ルカ・スーリッチとステファン・ハウザーのチェロによるデュオ
2CELLOS、来日公演・ニューアルバム『スコア』についてインタビュー
2CELLOS、来日公演・ニューアルバム『スコア』についてインタビュー
2017/03/29
──この曲がハンス・ジマーの弟子ラミン・ジャワディが作曲したことって何か関係ありますか?
ルカ:「そうだね、僕らは、ハンス・ジマーのことをリスペクトしているから。実は、数ヶ月前にハンスと直接電話で話す機会があった。彼がソニー・ミュージックから発売する作品集に僕らの曲を入れたい、という許諾を得るための電話だったんだけれど、彼と話せて僕はすごくうれしかった。
ただ、残念なことにその電話を受け取った時、僕らはたまたまペルーにいて、通信状況が良くなくて、じっくり話すことが出来なかったんだけれど、でも、そのなかで今後何か一緒にプロジェクトで組もう、と言ってもらえた。すごくうれしかったね。本当に通信状況が良ければ、もっといろいろ彼と話をしたかった」
──その後、何か具体的にプロジェクトは進行している?
ルカ:「ハンス・ジマーもプロジェクトに関して、まだアイディア段階のようだったので、何か具体的にその後話が進んだということはない。ただ、もし実現したのならば、僕らの夢がまたひとつ叶うことになるよね」
ステファン:「僕らは、本当にラッキーだよね。夢の全てが叶っているから。そこにもうひとつハンス・ジマーとのプロジェクトが加わるのであれば、またまた幸せな気持ちになれると思う。僕らは、夢の実現のために生きているんだから(笑)」
──ちなみに夢の実現のためにやっていることは?
ステファン:「まずは、夢を見る勇気を持つこと。多くの人は、それすら恐れてしまい、夢見ることをあきらめてしまう。僕らの経験から言うと、家族や友人、知らない人からたとえ「無理だよ」とネガティヴな意見を言われたとしても、僕らは、その言葉に耳を傾けないようにしていた。自分を信じる情熱を持って、前に突き進むしかない。勇気を持つことがとても大切だと思う」
──悩み多き音大生のいいお手本になっているのでは?
ステファン:「そうかもしれない。でも、まず言いたいのは僕らと同じような道を、同じスタイルの音楽で進みたい、という風に考えるのはよくないよね。実際にマネージメントに2チェロズのようになりたい、と売り込んでくる音大生がいるけれど、それでは僕らのマネであって、独創性がないじゃない。自分の道は、自分の音楽で切り拓かないとね。マネでは成功しないと思うよ」
──話を映画音楽に戻しましょう。演奏している時は、何か映像とかを思い浮かべている?
ルカ:「映像の意識は、特にない。もちろん人間なので、無意識のうちに映画のストーリーが演奏に盛り込まれることはある。でも、一番重要なのは、メロディーが持つ感情を僕が感じながら演奏すること。ストーリーや、映像よりもそれを重視している」
──エアースタジオの良かった点は?
ルカ:「かつて教会だったところを改造しているスタジオなんだ。なので、まず雰囲気がとてもいい。天井も高く、主にオーケストラのレコーディングに使われている。エンジニアのピーター・コビンは、エアースタジオでのレコーディング経験が豊富で、マイクの立て方も熟知していたので、すごく助けられた。オーケストラがどんなにフォルテッシモな音を奏でても、空間に余裕があるので、音の広がりが感じられる。閉そく感がなかったのが良かったね」
──共演のロンドン交響楽団に関して
ルカ:「素晴らしいオーケストラだった。楽団員がひとつの生命体となって音を奏でる。音の強弱を含めて、その連帯感が素晴らしく、当然のように初見でも楽々演奏できる。まるで100回以上も演奏してきたかのようにね」
──今回ニック・パトリックにプロデュースを依頼した理由は?
ルカ:「僕らがプロデューサーに期待することは、どれだけいいチームを編成できるか、ということ。エンジニアとかスタッフの心配をすることなく、そういったことの全てをオーガナイズしてくれること。そうすれば、僕らは演奏に専念できるからね。そういう点でニックはいいチームを編成してくれた。さらに僕らのアイディアに対してもいつもオープンな態度で聴き入れてくれた。そういう意味でも最高のプロデューサーだった」
──アルバム・タイトルの「スコア」について
ステファン:「いくつかの意味がある。まず純粋に映画のサウンドトラックという意味の「スコア」。もうひとつは英語で、ビンゴ、大当たりという隠れた意味もあるので、このアルバムをヒットさせたい、という僕らの思いも込められている」
──最後にいまハマっていることは?
ルカ:「今スロベニアに家を建てている。なので、ツアー以外の時間は、どんな家にしようかと考えていた。小さいけれど、ホームスタジオもあるし、大好きなサウナも完備している。僕らは、デビュー以来スーツケースに住むような生活を送ってきた。もう30歳になるので、これでようやく落ち着けるかな」
ステファン:「僕もこれからクロアチアに家を建てるつもり。その設計に夢中で取り組んでいるよ」
この記事の画像一覧
(全0枚) 大きなサイズで見る。
関連する記事
2019/04/24
2018/11/12
2018/07/03
2018/03/22
2017/10/06
2017/06/20
ニュース
2023/12/25
2023/12/20
2023/12/18
インタビュー
2023/03/23
2022/09/15
2022/05/26
2022/01/26
特集/レビュー
2023/04/03
レクチャー
2022/11/15
2022/11/01