KemperとLine 6のアンプシミュレーターで試聴

ALvinoのKOJIと竹内朋康がジェネレックのモニタースピーカー「M030」と「8030B」をチェック

ALvinoのKOJIと竹内朋康がジェネレックのモニタースピーカー「M030」と「8030B」をチェック

2016/06/10


ALvinoのKOJIと竹内朋康

自宅でアンプシミュレーターを使う時、「音の出口」となるモニタースピーカーは非常に重要です。どんなモデルにつないで音を鳴らすのがベストなのでしょうか。あなたが使っているシミュレーターも、スピーカー次第で音質が劇変するかもしれません。

取材・文:本多理人 写真:小貝和夫


ケンパーのProfiling Amplifireやフラクタル・オーディオ・システムAxe-FXⅡXL、Line 6 Helixなど、近年は非常にハイグレードなアンプシミュレーターが人気を集めています。プロギタリストの間でも広く普及し、「本物のギターアンプを録音するよりもいい音で録れる」と語るギタリストもいるほどです。

そんな注目のアンプシミュレーターですが、再生するスピーカーによっては、せっかくの音質を鳴らしきれないことがあります。気持ち良く演奏するには高性能なスピーカーが必要不可欠です。

そこで今回は、音楽制作の分野で愛用者の多いジェネレックの2機種を2名のギタリストに渡し、アンプシミュレーター用スピーカーとしての性能をチェックしてもらいました。ALvinoのKOJIさんはケンパーでM030を、普段からLine 6のシミュレーターを愛用している竹内朋康さんにはLine 6 Helix Rackで8030Bを試してもらいます。
Line 6 Helix Rack

Line 6 Helix Rack

フラクタル・オーディオ・システムAxe-FXⅡ XL

フラクタル・オーディオ・システムAxe-FXⅡ XL

ケンパーProfiling Amplifire

ケンパーProfiling Amplifire

KOJI(ALvino)/M030 with Kemper Profiling Amplifire

すごく弾きやすいしスピード感が速い感じがします

PROFILE

1997年に、La'crymaChristiのギタリストとしてメジャーデビュー。2005年に同バンドを脱退すると、PIERROTの潤と意気投合し、共に楽曲制作を開始する。その後、本格的にバンド活動を開始するためにボーカリストの選定をはじめ、2006年にShotaと出会いALvinoを結成。5月4日に結成10周年を記念するミニアルバム『Lovely{H}Days』をリリースした。

 

──M030の第一印象はいかがですか?

KOJI:サイズは小さいのにちゃんと低音が聴こえて、普段自分が使っているフォステクスNF-01Aよりもかたまり感がありますね。それに、音量を小さくした時とすごく大きくした時で音質があまり変わらないのもいいですね。音量を下げた時にもちゃんとローまで聴こえるから音作りがしやすかったです。ギターの低音弦とかをミュートしながら弾いた時に、たまにローが出過ぎちゃうことがありましたけど。それは実際にギターの低音が多過ぎたせいだと思います。

──ローの聴こえ方は、ギターを弾くうえで重要な部分なのですか?

KOJI:そうですね。ミッドも重要ですけど、低音は自宅環境だと一番わかりづらい部分というか。特に一般のマンションとかだと、ローがしっかりわかるくらい音量を上げると苦情がくると思いますから、小さい音でローが判断できることはスピーカーにとって大事なんです。

──演奏のしやすさはどうですか?

KOJI:すごく弾きやすいし、音のスピードが速い感じがします。音のスピード感が遅いと弾いていてあまり気持ち良くいんですよ。スピードがある音は、ダイレクトに耳にスコンと入ってきて、それでいて痛くないんです。

──ギターアンプを鳴らして弾く時と比べると、どうですか?

KOJI:僕は真空管アンプを鳴らしてギターを弾くのが一番燃えるんですが、その次に好きなのが、ケンパーをモニタースピーカーにつないで鳴らした音なんです。ケンパーを真空管パワーアンプにつないでみたり、トランジスタのローランドJCのリターンに入れてみたり、パワーアンプ付きのケンパーをキャビネットにつないだりと色々試したんですけど、どれも意外と燃えなくて。モニタースピーカーにつないで弾くのが一番好きですね。ケンパーはプロファイリングしたアンプのキャラクターがハッキリ出るんですけど、M030はそれを素直に再生してくれました。

──帯域のバランスはいかがでしたか?

