【SONARユーザーのためのDAW乗り換え案内】CUBASE PRO 9.5、Studio One 3、ABLITY 2.5、FL STUDIO 12、Mixcraft Pro Studio 7

【SONARユーザーのためのDAW乗り換え案内】CUBASE PRO 9.5、Studio One 3、ABLITY 2.5、FL STUDIO 12、Mixcraft Pro Studio 7

2018/02/15


TASCAM Professional Softwareブランドとしてリリースされていた「SONAR」の発売が、昨年をもって終了しました。多くのSONARユーザーの中には、引き続き使っていくという人もいるかもしれませんが、パソコンやOSのバージョンアップのことを考えて、他ソフトへの乗り換えを考えている人も多いはずです。この特集では、次に手に入れるべきDAWソフトを選ぶうえでの足掛かりになる情報をご案内しましょう。
 


スタインバーグCUBASE PRO 9.5
オープンプライス(¥55,000前後)
問:㈱ヤマハミュージックジャパン スタインバーグ・コンピューターミュージック・インフォメーションセンター
https://jp.yamaha.com/support/contacts/av_pa/steinberg_notes/

CUBASE

30年の歴史を持ち、常に進化し続ける定番DAWソフト

ドイツのスタインバーグ社が開発している「CUBASE PRO」は、世界中のプロミュージシャンが愛用している老舗のDAWソフトです。レコーディング、MIDIの打ち込み、ミックスという音楽制作をするうえで必要な機能がすべてカバーされており、またソフトシンセやピッチ補正機能など、便利なツールが満載です。
 

発売からおよそ30年の歴史を持ち、今や定番DAWソフトとしての地位を確立しているのがスタインバーグ社の「CUBASE」です。

メイン画面となるプロジェクトウインドウでは、各トラックが表示される中央上部のエリア、その下に選択したエディット画面やミックスコントロール画面などを表示するエリア、画面左側にはトラックのインスペクターを表示するエリア、右側にはマスターメーターやメディアブラウザなどを表示するエリアが1つの画面上に配置されており、SONARと同様の視認性を持った構成になっています。

また、CUBASEならではの特徴のひとつに作曲支援機能があります。例えばコード進行で、「コードとコードの間を何のコードでつなげばいいのかわからない」という場合などに重宝する「コードアシスタント機能」や、コードを演奏させながら作曲が行なえる「コードパッド機能」などは、オリジナル曲の制作時に重宝します。

開発元のスタインバーグ社は、現在の音楽制作に欠かせないVSTとASIOという2つの規格を生み出したメーカーでもあり、CUBASEのオーディオ関連の編集には従来から定評があります。今日の編集作業において不可欠な、タイムストレッチ機能やピッチ修正機能は非常に使い勝手が良く、編集後の音質も自然な質感が得られるので、他社製プラグインなどを導入する必要がありません。

この他にも、インターネットを介して他のCUBASEユーザーとファイル共有を行なうための「VST Transit」や、作曲やレコーディングセッションのコラボレーションが行なえる「VST Connect SE」といった機能も装備しており、日々進化する音楽制作手法にも、余裕で対応可能な環境を構築することができます。
なお、ソフトを起動するためのキーはUSB-eLicenserを使っていますので、複数のパソコンにソフトを入れておけば、目的や用途に応じて使い分けることもできます。ただし、同時に起動できるのは1台です(文:内藤 朗)。

【動作環境】
・Mac=OS X El Capitan(10.11)、macOS Sierra(10.12)、macOS High Sierra(10.13) ・Windows 7、8.1、10(すべて 64ビット版のみ)
●CPU:64ビットIntel/MDマルチコアプロセッサー(Intel Core i5以上を推奨) ●RAMサイズ: 8GB(最低4GBを推奨) ●ディスク空き容量: 18GB以上 ●推奨ディスプレイ解像度: 1920×1080(最低1366×768 以上)   ●その他:USB 端子、OS対応オーディオインターフェイス(ASIO対応デバイス推奨)、インターネット接続環境

 

 

売りの機能①=オーディオデータをMIDIのように扱える

「サンプラートラック」を使うと、サンプラーコントロールのエリア内にMIDIパートをドラッグするだけで、レンダリングされたオーディオファイルが自動で作成され、そのままサンプラー上で編集を行なうことができます。作成したサンプルはGroove Agent SEやHALionなどに転送でき、例えばMIDIで打ち込んだループフレーズをGroove Agent SEに割り当てて、さらに加工することも可能です。また、オーディオファイルをドラッグすると、MIDIのように扱えます。
 

