幅広いユーザー層が活用できる新しいプラグインが5つ追加

Windowsでのカスケード接続に対応したUADソフトウェア・バージョン9.1が登場

Windowsでのカスケード接続に対応したUADソフトウェア・バージョン9.1が登場

Windowsでのカスケード接続に対応したUADソフトウェア・バージョン9.1が登場

2017/05/15


UADソフトウェアの最新バージョン9.1が公開され、Windows環境でもオーディオインターフェイスApolloシリーズのカスケード接続が可能となりました。さらに、幅広いユーザー層が活用できる新しいプラグインが5つ追加されています。

文:目黒真二


最新のバージョン9.1では、今までMac環境のみで可能だったカスケード接続が、ついにWindows環境でも可能になりました「。カスケード接続」と聞いてもピンと来ない人もいるかもしれませんが、これは「複数のApolloシリーズを連結して機能を拡張できる」ということです。例えば、4台のApolloシリーズがあるなら、それらをカスケード接続することで4台が「1つのオーディオインターフェイス」としてパソコン側に認識され、console2ソフトウェアからも4台を統括してコントロールできるようになります。また、DSPも4台分をフル活用できます。これにより、同時に扱えるチャンネル数が増大し、編成の多いバンドの一発録りまでできるようになりました。各ブースにApolloを設置してモニター環境を統一するというようなことも可能です。DSPの増強により、UADプラグインもたっぷり使用できます。

また、今回のアップデートでFireWire接続の「ApolloFireWire」も、2台までカスケード接続とConsole2ソフトウェアの使用ができるようになっています。

SSLコンソールプラグインがUnisonに対応

SSL 4000 E Channel Strip Collection

1980~90年代に一世を風靡し、数多くのヒット曲を生み出した伝説のミキシングコンソール「SSL4000E」。その実機をSSLから借り受け、徹底的に再分析してソフトウェアとして再構成し、プリアンプからフェーダーに至るまで完全に再現したのがこのプラグインです。

これまでもUAD-2にSSLのプラグインはありましたが、今回はプリアンプのふるまいを完全に再現するUnison(※)に対応し、録りの段階からSSLテイストを加えられます。ゲインを上げていくと倍音が増えてボーカルやギターに暖かみが加わり、ツブ立ちのいい「シャキッ」とした印象になりました。もちろん、プラグインを後がけしても音に立体感が加わり、ハデになるなど、SSLならではのサウンドがじっくりと味わえます。

※Unison=プリアンプなどにおいて重要な、インピーダンスやゲイン、アナログ回路のふるまいなどを忠実にエミュレートし、Apolloシリーズのマイク/Hi-Zインプット回路を制御する技術

幻のチューブ・ギターアンプがUADで復活

Fuchs Overdrive Supreme 50 Amplifier

現在は入手困難で、オークションでも高値が付くチューブ・ギターアンプ「Dumble Overdrive Special」のサウンドに感銘を受けて、Fuchs社が開発したギターアンプ「Fuchs Overdrive Supreme50」。それを忠実にプラグイン化したのが、この「FuchsOverdrive Supreme 50Amplifier」です。

こちらもUnison対応なので、弾きながら音の感触を確かめつつ、音作りや録音ができます。チューブならではのしっとりとした艶や、オーバードライブさせた時の音の厚み、ピッキングニュアンス を失わないトーンなど、著名ギタリスト がこぞって使用していたのもうなずける出来です。フルゲインで歪ませた時も、 ノイズゲートにより濁りのないサウンド でレコーディングができます。

フロアを揺らす重低音を作り出すプラグイン

Brainworx bx_subsynth Subharmonic Synth

dbxの「120XP」というサブハーモニック・シンセサイザーを基に開発され、低音を自由に付加できるのが「Brainworxbx_subsynth SubharmonicSynth」です。EDMなどの低域が重要なジャンルの音作りに特化しており、実機のシミュレート以外に新機能も追加され、より現代的なトラックメイクで使えるようになっています。

キックやベースなどにかけて低域を増強させる他に、2ミックスにかけてベースをグッと前に出すような使い方も効果的。3バンドの低域ツマミで低域周波数のブレンド具合を調整できます。また、M/Sモードも装備され、最近よく使われるミッドとサイドに分けたミックスにも対応。フィルターやサチュレーションも使えば独自の低域増強が行なえます。

ユニークでモダンなビットクラッシャー

OTO BISCUIT 8-bit Effects

かつて8ビットマニアを狂乱させたビットクラッシャー「OTOBISCUIT」が、完全にプラグイン化されました。ハードウェアではステップボタンとの兼用だったWAVESHAPREやSDELAYなどのコントロールが、ソフトでは専用画面を使って、より直感的に操作できるようになっています。

シンプルな作りをしているだけに操作方法もシンプルです。フィルターで周波数とQを調整しつつ、ステップボタンで歪み加減を調整し、歪み系のWAVESHAPREや、ステップボタンをシーケンサーに見立ててフィルターを設定するSTEPFILTERを併用することで、ちょっとした変調から破壊的なエグいサウンドまで、幅広いフィルタリングを使いこなすことができます。

定番マルチモード・フィルターがさらに進化

Moog Multimode Filter Collection

Sub37など、歴代のモーグ製品に搭載されていたフィルターを集結させたUADプラグイン「Moog Multimode Filter XL」が一新され、「Moog Multimode Filter Collection」となりました。

新たにフィルタータイプやモジュレーションが追加された他、レゾナンスやカットオフ周波数などのコントロールを選択し、曲のBPMにシンクさせながら連続的な効果をかけることができる、4トラックのシーケンサーを新搭載。ビートに合わせた複雑なフィルタリングで、単調なリズムトラックを盛り上げることができます。自己発振機能やDRIVE、タップ可能なLFOにより、まるでシンセサイザーでの音作りのように、自在にトラックメイキングができるのです。

  • 永井 ICHI 雄一郎(ユニバーサル・オーディオ) コメント

“プラグインを「より実践的に使えるようにしたい」というコンセプトがありました”

今回のバージョンアップにおいては、「Windowsユーザーでもカスケード接続ができるようにする」というのが一番大切でした。さらに、macOS Sierra 10.12も正式にサポートできるようになりましたので、例えば「外のスタジオではMacのラップトップで録音して、家に帰ってからはWindowsのデスクトップPCで編集する」というようなワークフローも、万全の体制でオススメできます。Apolloユーザーには、コンピュータのOSや接続方法に左右されずに、同じ環境で音楽制作をしていただけるのが私達の理想ですからね。

プラグインに関しては、新しいものもありますけど、「より実践的に使えるようにしたい」というコンセプトがありました。例えばSSLのプラグインは、以前からあって評判も良かったんですけど、ゼロから作り直して、録音でも使えるようにUnison対応にしたり、定番のモーグフィルターも、実機にはない機能まで付けているんです。あと、最近増えているEDMクリエイターやギタリストのために、ビットクラッシャーとベース増強ソフト、そして希少価値の高いアンプのモデリングを追加しています。どれもぜひ試してほしいですね。


問:(株)フックアップ
TEL:03-6240-1213

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