、ライブでも使えるようにするために開発された製品です。本機1台で16ch分のプラグイン処理ができ、最大4台までカスケード接続が可能です(96kHz時は2台まで)。1chあたり8個ずつプラグインを挿しても、レイテンシーはわずか2ms以下と、音の遅延はほとんどありません。
Live Rackはライブ用機材ですから、演奏中に何か問題があった時のためにセーフティシステムが充実しています。まず、デュアル電源なので、電源が1つ落ちても、もうひとつの電源に自動で切り替わります。また、一旦ロードしたデータは本機内部に保存されるため、パソコンがクラッシュしたりパソコンとの接続が切れても、ライブには影響しません。トラブルに非常に強いのです。
画面のデザインはライブ用に刷新されました。プラグインが大きく表示されるため、遠くからでも見やすくて、操作がしやすいのが特徴です。マウス操作もできますが、タッチスクリーンを使う方が実機のツマミを触るような感覚で操作できるでしょう。
Live Rackのハードウェアは1Uサイズで、意図せず設定が変わらないよう、パネルにはスイッチ類が一切付いていません。パソコンとの接続状態や、どの電源が生きているかなどを確認できるインジケーターだけが付いています。
製品ラインナップはLive Rack Core(付属プラグイン=12個)とLive RackUltimate( 付属プラグイン=90個)の2モデルを用意しました。16ch分の高級アウトボードを買うより圧倒的に低コストです。メンテナンスや置き場所、必要な電源の容量などを考えると、非常にリーズナブルな製品であることがわかってもらえると思います。
ライブ専用に開発された新しいコントロールソフトウェア。ここでUADプラグインのインサートやエディットを行ない、各チャンネルでコンプやリバーブなどの処理を行なう
製品の説明に続いて、UAD-2の愛用者であるエンジニアのDub MasterX氏(以下Dub)とICHI氏による、トークセッションがスタートしました。
Apolloだとまどろっこしい作業がLive Rackだと簡単にできる
タッチ操作対応のディスプレイを使うことで、アウトボードの実機を操作しているような感覚でUADプラグインを扱うことができる。この日はACER 製の3万円代のディスプレイを使用しており、滑らかな操作性を実感できた
ICHI:実はDSP内蔵オーディオインターフェイスのApolloを、ライブに持ち込んで使っているエンジニアさんが結構たくさんいるみたいですね。
Dub:僕もその1人です。レコーディングでは色々なプラグインを使いますけど、特にUAD-2の1176は圧倒的に実機に近くて優秀なので、ライブにも使いたいんですよ。ライブの現場にも実機の1176はあったりするのですが、いくらメンテナンスをしていても「シュー」とか「サー」ってノイズが出てしまうことがあって……。そんな時にUAD-2の1176を使うと、ノイズは出ないしコンディションはいいしガリは出ないしで、すごく便利なんです。だから、UAD-2を使うためにApolloを持って行って、アナログでPA卓にインサートしています。
ICHI:なるほど。小規模なライブならそれでもOKかもしれませんが、もう少し大きいPA卓を使う場合は、Live Rackを使うとかなりのメリットがありますよ。まず、Apolloと違ってA/Dコンバーターを通らないのでレイテンシーがすごく短いんです。あと、コントロール用のソフトウェアがライブ用に作られているのが一番のポイントです。
Dub:これは実際に使ってみてビックリしました。ApolloのConsoleソフトウェアだと少しまどろっこしかった作業が、これなら簡単にできますね。Apolloもこれと同じ画面にしてほしいくらいです(笑)。このソフトを使って、PA卓のチャンネルにUADプラグインをインサートしたり、AUXでリバーブをかけたり、マスターにエフェクトをかますこともできる。普通にUAD-2をアウトボードみたいに使えるということですよね。
ICHI:その通りです。PA卓との接続方式はMADIなので、どのメーカーのPA卓にもつなげることができます。
Dub:接続がMADIということは、VIとかデジコのPA卓なら、そのまま接続できますね。この会場にあるようなヤマハのPA卓だと、MADIは標準搭載されていないのでMADIカードが必要になりますけど。でも、僕はUAD-2を使いたいと思っていたので、このLive Rackの登場は願ったり叶ったりです。
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