売りの機能②=コード進行を考える際に便利な「コードパッド」

 

「コードパッド」とは、画面上に表示された鍵盤状のパッドをクリックすると、そこに表示された和音が鳴り、さらにMIDIトラックにドラッグ&ドロップすると、自動でそのコードを入力してくれる機能です。ジャンルやスケールごとに合ったコード進行の組み合わせのプリセットが用意されており、それらを活用することで、楽器が弾けない初心者でも手軽にコード進行を考えることができます。なお、ボイシングとテンションノートを瞬時に、かつ細かく編集することもできます。
 

売りの機能③=ピッチ修正が容易に行なえる「VariAudio」機能

「VariAudio」は、オーディオのピッチやタイミングを編集できる機能です。ボーカルなどの単音パートのフレーズを、MIDIデータのような感覚で1音1音扱うことができ、ピッチ補正やタイミング調整が自由に行なえます。また、ビブラートやシャクリなどの表現を後から加えたり、ケロケロボイスを作ることも可能です。ちなみに、コードトラックと連携させることで、曲のコード進行に沿ったピッチ補正も行なえます。
 

売りの機能④=高性能なソフト音源とエフェクトを多数装備

DAWソフトを使用した音楽制作には不可欠な、ソフト音源も充実しています。汎用性の高いマルチティンバー音源の「HALion Sonic SE 3」やドラム音源「Groove Agent SE 4」など8種類を装備。また、エフェクト系では標準的なもの以外に、コンボリューションリバーブの「REVerence」や、アナログの質感が得られるコンプ「Vintage Compressor」など、70近い多彩なものが用意されています
 

 

売りの機能⑤=オートメーションカーブの編集が容易にできる

CUBASE PROでは、トラックオートメーションを編集する際に、オートメーションポイントの間にある丸い点をドラッグするだけで、オートメーションカーブをなめらかに描くことができ、自由に形を変えることができます。また、複数のオートメーションカーブを一括して動かすこともでき、この機能によってマウスの操作は最小限ながらも、素早く高精度な編集を行なうことができます。ちなみにこの機能は、先日発表されたバージョン9.5からの新機能のひとつです。
 

売りの機能⑥=用途に応じてカスタマイズ可能なメトロノーム

 

他のソフトのメトロノーム機能は、アクセントや演奏音色などの指定は可能ですが、パターンが変わるクリックが必要な場合は、別途クリック用のトラックを作成する必要があります。しかし、CUBASE PROの9.5からは「クリックパターンエディタ」を装備しているので、クリックパターンをプロジェクト上の各小節/拍ごとに自由に設定することができるようになりました。また、作成したクリックは、MIDIまたはオーディオファイルとして書き出すことができます。

SONAR特有の機能と共通の機能も搭載!

CUBASEでは、ユーザーがショートカットキーをカスタマイズすることが可能ですので、SONAR使用時に多用していた編集メニューのショートカットを、同等の機能上で割り当てることができます。また、MIDI編集時に重宝するアルペジエーターやステップシーケンサー機能は、それぞれ「Arpache SX」、「Step Designer」というMIDIプラグインとして装備しています。

オーディオ編集ではソフト音源を使用したトラックのフリーズや、ミックスコンソール上で任意トラックの表示/非表示の切り替えも行なえるなど、大きくSONARと操作性が変わってしまうということはないので、これまでの作業の流れに沿って曲作りを進めていけるでしょう。
 


プリソーナスStudio One 3
Professional日本語版(ダウンロード版:¥42,800、USB版:¥45,800) Professional日本語版+Notionバンドル(ダウンロード版:¥46,800) Artist日本語版(DL版:¥12,800、USB版:¥15,800) Artist日本語版+Notionバンドル(DL版:¥19,800)
問:㈱エムアイセブンジャパン
https://www.mi7.co.jp

軽快で合理的な操作性と圧倒的な高音質が魅力


「Studio One」は、ドイツのDAWプログラミングの巨匠、ヴォルフガング・クンドゥルス氏が中心になって開発された高音質が持ち味のDAWソフトです。1つの画面で作業ができるシングルウィンドウをいち早く取り入れ、音楽制作とマスタリングを同時に行なうことができるなど、革新的な機能を多数備えています。

