アンプやエフェクトをアプリで本体に読み込む 「XTOMP」の小型化モデルが登場

【デッド・エンドのギタリスト足立祐二がレビュー】ホットトーンXTOMP mini

【デッド・エンドのギタリスト足立祐二がレビュー】ホットトーンXTOMP mini

2017/09/15


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ホットトーン XTOMP mini(エフェクター)


オープンプライス
(¥16,500前後)

問:㈱オールアクセス
pedal@allaccess.co.jp

http://allaccess.co.jp
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 スマホなどから好みのエフェクターやアンプを本体にBluetooth経由で読み込んで使うという、画期的なコンセプトを持つエフェクター「XTOMP」が、さらにコンパクトになり「XTOMP mini」として登場しました。XTOMPの機能をほぼ変更することなく、高音質のキープに成功した本モデルを、デッド・エンドのギタリストである足立祐二さんにチェックしてもらいました。
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/左が前身モデルのXTOMP、右が新製品のXTOMP miniで、筐体がひと回り小さくなっている。入出力端子の数が減ったのと、バイパス形式がバッファードのみになった以外、音質や機能はそのままXTOMPを受け継いでいる
ツマミを回した時の音の変化が
本物のエフェクターと同じで驚いた


──XTOMP miniを試してみて、第一印象はいかがでしたか?
YOU:まずエフェクターやアンプの切り替えをスマホでできるのが便利ですね。それと、デジタル機器なのに実際にツマミを回した時の音の変化が、本物のエフェクターと同じだったのには本当に驚きました。アルゴリズムもビンテージ系から最近のモデルまで100種類以上も揃っているので、ジャンルを選ぶことなく、どんな音楽にも使えると思います。

──本体に1個だけエフェクトかアンプ、もしくはキャビネットを読み込んで使うという仕様についてはいかがですか?
YOU:それがシンプルでいいんですよ!本体のDSPを1つのモデルにだけ使うからか、複数のエフェクトやアンプを同時に使える他のマルチフェクターとかに比べて音質がいいんです。

──実際にXTOMP miniとXTOMPを、片方をアンプ、片方をキャビネットとして使って、その音をご自宅でレコーディングしてチェックしたそうですね? 
YOU:XTOMP miniを直接オーディオインターフェイスに接続して、録音してから1時間耳を休めて、録音後の音を聴き直すという方法で試しました。今回は前身モデルのXTOMPとも比較したんですけど、XTOMPは音がクリア過ぎると言うか、XTOMP miniの方が本物のエフェクターに近い感じで僕は好きです。

スタジオでキャビネットに
マイクを立てて録った音に近い


──試奏してみて、特に気に入ったアルゴリズムはありましたか?
YOU:アンプヘッドとキャビネットのアルゴリズムのクオリティの高さにはビックリしましたね。最初は「どこかライン臭いところがあるんだろうな」と思っていたんですけど、自分が普段ラインレコーディングを行なっているシステムよりも音質が生々しくて、ちょっと愕然としました。逆に今使っている自分の機材にガッカリしたくらいで(笑)。

──キャビネットのアルゴリズムを使ってみた感想をもう少し教えてください。
YOU:スタジオでキャビネットにマイクを立てて録った音に近いですね。キャビネットごとの違いも忠実に再現していて、同じ4発入りでもモデルごとの帯域の違いが出ていますし、「Baseman 2×12」とかはオープンバック特有の音がします。

──歪み系エフェクトはどうでしたか?
YOU:アイバニーズTube Screamer系はとても良かったですね。「Green9」(TS-9)と「Green Drive」(TS-808)を試してみましたけど、どちらも特徴を的確に再現していました。自分が持っている古いTS-9やTS-808を何種類か直列でつなげて鳴らしたんですけど、オリジナルのモッサリしているところが、XTOMP miniもモッサリしているんですよ。実はTube Screamerって、全然パキパキした音ではないんです。音がなまっている点もそのままでした。これは使えますね。

──では、モジュレーション系は?
YOU: どれも良かったですけど、特にアリオンのSCH-Zというコーラスを再現した「Aozora Chorus」が素晴らしいです。オリジナルのアリオンSCH-Zと直列でつないで比較したんですけど、XTOMP miniのAozora Chorusの方が昔っぽいというか、暖かいサウンドが鳴ってくれるのがいいですね。

