最新のサウンドに対応した“プロの音が作れるモニター”

モニタースピーカーGENELEC「M030」をEDMクリエイターのTeddyLoidが徹底チェック

モニタースピーカーGENELEC「M030」をEDMクリエイターのTeddyLoidが徹底チェック

2016/01/26


GENELEC「M030」

GENELEC「M030」

ジェネレックのモニタースピーカー「M030」は、EDMの制作に最適化された製品です。EDMのアーティスト/作・編曲家/リミキサーとして活躍中のTeddyLoidを招き、M030のサウンドを8000シリーズと比較しながらチェックしてもらいました。

取材:目黒真二 写真:桧川泰治

TeddyLoidインタビュー

TeddyLoidインタビュー

 

■「ラージモニターを鳴らしているのか?」と錯覚するくらいのインパクトがある


──M030を試聴した第一印象はいかがでしたか?

TeddyLoid

TeddyLoid(テディロイド)

クラブミュージックからサブカルチャー、J - POPシーンまでを自在に行き来する音楽プロデューサー兼DJ/アーティスト。2015 年12月2日に、中田ヤスタカ、小室哲哉、tofubeatsなど、豪華なゲストを迎えて制作した2ndアルバム『SILENT PL ANE T』をリリースした
(オフィシャルサイト)

 

TeddyLoid:いくつかのモニタースピーカーと聴き比べながらチェックしましたが、この小さなサイズからは想像できないほどファットなサウンドが出るのにビックリしました。「あれ? ラージモニターを鳴らしているのか?」と錯覚するくらいのインパクトがありましたね。

──音質的な特徴を挙げるとすれば?

TeddyLoid:ひと言で言うと「まとまりがいい」ですね。僕はトラック制作だけでなく、ミックスやマスタリングまで自分でやることが多いのですが、そういう長時間の作業でもM030ならずっと気持ちを盛り上げたまま作業をし続けられそうな感じがします。カラーリングが黒で、デザインがクールにまとまっているのも好きですね。

今回のサウンドチェックは、エイブルトンのDAWソフトLive 9とスタインバーグのUR 22 mkⅡ(オーディオインターフェイス)を使用し、TeddyLoidが自身の作ったトラックにEQでフィルターをかけたりして行なった

今回のサウンドチェックは、エイブルトンのDAWソフトLive 9とスタインバーグのUR 22 mkⅡ(オーディオインターフェイス)を使用し、TeddyLoidが自身の作ったトラックにEQでフィルターをかけたりして行なった

 

一番右側(内側)のモデルがM 030。今回は比較試聴を行なうために、ジェネレックの人気機種8030B(中央)と、M030のワンサイズ上のモデルであるM040(左端)を並べて設置し、各モデルを切り替えながら、低音の出方や音の解像度をチェックした

一番右側(内側)のモデルがM 030。今回は比較試聴を行なうために、ジェネレックの人気機種8030B(中央)と、M030のワンサイズ上のモデルであるM040(左端)を並べて設置し、各モデルを切り替えながら、低音の出方や音の解像度をチェックした

 


──デザインと言えば、M030は足の内側にバスレフポートがあるんですよね。

TeddyLoid:ここから低域が出ているんですよね。普通バスレフってスピーカーの背面にあることが多いから、壁との距離で音が変わっちゃいますけど、M030は置く場所を選ばずに低域が出せますね。今回はスピーカースタンドと机の上の両方に置いてチェックしましたが、どちらでもシンセベースとかの低域がバッチリ出ていました。日本の住宅だと大きな音が鳴らせなくて低域不足になりがちですが、これくらい低域が出ていればバランスのいい音作りができます。

──以前からあるジェネレックの8000シリーズとM030の違いは何でしょう?