発売されて約8年と、数あるDAWソフトの中でも新興の部類に入るのが、Studio Oneシリーズです。最新の技術に基づいて設計されている分だけ動作が軽く、今時の音楽制作に求められる機能と使い方にフォーカスした、合理的な操作性を備えているのが特徴です。

例えば、Studio Oneの特徴のひとつでもある、ウィンドウを重ねずに1つの画面の中に全情報を表示して、ドラッグ&ドロップでセットアップを進めていくユーザーインターフェイスは、X1以降のSONARに慣れているユーザーならば、すぐに馴染めるでしょう。

そして、Studio Oneの最大のポイントと言えるのが、何と言っても音の良さです。64ビットエンジンなどの数値的なスペック以上に、そのサウンドは目の前から薄膜を1枚剥いだような解像度の高さを持っており、多くのパートを鳴らした場合でも飽和せずに、余裕で再生することができます。

特にDAWソフトを、演奏や歌をレコーディングするツールとして考えている人や、ソフト音源を多用する人には、同ソフトのオーディオ性能の高さは、かなり魅力的だと思います。実際、プロエンジニアの中にも、優れた音質面を考慮してStudio Oneに乗り換えている人が数多くいます。ちなみに、ピアノロール画面の使い勝手も良く、編集機能も十分に備わっているので、打ち込みもスムーズに行なうことができます。

その他、新機能の追加とバグ修正のアップデートがマメに行なわれる点や、ソフトのアクティベーション管理が容易な点なども、本ソフトを主力ツールとして末永く使っていくうえで安心できます。

Studio Oneは、とにかくストレスなく直感的に音楽制作が行なえるように考えられていて、実際に使ってみてこそソフトとしてのポテンシャルの高さがわかるDAWソフトだと思います。ちなみに、無料版の「Prime」もあるので、ぜひ一度試してみてください(文:平沢栄司)。

【動作環境】
・Mac=Mac OS X 10.8.5以降。Intel Core 2 Duoプロセッサー(Intel Core i3以上推奨)
・Windows=7 x64/x86 SP1+platformアップデート、8.1 x64/x86、10。Intel Core 2 DuoまたはAMD Athlon×2プロセッサー(Intel Core i3またはAMD Athlon X4以上推奨)
・Mac/Windows共通= 4GB RAM(8GB以上推奨)。30GBハードディスク。1366±768解像度以上のディスプレイ。タッチ操作にはマルチタッチに対応したディスプレイが必要


 

売りの機能①=アイディアのテストに便利な「スクラッチパッド」

Studio Oneには、独立した作業エリアとして「スクラッチパッド」が用意されています。トラックのデータに手を加えることなく、スクラッチパッドに複製したデータのみ編集が行なえ、納得が行く結果が得られたらソングに書き戻すことができます。スクラッチパッドは1つのソングの中に複数持つことができるため、異なるアイディアを比較検討するツールとしても使えるなど、とても重宝します。
 

売りの機能②=セクション単位の編集ができる「アレンジトラック」

売りの機能③=曲作りに必要なものが一覧できる「ブラウザ機能」

 

画面右側には、楽曲作りに必要なものを一覧できるブラウザがあります。Studio Oneでは、ここからソフト音源やエフェクト、フレーズ素材などをメイン画面上へとドラッグ&ドロップすることで、ソフト音源のトラックを作成したり、エフェクトをインサートしたり、トラックにフレーズを貼ったりといったことが直感的に行なえます。また、素材を管理する機能も優秀で、条件付けによる並び替えや検索機能を持っているので、手持ちの素材が膨大になってきても、必要とするものに素早くアクセスすることが可能です。
 

売りの機能④=「Melodyne」を機能の一部として呼び出せる

Studio Oneでは、SONARユーザーにもお馴染みのピッチ補正機能「Melodyne」が利用できます。起動方法もSONARと一緒で、あたかもStudio Oneの機能の一部のように扱えます(この機能は、セレモニー社とプリソーナス社により共同開発されたものです)。オーディオトラック上で右クリックをしてMelodyneを呼び出すと波形が読み込まれ、自動的にピッチなどを解析した状態で、下部のエリアにエディタ画面が開きます。あとは、マウスで音程などの修正を行なえばOKです。

売りの機能⑤=専用ソフトに匹敵する高度なマスタリング機能

Studio One Professionalには、マスタリングモードが用意されています。注目すべきなのは、他のDAWソフトのように、たんにマスタリング向きのエフェクトが用意されているだけでなく、専用ソフトと同等の機能が内蔵されている点です。しかも、通常の楽曲制作を行なう「ソングモード」とリンクしており、2ミックスのファイルを用意しなくても、いつでもプロジェクトにソングを追加しながらマスタリングを進めることができます。
なお、CDマスタリングの標準形式であるDDPファイルの読み書きにも対応しています。

