モジュラーシンセに匹敵する自由な音作りが可能!
ARTURIA「MatrixBrute」操縦法【動画付きで解説】
ARTURIA「MatrixBrute」操縦法【動画付きで解説】
2017/04/28
ARTURIA社から満を持して発売されたMatrixBruteは、ピュアなアナログシンセに最新のテクノロジーを注ぎ込み、モジュラーシンセ並みの自由度の高い音作りとアナログらしいファットなサウンド、そして、ライブパフォーマンスをサポートする機能まで盛り込んだ、まさに “モンスター” と呼ぶにふさわしいシンセサイザーです。マニアも納得の奥の深いシンセですが、ここでは、より多くの人にMatrixBruteの魅力を体験してもらえるよう、ベーシックな操縦法を解説します。
文:平沢 栄司 撮影:小貝和夫
3基のオシレーターと、2種のフィルターで重厚かつ多彩な音作りが可能
MatrixBruteは、3基のオシレーター(VCO)、2基のフィルター(VCF)、3基のエンベロープ・ジェネレーター(ENV)、2基のLFOを持ったアナログシンセサイザーです。基本的にはベースやリード、SEなど単音パートの演奏に適した楽器ですが、VOICE Modeの切り替えで3声の和音を演奏したり、鍵盤上の高域と低域で異なる音色を演奏することもできたりと、柔軟性も備えています(次のページの下部を参照)。そして、パネル左側のセクションでは、そのすべての音色パラメーターをノブやスライダー、ボタンでコントロールできるため、直感的な音作りが可能です。
音作りの素材となるオシレーター(VCO)3
まず、3基のオシレーターは2+1的な構成になっていて、同じパラメーターを備えるメインのVCO1とVCO2に対して、VCO3は少々様子が異なる点に注目。3つめのオシレーターとしても使えますが、VCO1 , 2やVCF(フィルター)を変調するソースとしても利用できるのがポイントです。3基のオシレーターを重ねた重厚なサウンドから、オシレーター間の変調やシンク機能を利用した過激な倍音や音色変化を伴うサウンドまで、音作りの素材となる多彩な波形を生み出します。また、VCOとは別に4種の波形が選択できるノイズジェネレーターも用意。こちらも、ノイズ素材として使う以外に変調用のソースとしても利用できます。
VCO1とVCO2には、ノコギリ波、矩形波、三角波の3種の波形と1オクターブ下の音を重ねるサブオシレーターを用意。各波形は下段のノブでミックスしたり、上段のノブで波形のキャラクターを変えることができる
VCO3は、4種の波形を持った音階を演奏する通常のオシレーターとして使う以外に、一定の周波数に固定してLFOとしても利用できる。NOISEジェネレーターには、ホワイトノイズに加えてピンク、レッド、ブルーの異なるノイズが用意されているのが特徴となっている。AUDIO MODでは、オシレーター間の変調やVCO3やノイズで他のオシレーターやフィルターを変調することができ、金属的な響きやザラついた過激なサウンドが作れる
形を加工して音を作っていくフィルター(VCF)
音作りの要となるフィルターには、音作りの幅が広いSteiner-Parkerタイプ(VCF1)と、音の太さとキレの良さで定評のあるLADDERタイプ(VCF2)の2系統を用意。各フィルターは、音作りに応じて使い分けるだけでなく直列に繋げて利用することも可能。オシレーターの波形を自由自在に加工できます。他にも、あえて歪ませることで太さや豊かな倍音を加えるDRIVEノブやBRUTE FACTERノブも用意されており、音作りの幅を広げています。
左側が各オシレーターの出力をミックスするミキサー部のボタンで、その信号をどちらのフィルターに送るか、または両方に送るかを選択する。作る音色に応じて使い分けたり、オシレーター毎に異なるセッティングのフィルターを通して違う音色を作って重ねるといった幅広い音作りに対応できる。
一方の右側には、キャラクターの異なる2種類のVCFを用意。各フィルターは、ローパス(LPF)、バンドパス(BPF)、ハイパス(HPF)、ノッチ(Notch/VCF1のみ)のモードを選択することができる。さらに、カットオフの減衰特性はキレのいい-24dBと緩やかな-12dBから選択可能だ。また、中央のRootingボタンで2つのフィルターを並列に使うか、直列に繋ぐかを選択する。音色を調整するCutoffについては、MasterCutoffツマミで2基のフィルターを一括で可変を行なえる
時間的、周期的な変化を作るエンベロープジェネレーター(ENV)、LFO
立ち上がり、減衰、持続レベル、余韻の4つのパラメーターで時間的な変化をコントロールするシンプルで扱いやすいADSR型のENVを採用。また、ENV1,2はベロシティに対する感度を、ENV3はトリガーされてからEGが動作するまでの時間を調整するパラメーターが用意されている
時間的な変化を作り出す3基のエンベロープは、オーソドックスなADSRタイプを採用。通常は、ENV1でフィルターのカットオフ(音色)を、ENV2でアンプのレベル(音量)をコントロールしています。
ENV3は、マトリックスのモジュレーションルーティング(後述)を利用して様々なパラメーターに接続し、時間的な変化を作りたいときに利用します。
周期的な変化を作り出す2基のLFOは、サイン波を含む7種もの波形が選択できるのが特徴です。LFO1はホイールを介してビブラート効果に利用、LFO2はモジュレーションルーティングで任意のパラメーターを揺らしたいときに使用します。
LFO1は通常ピッチを揺らすため、LFO2はマトリックスでフィルターやアンプを揺らしたワウワウやトレモロ効果、矩形波のパルス幅を揺らすPWM効果など、任意のパラメーターをモジュレーションしたい時に使用する
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