TeddyLoid:M030は、より最新のサウンドに対応しているという印象です。コンプレッションされた音圧の高いサウンドが今の主流ですが、M030はその音圧がしっかりと再生されます。あと、他のメーカーの同サイズのモニターで僕の曲を目一杯の音量で鳴らしたら、おそらく音が割れてしまうと思うのですが、M030はしっかりと鳴らしきってくれました。一応、過剰な入力からスピーカーを守るための保護回路も付いているみたいですが、スピーカーが飛ぶ心配が少ないので安心して音量を突っ込めます。

M030の下部の足の内側にあるバスレフポート。バスレフポートは、ユニット内の低音を外に出すための穴で、これが筐体の底面部にあるのは非常に珍しい設計だ。これがM 030の豊かな低音を生み出している

M030の下部の足の内側にあるバスレフポート。バスレフポートは、ユニット内の低音を外に出すための穴で、これが筐体の底面部にあるのは非常に珍しい設計だ。これがM 030の豊かな低音を生み出している

スピーカースタンドの上だけでなく、宅録環境を想定して、机の上に置いた状態でもサウンドチェックを行なった。机の上にダイレクトに置く以外に、写真のようにゴムのボードを敷いて鳴らすことで低域が引き締まった

スピーカースタンドの上だけでなく、宅録環境を想定して、机の上に置いた状態でもサウンドチェックを行なった。机の上にダイレクトに置く以外に、写真のようにゴムのボードを敷いて鳴らすことで低域が引き締まった



──M030を導入するメリットは?

TeddyLoid:僕が音作りやマスタリングをする時には、それこそ粗悪なラジカセから、ある程度の大きさのスピーカーやラージモニターまで、様々なスピーカーできちんと鳴るかどうかを確認するんですけど、M030できちんと鳴るように音を作っておけば、どんな環境でもいい音で聴ける気がしますね。つまりプロの音が作れるモニターだということです。

──モニタースピーカーのチョイスで、曲の出来が変わってくるんですね。

TeddyLoid:僕の尊敬している、いつも一緒にお仕事をさせていただいているアーティストさんの過去の作品を聴いてみると、昔のいわゆる定番のモニタースピーカーを使っていた頃のミックスと、ジェネレックのモニタースピーカーを導入してからのミックスで全然音が違うんです。ジェネレックのモニターは最新のサウンドの傾向がつかみやすいらしく、より低域がグッと前に出るようになったのにはビックリしました。モニタースピーカー次第で、アーティストのサウンドの傾向まで変わるということですよね。

──他に、モニタースピーカーのオススメの活用法はありますか?

TeddyLoid:好きなアーティストの曲を鳴らしてみて、どのへんの周波数がよく出ているかとか、どんなエフェクトをかけているかをチェックしてみて、それを自分のサウンドに当てはめていくとプロのサウンドにどんどん近づけることができますよ。M030で聴くと、そういう部分がハッキリ見えてくると思います。

──M030の購入を検討している読者へアドバイスをお願いします。

TeddyLoid:音楽制作だけでなく、リスニング用のスピーカーとしてもオススメです。周波数的なバランスがいいし、ダイナミックレンジも広いから、最新のダンスミュージックや、その他のジャンルも気持ち良く響きますね。置き場所も選ばないので、手軽に最新の音作りができますし。「プロと一緒の環境で聴ける」ということがM030の魅力だと思います。
 


GENELEC「M030」


GENELEC「M030」

M 030はミュージッククリエイター、特にDJやトラックメイカーの制作環境に特化した5インチ・ウーファー搭載のモニタースピーカーだ。ウッドファイバーを主体とした新素材のエンクロージャー(筐体)と、底面に配置された新機構のバスレフポート、クラスDアンプの採用など、伝統にとらわれない先進のテクノロジーを搭載した意欲的な設計がなされている。

■SPEC
・ウーファー:5インチ
・ツイーター:3/4インチ
・最大出力:HF= 30W、LF= 50W
・周波数特性:58Hz~20kHz
・最大音圧レベル:103dB
・クロスオーバー周波数:3kHz
・外形寸法:273(H)×190(W)×190(D)㎜
・重量:4.6kg(1本)

■問:オタリテック(株)
■TEL:03- 6457- 6021


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