ビンテージ系から飛び道具系まで網羅した モジュレーションとリバーブの決定版

【9mm Parabellum Bulletの滝 善充(g)がレビュー】ボスMD-500/RV-500

【9mm Parabellum Bulletの滝 善充(g)がレビュー】ボスMD-500/RV-500

2017/09/15


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ボス MD-500/RV-500(エフェクター)

オープンプライス
(各¥35,000前後)

問:ローランド㈱お客様相談センター TEL:050-3101-2555  http://jp.boss.info


 豊富なプリセットを備え、32ビット/96kHzという高音質でプロアマ問わず高い評価を受けているボスDD-500と同じ「ハイエンドペダル・シリーズ」に、モジュレーション系の「MD-500」とリバーブの「RV-500」という新製品が加わりました。今回はこの2モデルを、エフェクターを自作するほどのマニアとして知られる9mm Parabellum Bulletの滝 善充(g)さんに試してもらいました。


取材:栗原 務/写真:小貝和夫

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ツマミをイジるだけで今まで聴いた
ことがないような音がすぐ出てくる


──まずはMD-500とRV-500の全体的な感想をお聞かせください。
滝:32ビット/96kHzだけあって、とにかく音質がいいですね。搭載されているエフェクトの数や種類も十分ですし、トータル的にクオリティが高いです。それと、今まで発売されているボス製品の歴代の名器が入っているのもいいですね。例えばMD-500だったら、SL-20(スライサー)やMO-2(マルチオーバートーン)が入っているというだけでも、お得感が半端ない(笑)。RV-500の方には、RE-201(スペースエコー)とかSRV-2000(リバーブ)みたいなビンテージものもしっかり入っていて、しかも本物のサウンドを忠実に再現しているのがすごいです。

──過去の名器のプリセットが入っていつつも、新しいものや飛び道具系も網羅しています。
滝:そういったプリセットを選んでちょっとツマミをイジるだけで、今まで聴いたことがないような音がすぐ出てくるんですよ。例えば、普通のエフェクターだったらモジュレーション系を5〜6台並べないと出ないような音が、MD-500だけで出せるんです。 あと、どちらのモデルも2つのパッチを同時に使うことができるのもいいですね。

──「サイマルモード」ですね。
滝:サイマルモードを使えば、もっと複雑なサウンドを作ることができます。まったく別のエフェクターを組み合わせたり、同じものを2個連続でかけたりとか、1台でそういうルーティングが自由にできる点も気に入りました。実際にMD-500でOVERTONEとROTARYのサウンドを同時に鳴らしてみたら、ギターでオルガンのサウンドが作れましたね。いちいち単体のエフェクターをあれこれつなぎ変えずに、様々なエフェクトの組み合わせを実験できるので、本当に音作りの可能性が広いと思います。

この2台があればレコーディングで
思いっきり攻めた音が作れると思う


──では、MD-500で特に気に入ったプリセットを教えてください。
滝:どれも最高なんですけど、僕は先ほども言ったようにMO-2を長いこと使っているので、それが入っているのが最高です。あとはRING MOD(リングモジュレーター)ですね。普通リングモジュレーターはピッチがヨレますけど、これがすごいのはピッチ感がしっかり安定するように設定できるんですよ(インテリジェントモード)。これならリングモジュレーターで新たな世界が作れそうです。

──MD-500には、スタンダードなコーラスやフランジャーに新たなパラメーターが追加される「プライムモード」も採用されています。
滝:例えば、「SWEETNESS」というパラメーターが追加されていて、低域のふくらみを調整できるんです。これは他のコーラスでは表現できないですね。トーンで調整すると他の帯域に影響してしまうんですけど、MD-500は下だけが広がってくれるんです。それと、「BELL」というパラメーターを使うと、高域のきらめき具合も調整できるので、“シャリーン”というきらびやかなコーラスサウンドが作れるのはありがたいですね。

──それと、MD-500は外部エフェクターをつなげることができます。
滝:しかも、「外部エフェクター→MD-500」か「MD-500→外部エフェクター」を切り替えられるのが便利ですね。

──滝さんでしたらどんな外部エフェクトをMD-500にインサートしますか?
滝:まずディストーションですね。あとはワウペダルとかのフィルター系も良さそうで、コーラスがかかる帯域をワウで変えるのも面白いと思います。

──では、RV-500で特に気に入ったプリセットを教えてください。
滝:FAST DECAYとNON-LINEAR、EARLY REFLECTION、SRVあたりが特に好みでした。最近の超ハイファイなリバーブではない、エフェクティブなリバーブもたくさん入っているのがグッときます。個人的には80年代のデジタルリバーブ黎明期のサウンドが大好きで、まだ今も当時のラックリバーブを持ち歩いているぐらいなので(笑)。

──滝さんがMD-500とRV-500を手に入れたら、どのように使いますか?
滝:僕らはレコーディングの仕上げの最終段階で、それまでとはまったく違った音をよく入れるんです。エフェクターを何台も持ち込んで、取っ替え引っ替えして音作りをするんですけど、そんな時にこの2台があれば、それだけでも思いっきり攻めたサウンドが作れると思うし、もう間違いなく最強ですね!

 


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両モデル共に2つのプリセットを同時に鳴らすことができる「サイマルモード」を備えている

 

 
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滝 善充(タキ ヨシミツ

2004年3月に横浜で結成されたロックバンド、9mm Parabellum Bulletのギタリスト。バンドの多くの楽曲を手掛けており、エモーショナルでありながらも和を感じさせる作品で、多くのロックファンから支持を集めている。また、エフェクターの自作が趣味で、ニーヴタイプのマイクプリまで製作するなど、機材に対する造詣は深い。今年の5月には通算7枚目となる最新アルバム『BABEL』をリリースしている。

SPEC
●サンプリング周波数:96kHz ●AD/DA変換:32ビット ●モード:MD-500(CHORUS、FLANGER、PHASER、CLASSIC VIBE、VIBRATO、TREMOLO、DIMENSION、RING MOD、ROTARY、FILTER、SLICER、OVERTONE)、RV-500(ROOM、HALL、PLATE、SPRING、SHIMMER、FAST DECAY、EARLY REFLECTION、NON-LINEAR、SFX、DUAL、SRV、SPACE ECHO) ●入出力端子:インプット(標準)×2、アウトプット(標準)×2、CTL 1,2/EXP端子(TRS標準)、USBタイプB、MIDI(IN/OUT)端子、DC IN端子 ●電源:アルカリ電池(単3)×4、ACアダプター(別売) ●外形寸法:170(W)×62(H)×138(D)mm ●重量:本体=1.0kg(電池含まず)

※RV-500ではサイマルモードで2種類のパッチを使用可能だが、各パッチ内でディレイを設定することができ、2種類のリバーブと2種類のディレイを同時に使用することができる。

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