──他に気になったエフェクトは?
YOU:「Phantom」という空間系が面白かったですね。ディレイのフィードバック音にフィルターがかかって、うねるような効果が出せるんですけど、原音自体はうねらないんです。最初は飛び道具系の色物かと思ったんですけど、かかり過ぎないように設定すると、かなり使える音が作れました。これはアコギに使っても面白いと思いますし、エレキのクリーンアルペジオにも合いますね。

──もしXTOMP miniを手に入れたら、どういう風に使いたいですか?
YOU:今、ライブではフロア型のプリアンプを使っているんですけど、早速XTOMP miniをプリアンプとして使ってみたいですね。あと、レコーディングで使うなら、アンプにしたりエフェクトにしたりと、楽曲やフレーズに応じて様々なアルゴリズムを使ってみたいです。

YOU:オリジナルのピーヴィー5150は、他のアンプに比べてノイズが多いんです。その点はXTOMP miniのEddie51も同じで、ゲインが高いうえにローが出ているところまで一緒でしたね。一方のRiversideは、本物のアンプヘッドが持つ特徴をうまくつかんでいて、よりアナログ的というか、ニュアンスが出しやすいと思いました。

YOU:SUNSETを「texasモード」にすると、Tube Screamerにかなり似ますね。ドライブは低めで、音にガッツがあるうえに芯があります。一方の「Green Drive」はオリジナルのTS-808と同様に、そんなにガッツがないんです。トーンを上げないと歪みきらない点まで再現しているのは本当にすごい! よくここまで作り込みましたね。
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 今回の試奏では、多くのプロギタリストが愛用しているストライモンの人気モデルRiverside(プリアンプ)とSUNSET(オーバードライブ)を使って、XTOMP miniとサウンドを比較するというチェックも足立祐二さんにやってもらいました。ちなみに、アンプの比較ではピーヴィー5150を再現した「Eddie51」を、歪みエフェクターの比較ではアイバニーズTS-808を再現した「Green Drive」を読み込んでいます。
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YOU:オリジナルのピーヴィー5150は、他のアンプに比べてノイズが多いんです。その点はXTOMP miniのEddie51も同じで、ゲインが高いうえにローが出ているところまで一緒でしたね。一方のRiversideは、本物のアンプヘッドが持つ特徴をうまくつかんでいて、よりアナログ的というか、ニュアンスが出しやすいと思いました。

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YOU:SUNSETを「texasモード」にすると、Tube Screamerにかなり似ますね。ドライブは低めで、音にガッツがあるうえに芯があります。一方の「Green Drive」はオリジナルのTS-808と同様に、そんなにガッツがないんです。トーンを上げないと歪みきらない点まで再現しているのは本当にすごい! よくここまで作り込みましたね。

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XTOMP miniにスピーカーキャビネットのアルゴリズムを読み込めば、このようにプリアンプと組み合わせて空気感のあるサウンドでライン録音ができる

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アルゴリズムはビンテージ系から最近の機種まで幅広く用意されている。
【1
はMXR Distortion+を再現している「Plustortion」、【2】はフルトーンのOCDを再現した「FORCE」。【3】アリオンSCH-Zを再現した「Aozora Chorus」など、他社製品には入っていないモデルも読み込める。【4】フェイルターディレイの「Phantom」のようなオリジナルのエフェクトも用意。
アンプも新旧のモデルがラインナップ。【5】はマーシャルJTM-45を再現した「Marshell 45」、【6
はフリードマンBE100を再現した「Fryman HB」。キャビネット単独のモデルも豊富だ。【7はフェンダーBassmanを再現した「Baseman 2×12」。【8複数のエフェクトを組み合わせたアルゴリズムも18種類使用できる

 
SPEC

●入力インピーダンス:1MΩ ●出力インピーダンス:100Ω ●オーディオ周波数特性:5Hz〜21kHz ●SN比:114dB ●入出力端子:インプット(標準フォーン)×1、アウトプット(標準フォーン)×1 ●電源:9V DCアダプター ●バイパス方式:バッファードバイパス ●外形寸法:64(W)×112(D)×43(H)mm ●重量:200g

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足立祐二(アダチユウジ)

関西ヘヴィメタル・シーンを代表するバンド、デッド・エンドのギタリスト。バンド解散後に初のソロアルバム『PSYCHICAL ISLAND』を発表。最近では、河村隆一や玉置成実といったアーティストのレコーディングやツアーでも活躍している。数多くのエフェクターを使った経験を持つマニアとしても知られており、その正確な技量に裏打ちされた独特の旋律と、こだわった音作りは必聴だ。

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