売りの機能⑥=エフェクトなどの魅力的なプラグインが付属

Studio One Professionalには、マスタリングモードが用意されています。注目すべきなのは、他のDAWソフトのように、たんにマスタリング向きのエフェクトが用意されているだけでなく、専用ソフトと同等の機能が内蔵されている点です。しかも、通常の楽曲制作を行なう「ソングモード」とリンクしており、2ミックスのファイルを用意しなくても、いつでもプロジェクトにソングを追加しながらマスタリングを進めることができます。
なお、CDマスタリングの標準形式であるDDPファイルの読み書きにも対応しています。

充実した付属のプラグインエフェクトも魅力です。EQやダイナミクス系、歪み系やアンプシミュレーター、揺らし系や空間系などの主要なエフェクトが網羅されており、それらのデザインや操作性に統一感があるので、非常に扱いやすいのが特徴です。ソフト音源に関しては、汎用性の高い音色を網羅しているサンプラーや個性的なシンセなどが入っており、Studio Oneだけでもバックトラック制作を行なうことができます。

SONAR特有の機能と共通の機能も搭載!

SONARの「AudioSnap」のように、オーディオイベントのトランジェントを検出し、それを基準にクオンタイズやストレッチを行なえるので、オーディオのタイミング補正も容易です。その他、トラックやイベントのバウンス、オーディオ素材のテンポ同期(グルーブクリップ化)のような処理も、手順こそ異なるものの同様の結果が得られます。

編集操作については、SONARの「スマートツール」的な多機能ツールがあり、その他の機能についてもトラックフォルダやトラックの表示/非表示の切り替え、ショートカットキーのユーザー定義といった使い勝手の部分から、アルペジエーターなどの機能面も含めて、多くの部分でSONARのノウハウが応用できます。


インターネットABILITY 2.5
ABILITY 2.0 Pro 通常版:パッケージ¥54,000/ダウンロード¥36,000 ABILITY 2.0 Pro クロスアップグレード版:パッケージ¥33,000/ダウンロード¥28,000 ABILITY 2.0 Elements 通常版:パッケージ¥30,000/ダウンロード¥22,500 ABILITY 2.0 Elements クロスアップグレード版:¥22,000/ダウンロード¥9,800 ※2.0ご購入後、無償で2.5へアップグレードされます。(¥59,000前後)
問:㈱インターネット
TEL:06-6309-1002
http://www.ssw.co.jp/

優れたアレンジ機能を有し、多彩な打ち込み方法に対応

「ABILITY」は、人気の音楽制作ソフト「Singer Song Writer」の機能を、さらに発展させた国産のDAWソフトです。コードに歌メロを付けてくれたり、録音した歌メロをMIDI変換してくれるといった、豊富な作曲支援機能を有しており、初心者でも簡単にオリジナル楽曲を作れてしまうのが最大の売りです。

国産のDAWソフトとして高い信頼を勝ち得ている「ABILITY」は、他の海外製DAWソフトと比較して、オーディオのレコーディングとMIDIの打ち込みの比率で考えると、やや後者側に寄ったスタンスを持っています。なので、DAWソフトをDTM用のシンセ演奏ツールとして活用したい人には、特に向いています。

定番のピアノロール入力に加えて、国産伝統の数値入力や、初心者にも馴染みやすいスコア入力など、入力方法の選択肢が多く、バックトラックをパソコン上で作成したい人に対しては抜群の使い勝手の良さを誇ります。さらに、本ソフトはアレンジ機能をはじめとする作曲支援機能が多数用意されているのも特徴です。

また、VOCALOID製品を多数リリースしている同社らしく、入力用ソフトの「VOCALOID Editor」をReWire接続してABILITYと同期再生できる、専用のプラグインが用意されている点にも注目です。ボーカロイドを使ってみたいという人は、ABILITYを使えば、ボカロのトラックとバックトラックを同時進行で作れるというメリットがあります。

一方、オーディオ関連では、64ビット対応のオーディオエンジンや、最高24ビット/192kHzのオーディオループの再生にも対応したトラックを有するという基本スペックもさることながら、同社の波形編集ソフトである「Sound it!」相当の機能を内蔵している点も実に強力です。トラック上の非破壊編集だけでなく、波形を直接書き換えることも可能なので、トラックの修正からサウンドメイクまで、一歩踏み込んだエディットを行なうことができます。

