繊細なニュアンスをしっかりと収音

存在感のある音が録れるダイナミックマイク「AKG D5 C」レビュー

存在感のある音が録れるダイナミックマイク「AKG D5 C」レビュー

2016/05/15


AKG D5 C

 

【製品概要】
「D5 C」は、クリアな高域と力強い低域で定評ある同社のダイナミックマイク「D5」(超単一指向性)の音質はそのままに、単一指向性に変更したモデルだ。ダイアフラムの厚みを中心部と外縁部で変えることで、透き通るようなクリアな高域と迫力のある低域を実現。ハンドリングノイズを大幅に低減しているので、ライブで使うのにも最適だ。

チェッカー:篠崎恭一(エンジニア)


 D5 Cは主にボーカリスト向けに開発されたハンドヘルド型のダイナミックマイクということで、筆者がマニピュレーターを担当しているアーティストのリハーサルスタジオに持っていき、ライブを想定した音量の中で複数のマイクと聴き比べながら試奏してみました。
 まずサウンドの印象としては、メーカーが発表している周波数特性表の通り、高域が非常によく伸びる印象を受けました。しかし、ギラギラとしたイヤな質感ではなく、すっきりとしたヌケのいいサウンドが得られます。息遣いを含む細かいニュアンスも繊細に拾いますし、サスティンの切れ際まで非常に丁寧に再現してくれました。なお、空間系エフェクトの乗りも良く、深めにリバーブをかけても声の輪郭を保ってくれます。
 今回は男声と女声の両方で試しましたが、特に女声と相性がいい印象を受けました。しかし、マイクに近づけば男声の超低域もしっかりと拾ってくれるので、距離次第で様々な表現ができるマイクだと思います。また、指向性は単一指向性ですが、一般的な単一指向性より狭めに設定されていて、真横からの音はまったくと言っていいほど拾いません。これならば、ライブでのフットモニターからの不要なハウリングも十分に避けられそうです。次に、実際にバンドが演奏している中で本機を使って歌ってもらいましたが、バンドサウンドの中でも埋もれない存在感のある声をPAスピーカーで鳴らすことができ、PAエンジニアとアーティストからも高い評価をいただきました。
 D5 Cはライブだけでなく、レコーディングでも十分に使用できる音質を持っている、非常にコストパフォーマンスに優れたマイクです。
 

オープンプライス(¥10,000前後)

【SPEC】
●形式:ダイナミック型 ●指向特性:単一指向性 ●周波数特性:20Hz〜17kHz ●感度:−52dB re 1V/Pa ●最大音圧レベル:160dB SPL(THD 0.5%) ●インピーダンス:600Ω以下 ●外径寸法:51(口径)×185(長さ)mm ●重量:320g ●付属品:マイクホルダー、マイクポーチ

1.本体のグリップ部分は一般的なハンドヘルド型のマイクよりも細いため、手が小さい女性でもしっかりと握ることができる。また、ハンドリングノイズ対策も万全に施されている。

2.指向性は狭めに設定されているので、ライブでもハウリングの影響を受けにくい。ダイアフラムはしっかり取り付けられており、衝撃に強い作りになっている。

3.本機にはマイクポーチと、細めのグリップをしっかりとホールドしてくれる専用のマイクホルダーが付属している。なお、別売りでショックマウント・ホルダー「H30」(¥9,500)も用意されている。


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