ユニバーサル・オーディオUAD-2に3種類の名器(DSPプラグイン)が追加! DAWエキスパートのミュージシャンCUTTが徹底チェック!

ユニバーサル・オーディオUAD-2に3種類の名器(DSPプラグイン)が追加! DAWエキスパートのミュージシャンCUTTが徹底チェック!

2016/10/05


多くのエンジニアに愛用され、実機の精巧なモデリング/エミュレーションに定評のあるDSPプラグイン「UAD-2」のソフトウェアが「Ver.8.7」にアップデートされました。このバージョンで新たに加わったプラグインをCUTTに試奏してもらいました。


Ver. 8.7では、ボーカル用のチャンネルストリップの名器「Manley VOXBOX Channel Strip」(以下、VOXBOX)と、アンペグの伝説的なベースアンプをシミュレートした「Ampeg B-15N Bass Amplifier」( 以下、B-15N)という2つのプラグインが新たに加わりました。

また、少し前にUADオンラインストアから姿を消していたローランドの空間系ビンテージエフェクター・バンドル「The Roland Classic FX Bundle」が「Classic FX Bundle」として、装いも新たに復活しているのにも注目です。

2つの新しいプラグインは、同社のオーディオインターフェイス「Apollo」シリーズではかけ録りに使うこともでき、入力インピーダンスやゲインステージ、回
路の特性まで再現する「Unison」テクノロジーに対応しているため、まるでVOXBOXやB-15Nの実機を扱うかのようなリアルな使用感を体験できます。

CUTT
X JAPANのhideに見出されたロックバンド、shameのフロントマンとしてデビュー。近年はソロアーティストとして活動している他、ToshI(X JAPAN)のライブサポートも務めている。日頃からCUBASEを核にした環境で楽曲制作を行なっており、現在、ソロ名義でのアルバム『True Colors』が好評発売中。
www.cuttofficial.com

Manley VOXBOX Channel Strip〈ボーカル用サウンドプロセッサーの名器〉

VOXBOXは1997年に発売されて以来、U2やベックなど、数々のアーティストのヒット作品で使用されてきたハイエンドなボイスプロセッサーです。クラスAチューブ・マイクプリとコンプレッサー、EQ、ディエッサー、リミッターが搭載されていて、ボーカル録音時に必要な処理がすべて行なえます。

今回は、同社のオーディオインターフェイス「Apollo Twin」のUnisonを使ってVOXBOXプラグインをかけ録りしてみました。興味深いのは、コンプがプリアンプの後ではなく、前に配置されている点で、それによってより音楽的かつ均一なサウンドが生み出されていると感じました。コンプはレシオが「3:1」に固定
されており、深めにかけても自然で音楽的なコンプレッションが得られます。

その次の段のディエッサーセクションは、耳障りな歯擦音を抑えるためのもので、こちらも不自然になるほどかかることはなく、安心してかけ録りができます。

EQは名器Pultec EQと同じタイプで、高域を上げると、本機の醍醐味とも言えるクラスAチューブならではのシルキーなハイ成分が得られます。低域と高域はブースト(上げる)、中域はディップ(下げる)の操作しか行なえませんが、それぞれ幅広い周波数帯域が選べるので、かなり自由に音作りができました。

本プラグインは極端なセッティングでも音楽的な自然さを失わないのが特徴です。ボーカル用としてだけでなく、様々な楽器に積極的に使用できると思います。
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入力ゲインは、プリアンプのトーンコントロール的な役割も兼ねたノッチ式のGAINとINPUTの組み合わせにより、細やかにレベルを調整できる

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コンプのアタックとリリースは、目的や入力ソースに合わせてそれぞれ5 段階を切り替えることができ、計25種類のキャラクターから選択することが可能だ

Ampeg B-15N Bass Amplifier〈伝説的な60年代のアンペグ製ベースアンプ〉

B-15Nは、オールチューブのベースアンプとして知られている1964年製の「B-15NC」と1966 年製の「B-15NF」のトーンを再現したプラグインです。世界で2モデル合わせて250台だけ限定生産された製品を精密にモデリングし、プラグインならではの機能も追加されています。

本プラグインをUnisonで使用すると、Apolloのゲインノブがパッシブベースとアクティブベースの入力を切り替えるスイッチになり、その他の調整はプラグイ
ン上で行ないます。インプットとボリュームとEQは、すべて64 年製NCと66年製NFの方式に分かれており、64年製は低域がファットで丸みがあって歪みやすく、66年製は低域がタイトでヘッドルームが広い歪みにくい印象です。また、64年製と66年製のパワーチューブのバイアスを独立して選択でき、それぞれの特性をさらに微調整できます。

プラグインならではのFXラックも特徴です。ノイズゲートの他に、プリ/ポストの切り替えが可能なローパス/ハイパスフィルター、手軽にディストーションを得られるPOWER SOAKに加え、強力なのが「REC CHAINS」機能です。これは4台のキャビネットに様々なマイクを立て、NEVEコンソールとアウトボードのEQで音作りをした42通りのサウンドセットを選べるもので、アンプシミュレーターの枠を超えた総合的な幅広いベースの音作りが可能になります。
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REC CHAINSのAUTOモードでは、プレイバックに合わせて数小節ごとにREC CHAINを自動で切り替えながら、好みの設定を探すことができる

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アンドゥ/リドゥやコピー/ペーストを使ったり、ABCDのスロットそれぞれに設定を保存しておけるなど、プラグインならではの操作性が便利だ

Classic FX Bundle〈70年代のアナログコーラス/エコーの名器を再現〉

 「Gal axy Tape Echo」、「Bri gate Chorus Pedal」、「Studio D Chorus」という、3つのプラグインのバンドルが「Classic FX Bundle」です。それぞれローランドRE-201、ボスCE-1、ローランドDimension D Chorusという、70年代のアナログ・モジュレーションを本家のクオリティで再現しています。

Galaxy Tape Echoはテープディレイとスプリングリバーブを搭載しており、別々に使う以外に組み合わせて使うこともできます。テープエコーの特性としてエコーレートを動かすとピッチが変化するので、フィードバックを上げてエコーを発振させ、エコーレートを操作するとピンク・フロイドのようなアバンギャルドな効果が得られます。DAWのオートメーションでその操作を記録すると、印象的なフックを作ることができるでしょう。

Brigate Chorus Pedalは効きが深めのコーラス/ビブラートで、レトロでエフェクティブな効果が得られます。ステレオソースにかけると一層深みのあるサウンドになります。

Studio D Chorusはとても薄く繊細にかかるコーラスです。コントロールはボタンが4つだけとシンプルで、数値が大きいほど深くかかります。大きな音色変化を狙うものではなく、サウンドに少し深みを与えたり、バックコーラスやストリングスを少しワイドにするなど、隠し味的な使い方ができます。
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Galaxy Tape Echoのエコーは、TREBLEとBASSの調節が可能だ。また、独立してパンを設定することができ、独特な効果を生むことができる

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Studio D Chorusはシフトキーを押しながらボタンを押すことで、実機で可能だった同時押しを再現できる。これによりコーラスがさらに深くかかる

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