自宅でプロ級のモニター環境が作れる
GENELECのモニタースピーカー「SAM」シリーズの魅力
GENELECのモニタースピーカー「SAM」シリーズの魅力
2015/12/18
ジェネレックのSAMシリーズは、自宅でプロのスタジオ並みのモニター環境を作ることができる画期的なモニタースピーカーです。その正確な再生能力の秘密を解説します。また、ユーザーの鈴木 Daichi 秀行氏にも、その魅力を聞きました。
文:本多理人(サウンドデザイナー編集部)
写真:桧川泰治
●ジェネレックSAMシリーズとは
吸音をせずにフラットな再生環境を実現できる、高性能なフィルターを持つモニタースピーカー。本機のバンドルパックには室内の反響を測定するためのマイクとインターフェイスが同梱されており、測定・補正用のソフト「GLM2. 0」(Win/Mac対応)を使えば正確な音質補正を自動で行なってくれる。
マイクで部屋鳴りを測定して響きのデータを集める
モニタリングをする際の頭と同じ位置にマイクを立ててスイープ音を再生し、出音の測定を行なう
AMシリーズは、「GLM」(ジェネレック・ラウドスピーカー・マネージャー)と呼ばれるソフトウェアで出音を測定することで、正確なモニター環境を作ります。そのために、測定用のマイクとインターフェイスが用意されています。
マイクが必要なのは、部屋の響き方のクセを調べるためです。低音から高音まで滑らかに上がっていく音(スイープ音)をスピーカーで鳴らし、それをマイクで拾って周波数特性のデータを収集するのです。そのような用途には本来、非常に精度の高い高額なマイクが必要ですが、ジェネレックではすべてのマイクの特性を工場でチェックし、シリアルナンバーで照合して個別のクセをGLMソフトウェアで修正することで、高精度のマイクと同等の品質を低価格で実現しました。
周波数の出っぱりをならし、レベルと距離を整える
GLMソフトウェアの画像その1。周波数特性をフィルターでならしたところ
GLMソフトウェアの画像その2。左右の音量や距離を合わせたところ。画像1、2の作業をソフトがすべて自動で行なってくれる
データが収集できたら、それを元にして、GLMソフトウェア上でモニターサウンドの最適化が自動で行なわれます。まず、低音から高音までのどこかに出っぱった帯域があれば、そこをフィルターで均してくれます。通常、こういった部分を無理に修正すると不自然なサウンドになってしまうのですが、ジェネレックではオリジナルのアルゴリズムを用いて自然に聴こえるように処理します。
また、GLMソフトウェアではスピーカー間の音量調整をしつつ、リスニングポイントと左右のモニターの微妙な距離の差をディレイをかけて調整することで、位相と焦点の合ったくっきりとしたサウンドを実現します。このようにGLMでは、周波数特性とレベルと距離の調整を行なうことで、プロのスタジオと同等のモニター環境を実現するのです。
なお、SAMシリーズには、コンパクトSAMシリーズと呼ばれる8320A(ウーファー=4インチ)、8330A(5インチ)と、やや大きめの8240A(6.5インチ)、8250A(8インチ)他、9機種があります。
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