ユニバーサル・オーディオから初のレコーディングソフトウェアが登場
Apolloシリーズの性能をフルに引き出す
「LUNA」レコーディングシステム生誕!
Apolloシリーズの性能をフルに引き出す「LUNA」レコーディングシステム生誕!
2020/03/15
各メディアでの既報の通り、ユニバーサル・オーディオ(以下UA)からレコーディングシステム「LUNA」が発表されました。オーディオインターフェイスApolloシリーズやUADプラグインを手掛ける同社が開発したDAWソフトだと、話題沸騰中の本製品。果たしてどんなシステムなのでしょうか。
文:本多理人(編集部)
従来、ApolloとArrowは「Consoleソフトウェア」を利用してプリアンプやモニターの設定を行なっていたが、LUNAのミキサー(左画像)は、このConsoleソフトウェアを拡張させたようなもの。かけ録りをするプラグインやモニターがけするプラグインの設定を両方とも行なえる。一方、トラック側(右画像)はシンプルに作られている。あまり階層を潜ったり、ツールを切り替えたりすることなく、編集が行なえるように出来ている。
レコーダーやミキサーなどの機能を拡張するExtentionを新開発
今回発表された「LUNA」は、同社のオーディオインターフェイスApollo/Arrowユーザー向けに4月から提供される、Mac専用のソフトウェアです。
LUNAを利用することで、Apollo/Arrowの性能を最大限引き出しながら音楽制作が行なえる、ハードとソフトが一体化したレコーディングシステムが完成します。LUNAの構想は、同社がApolloを初めてリリースした頃からあり、まさに念願の製品化だと言えます。
LUNAは非常にシンプルな「レコーダー」を目指して開発されました。各パートの信号がプリアンプとアナログミキサーを通り、テープレコーダーに録音するという、レコーディングスタジオの基本システムをMac上で再現します。そのために開発されたのが、機能を拡張する「Extention」という新しい概念です。
例えばミキサー部には、ニーヴのサミングミキサー(有償)がExtentionとして提供されます。これを利用すると、ニーヴのコンソールを通った音を録音でき、またニーヴのコンソールを通った音を再生することができます。
レコーダー部(テープマシン)にもExtentionが用意されており、まずはスチューダーA800(有償)とUAオリジナルのOXIDE(無償)が提供されます。トラックごとに異なるExtentionを使用することも可能で、これらを利用してアナログのレコーディングシステムをパソコン上に再現できるわけです。
驚くべきは、こうしたレコーディングがレイテンシーなしで行なえるという点です。ApolloかArrowのDSPを利用することで、100万円以上するDSPベースのレコーディングシステムと同様の、一切遅れのないモニタリング環境を実現しました。
LUNAを使用するためにはThunderbolt接続のApolloかArrowが必要。USB接続のApollo Twin USBは対象外だ。FireWire接続のモデルに関しては、Thunderboltに変えるオプションを利用すれば使用可能となる
待望のソフトウェア音源を独自の技術を駆使して搭載
さて、同社には以前からインストゥルメント(音源)の開発を望む声も多く届いていました。
LUNAではそれが結実し、UA独自のインストゥルメントが用意されています。まず無償音源の「SHAPE」は、ベースやドラム、上ものなど、様々な楽器の音源が入ったサンプリングベースの音源です。有名なメーカーが開発したサンプリング素材を使用しています。
また、今回UAが特に力を入れて開発したというのが、アナログシンセ音源の「MOOG MINIMOOG」と、ピアノ音源の「RAVEL」です(いずれも有償)。どちらも独自のアナログモデリング技術やルームシミュレーション技術を駆使して、非常にリアルなサウンドと、音の作り込みを実現しています。
今後はインストゥルメンツ、レコーダー、ミキサーが続々と増えていく予定。また、UADプラグインやサードパーティ製プラグイン(AUフォーマット)も利用可能となります。
LUNAはレコーディングをしながら作・編曲をして、音楽を作っていきたいと思っているミュージシャンにとって、最適な制作システムとなるでしょう。
UA独自のアナログモデリング技術により開発されたMOOG MINIMOOG。そのサウンドは本家モーグのお墨付きで、実機とのA/Bテストをしても違いがわからないほど精巧に出来ている
ピアノ音源のRAVEL。UA独自のルームシミュレーション技術を駆使して、マイキングやピアノを鳴らす部屋の大きさを作り込めるようになっている
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