KOJI:ローエンドの部分がよく聴こえましたけど、どこかが出過ぎているということはなくて、バランスはすごくいいですね。全部の帯域が聴こえるというか。それは自宅で音楽制作をしている人に向けて作られているからでしょうね。
 

  • ジェネレックM030
ジェネレックM030
ミュージッククリエイターの制作環境に特化した5インチウーファーを搭載したモニタースピーカー。ウッドファイバーを主体とした新素材のエンクロージャーと、底面に配置された新機構のバスレフポート、クラスDアンプの採用など、伝統にとらわれない先進のテクノロジーを搭載した意欲的な設計がなされている。ギタリスト向けのモニターとして使える他、音楽的な音質なので、曲作りやバンドの音作りにも最適だ。

●ウーファー:5インチ●ツイーター:3/4インチ●最大出力:HF= 30W、LF= 50W●周波数特性:58Hz~20kHz●最大音圧レベル:103dB ●クロスオーバー周波数:3kHz●外形寸法:273(H)×190(W)×190(D)㎜ ●重量:4.6kg(1本)

価格:オープンプライス

竹内朋康/8030B with LINE6 Helix Rack

「いいアンプシミュレーターのいい部分がハッキリと出ます」

PROFILE

竹内朋康(たけうちともやす)。90年代にSUPER BUTTER DOGのギタリストとしてデビュー。RHYMESTERのMummy-Dとのユニット「マボロシ」でも活動を行なっている。2014年にはギターのみならず、すべての楽器を自ら演奏した初のソロアルバム、『COSMOS』をリリース。フジテレビ「テラスハウス」で楽曲が使用されるなどして、大きな話題を呼んだ。

 

──竹内さんは普段、自宅でギターをレコーディングしているのですか?

竹内:前のソロアルバム(『COSMOS』/2014年発表)では、自宅で半分くらい録りましたね。自宅ではヘッドホンはあまり使わずに、モニタースピーカーを鳴らしています。

──では、今回試していただいた8030Bの印象はいかがでしたか?

竹内:メチャメチャ良かったです。俺は普段、ジェネレック1029Aを使っていて、1029Aはどっちかというとドンシャリ寄りのサウンドなんですけど、8030Bはミッドの感じがかなり良くて、アンプシミュレーターを鳴らすのにピッタリでした。ハイ、ミッド、ローのバランスがいいんですよ。あと、音のキメが細かいというか、ツブがすごくキレイに出るんですね。再生音が粗くないし、デジタル感もそれほど感じなかったです。

──同じアンプシミュレーターでも、モニタースピーカーによって結構差が出るものなんですね。

竹内:出ますね。他のメーカーの同サイズのスピーカーも試してみましたけど、音が全然違ったので。

──シミュレーターそのものの音は、実際にアンプを鳴らしている時の感覚に近いのでしょうか?

竹内:実際にアンプを鳴らすのとは、ちょっと違うと思うんですよ。アンプシミュレーターってマイクで拾った空気感も含めてシミュレートしているけど、アンプの空気感はその場の鳴りですから、その差はあると思います。でも、8030BでHelixを鳴らすと本当にアンプで弾いているみたいですね。

──鳴らす音量によってスピーカーからの出音の聴こえ方は変わりますか?

竹内:音量を小さくしてもサウンドの印象は変わらなくて、そのままレベルだけが下がりましたね。歪み系でもクリーン系でもうまく再生してくれたのでストレスはありませんでした。

──ハイやローの出方はいかがですか?

竹内:まとまり感がいいですね。ローの再生力が半端ないし、低音がもの足りないことはなくて、逆にあり過ぎるかもしれません(笑)。Line6のアンプシミュレーターって普通のアンプよりもローが出るんですけど、8030Bはその特徴もしっかりと再生してくれましたね。音の解像度が高いので、いいアンプシミュレーターのいい部分がハッキリと出ます。

  • ジェネレック8030B
ジェネレック8030B
ナチュラルな高域と、まろやかな低域を実現し、原音に忠実なモニタリングを可能にしたスピーカー。アルミダイキャスト製MDEエンクロージャー(筐体)を採用したことにより高音質を実現。また、そのサイズからは想像もつかないほど豊かな低音を再生するなど、ニアフィールドモニターとして十分な特性を備えている。かなり細かい音まで再生可能なので、ギターの音色を作り込みたいギタリストにオススメだ。

●ウーファー:5インチ●ツイーター:3/4インチ●最大出力:HF= 40W、LF= 40W●周波数特性:58Hz~20kHz●最大音圧レベル:100dB ●クロスオーバー周波数:3kHz●外形寸法:285(H)×189(W)×178(D)㎜ ●重量:5.6kg(1本)

価格:オープンプライス(¥100,000 前後/1台)

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