アナログ入力を8基搭載
バンドの一発録音に最適なオーディオインターフェイスTASCAM「Celesonic US-20x20」
バンドの一発録音に最適なオーディオインターフェイスTASCAM「Celesonic US-20x20」
2016/01/30
協力:サウンドスタジオノア 秋葉原
プロフィール
レコーディングスタジオSOUND ARTSを拠点に、バンドからクラシックホールでのレコーディングなど多岐に渡り活躍するエンジニア。与えられた環境下で、クライアントから求められる最大限の満足度を与えることを心情とし、その評価は高い。これまでに財津和夫、竹仲絵理、ダウト、HERO、STATIONなどの作品を手掛けている。
都内で活動中の、左から郷(ds)、優(b)、翔(vo,g)、佑(g)の4人から成るインディーズバンド。バンドのモットーは、「偽物だらけの世界から偽物をすべて壊したい」。2月3日には渋谷gladにて初ライブを行ない、同時期に配信リリースをする予定。公式Twitterアカウント(@Dummy_FR)
●音質:最大24ビット/ 192 kHz ●最大同時録音/再生数:20イン/ 20アウト ●入出力端子:マイク/ライン/インストイン×8(XLR/TRSコンボ)、ラインイン×2(TRS 標準)、ラインアウト×10(TRS 標準)、デジタル入出力(S/P DIF、オプティカル)、ヘッドホン×2、MIDIイン/アウト、ワードクロック・イン/アウト、USB3.0/2.0(3.0はWindowsのみ対応) ●外形寸法:445(W)×59(H)×222(D)mm ●重量:2.7kg
コンプをかければ音が前に出るし、EQを使えば音のツブが見えてくる
本機にはS/P DIFとオプティカルのデジタル端子が用意されている。2台を接続して使用するにはADATケーブルを使ってオプティカルインとアウトをつなげればいい
今回は、13 本のマイクと1本のライン(ベース)を接続してサウンドのチェックを行なった。使用したマイクは以下の通り。ドラムのトップ=AKG C 414×2 本、キック=オーディオテクニカATM 25 、スネア(トップ)=シュアSM 57、スネア(ボトム)=シュアBE TA 57、タム=ゼンハイザーMD421、フロアタム=シュアBE TA57、ギターアンプ1=シュアSM57、ギターアンプ2 =シュアBE TA58、ベースアンプ=ゼンハイザーMD421、ボーカル=シュアBE TA58
──まず、Celesonic US-20x20のデザインやツマミと端子のレイアウトはいかがですか?
川嶋:本体をデスクに置くと角度が付いてフロンパネルが自分の方に向くので、使いやすいですね。ただ、今回のように2台重ねて使うと上に乗せた方は角度が付き過ぎるから、その場合は側面のパネルを外した方がいいかもしれませんね。入力端子がフロントに付いているのでケーブルの抜き差しがしやすいですし、ゲインのツマミもチャンネルごとに独立して操作できるのが便利だと思いました。このツマミがしっかり作られていて、回すと重みがあるので、ゲインの微妙な調整がやりやすいんです。
──本機は「オーディオインターフェイス、マイクプリ、ミキサー」の3通りの使い方ができますが、今回は2台のうち1台をマイクプリ・モードにしていましたよね?
川嶋:スイッチひとつでモードが切り換えられるから、どちらをオーディオインターフェイスにして、どちらをマイクプリにするかが簡単に選べていいと思いました。あと、今回のレコーディングでは、ダイナミックマイクとコンデンサーマイクを両方使ったんですが、4chずつファンタム電源のオン/オフができるので、9~12chにコンデンサーマイクをまとめて挿してみたんですよ。今回みたいな柔軟なマイクのセレクトにも対応してくれるのはいいですね。あとは、機種によってはファンタム電源をソフト側でオン/オフするものもありますが、単体のマイクプリとして使うことを考えると、ファンタム電源はハードのスイッチで操作できる方が安心です。
──では、内蔵されているマイクプリの音の印象はどうでしたか?
川嶋:もっとトレブリーで明るい音を想像していたんですが、意外と落ち着いていてロックに合うと思いました。中低域がしっかりあってハイの輪郭もクリアです。左右の広がりよりは、音がどんどん前に出てくる力強さがありますね。歌はナチュラルに聴こえてくるし、ギターもガツガツきます。個人的な好みだと、ドラムがもう少しハデでもいいかなと思いましたが、これくらいがちょうどいい気もします。オールラウンドに使えるという印象ですね。
──内蔵のミキサーやエフェクターの使い勝手はいかがでしたか?
川嶋:それらをコントロールするソフトがシンプルで直感的に使えるから、マニュアルを読まなくても問題ありませんでした。あと、録りの時に実際にコンプやEQを試してみたんですけど、効きがわかりやすいので、録りながらでも音をスムーズに決められると思いました。コンプをかければ音が前に出てくるし、EQを使えばどんどん音のツブが見えてくる。今回は音作りにはあまり時間を割けなかったんですけど、もっと追い込んでいけばさらに録り音が良くなると思いますね。
パーカッションとかのピークの大きいパートに向いていると思いました
こちらは実際にレコーディングを行なっていた際の、専用コントロールソフトのミキサー画面の様子だ。今回は13 本のマイク録音とベースのライン録音をしたので、計14 本のトラックのインジケーターが振れている。なお、録音中にEQやコンプを試してみたところ、非常に効果がわかりやすく、音決めも素早く行なうことができた
フロントパネルの右側には、8個のインプットに対応したトルクが重めのツマミが独立して用意されており、それぞれの入力ゲインの状態をひと目で確認できる。また、ヘッドホン端子が2 個用意されているので、例えば音楽制作用とリスニング用など、キャラクターの異なる2 本のヘッドホンで聴き比べることも可能だ
リアパネルには2 個のラインインと10 個のラインアウトの他に、デジタル端子やMIDI 端子、ワードクロックイン/アウトなど、豊富な端子が使いやすいようにレイアウトされている
──ヘッドホン端子が2つあるという点と、その音質はいかがですか?
川嶋:2人でモニターすることもできるし便利だと思います。音質については、スタジオに常設してあるソニーのMDRCD900STと、僕が普段から愛用している
AKGのK121 Studioというヘッドホンを挿して聴き比べたりしたんですが、この価格帯の製品にありがちなショボさはまったく感じませんでした。ヘッドホンを変えると結構音が違って聴こえたので、ヘッドホン側のキャラクターを殺さないしっかりしたアンプが使われているんでしょうね。
──他に何か気づいた点はありますか?
川嶋:やはりマイクプリの音の良さと、ゲインツマミの操作性の良さが印象的ですね。あと、マイクプリのヘッドルームに結構余裕があるんですよ。ちょっとツマミを動かしただけでレベルオーバーになったり、逆に小さくなり過ぎたりっていうことがなかったし、レベルをしっかりと追い込めたので、ドラムの各パーツのサウンドも作りやすかったです。そういう意味では、パーカッションとかのピークの大きいパートの録音にも向いていると思いました。
──最後に、Celesonic US-20x20をどんな人にオススメしたいですか?
川嶋:クリエイターさんやエンジニアさん、どなたにでもオススメですね。音のいいマイクプリが8ch分も入っていて、この価格帯って他にないですよ。あと、バンドで「曲が出来たからスタジオで合わせよう」っていう時に、これを1台持っていけばマルチで簡単に一発録りができちゃいますからね。操作性もわかりやすいから、それほどレコーディングの経験がなくても使えると思います。僕もモバイル用途で欲しいなって思いました。
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