プラグイン関連も同社製の豊富なエフェクト群やLinPlug製のソフト音源に加えて、ソノックス製の高品位なエフェクト群やfxパンションBFD Eco、さらにはネイティブ・インストゥルメンツのKOMPLETE ELEMENTSなど、強力なサードパーティ製の人気プラグインが付属している点も魅力です(平沢栄司)。

【動作環境】
●対応OS:Windows 10、8.1、 7(すべて64ビットと32ビットネイティブ対応、日本語版OSのみ対応)
●CPU:Intel/AMDデュアルコアプロセッサー以上
●メモリ:4GB以上
●ディスプレイ解像度:1280×800ドット以上、フルカラー
●ハードディスク空き容量:ABILITY Pro=24GB以上、ABILITY:3GB以上

売りの機能①=多彩なMIDIの入力方法を選択できる

ピアノロールエディタは、他のソフト同様に棒状のノートを描き込むスタイルですが、パレットから音符の長さを選んで貼ることもできます。スコア入力機能も付いており、ほぼ楽譜の見た目通りに入力できるため、既存曲のスコアを参考にした打ち込みもスムーズに行なえます。そして特筆すべきなのは、どちらのエディタも右側に数値入力エディタが開く点です。ピアノロールやスコア入力では微調整しにくいところも、数値入力でサッと修正することができます。

売りの機能②=譜面ソフト的にも使える高度なスコア作成機能

ABILITYには、スコアの印刷機能も用意されています。基本的には、スコア入力をしたトラックを印字する形ではありますが、もともとスコア表記に必要な各種記号などが用意されているため、打ち込みの段階からスコアの体裁を整えることができ、さらに音符のサイズや段の間隔などのレイアウト調整も可能なので、専用の譜面ソフトと比較しても、スコアを作成する際に不足に感じることはありません。

売りの機能③=手軽にループが作れる「フレーズトラック」

ABILITYはオーディオループも扱えますが、打ち込み派の人にオススメなのが、MIDIトラックに用意された「フレーズトラック」と呼ぶサブのトラックです。通常のMIDIトラックとは異なり、MIDIフレーズ集から貼ったり、自分で打ち込んだフレーズを手軽にループ化することができます。ループ区間はコードトラックで設定したコード進行に合わせてトランスポーズされるので、反復の多いベースラインやシーケンスフレーズを素早く完成させることができます。
また、専用のフレーズエディタ画面を開けば、ループ区間の任意の部分のみをエディットすることも可能です。

売りの機能④=ハモリも作れるピッチ補正機能「ボーカルエディタ」

ABILITYには、自社製のピッチ補正機能として「ボーカルエディタ」が搭載されています。ピアノロールを模した画面でMIDIのノート操作のようにピッチのエディットができるなど、操作性に優れています。また、元のフレーズから最大3声分のハモリパートを自動作成するハーモナイズ機能も搭載。ABILITYのコードトラックに入力されたコード進行などの情報を参考にしつつ、3度のハモリなどを元のトラックから作成して一緒に再生したり、別のオーディオトラックに書き出すことが可能です。

売りの機能⑤=コード進行からサクッと伴奏を作れるアレンジ機能

アレンジ機能とは、様々なジャンルの伴奏アレンジのデータを元に、ドラッグ&ドロップで5パート分のバックトラックを作成できる機能です。イントロやAメロ、サビなど1曲分の展開が用意されており、任意のパートのみを利用したり、異なるアレンジデータと組み合わせることも可能です。あらかじめ指定されているコード進行だけでなく、コードトラックで指定したコード進行に合わせて自動的にトランスポーズされるので、自分のメロディに合った伴奏が作れます。

売りの機能⑥=入力から出力までの流れがひと目で把握できる

ギターや歌の録音で重宝するのが、「オーディオ・ミキサーインスペクター」です。DAWソフトの場合、インプットからトラックへの信号の流れが見えにくいため、不慣れな人だとルーティングやエフェクトを使った音作りで悩むこともあります。このインスペクターは、インプット、かけ録り用のエフェクト、トラックのプリエフェクト、フェーダー、トラックのポストエフェクト、センドエフェクト、そしてアウトプットに至るまで、左から右へ向かって1つの画面で信号の流れが把握できます。

SONAR特有の機能と共通の機能も搭載!

SONARの特徴のひとつであるクリップ単位のエフェクト処理やオートメーションについては、「ウェーブエディタ」を開いて波形を編集することで同様の結果を得ることが可能です。クリップのループ処理についても、フレーズトラックやオーディオトラック上の編集で、ある程度までカバーできます。

一方、「AudioSnap」のようなオーディオの直接的なクオンタイズ機能は持っていませんが、ビートエディタを利用することで生演奏のタイミングを補正することは可能です。また、打ち込み関連では、ABILITYにもステップシーケンサーが用意されていて、SONARの同機能とインターフェイスも近いため、ドラムの打ち込みなどで多用していた人は重宝するでしょう。


※インターネットでは、SONARシリーズ(LEを含む)とMusic Creatorシリーズのユーザーに向けて、「ABILITY 2.0 Proクロスアップグレード版」を最大46%オフの特別価格で購入できるキャンペーンを2月28日まで実施している。また、抽選でコルグのMIDIキーボード microKEY2-37AIRをプレゼントされるという。詳しくは、http://www.ssw.co.jp/ap2sonar/まで。


イメージライン・ソフトウェアFL STUDIO 12
SIGNATURE BUNDLE:¥31,000 クロスグレード版:¥19,000
問:㈱フックアップ
TEL:03-6240-1213
http://www.hookup.co.jp

EDMなどのダンスミュージック系の制作に最適な機能が満載

ベルギーのイメージライン・ソフトウェア社が開発した「FL STUDIO」 は、エレクトロなどのダンスミュージックの制作に向いている機能を満載した、最先端のDAWソフトです。シーケンサー、シンセ、エフェクト、サンプラー、ミキサーなど、楽曲制作に必要なツールがすべて集約されているのが特徴です。

FL STUDIOは、豊富なシンセ音源とプラグインエフェクトの他、楽曲制作に大変便利なシーケンサーやサンプラー、ミキサーなどを装備したDAWソフトで、EDMなどのエレクトロニックミュージックの制作ツールとして、世界中の多くのアーティストに使用されています。

起動時のメイン画面は左側にブラウザ、その横に選択中のパターンと使用されているシンセ音源を表示するチャンネルラック、右側にオーディオの録音やパターンの演奏順を並べるトラックが並んだプレイリスト、そして画面下部にミキサーが配置されていますが、これらは独立したウインドウになっているため、それぞれの大きさやレイアウトなどをユーザーが使いやすいように自由に変更・配置することが可能です。

また、いかなるスクリーンサイズや解像度のディスプレイでもフィットする伸縮自在の「ベクトリアル・ユーザーインターフェイス」と、マルチタッチ操作に完全対応したミキサーが採用されていますので、マルチタッチ対応のWindows PCなどを使って、快適かつスムーズに作業を行なえるのも大きな特徴と言えます。
本ソフトは、使用するソフト音源を選んでからパターンを作成して、それを演奏順に並べながら1曲を作っていくという制作スタイルなので、パターンシーケンサーにオーディオ編集機能が一体化したソフトと捉えることもできます。それゆえに、パターンを繰り返したり切り替えたりしながら曲を組み立てていくEDMなど、ダンス系ミュージックとの親和性が非常に高いのが特徴です。

なお、本ソフトは「ライフタイム フリーアップグレード」という、永続的に最新版を無償ダウンロードできる権利が購入時に提供されるのも大きな売りとなっています。EDMやテクノなどダンス系の楽曲制作を行なっている人には最適な製品ですので、乗り換えソフトの有力な候補として考えてみてください(文:内藤 朗)。

【動作環境】
●OS:Windows 7以降(32ビット/64ビット) ●CPU:2GHz以上(マルチコアのなるべく速いCPUを推奨)
●HDD:4GB以上 ●RAM:2GB 以上 ●その他:ASIO対応のオーディオインターフェイス、DVD-ROMドライブ、XGA以上の解像度のディスプレイ (SXGA以上を推奨)、インターネット接続環

売りの機能①=シーケンサーとピアノロールの使い分けが容易

左がピアノロールで、右がステップシーケンサー

FL STUDIO 12にはMIDIの入力方法として、ドラムパターンのように発音タイミングを指定して作成するフレーズに最適なステップシーケンサーと、ベースラインやコードリフなど音程感のあるフレーズを入力するのに最適なピアノロールの2つがあります。本ソフトはステップシーケンサーとピアノロールの切り替えが容易に行なえ、入力したノートをダブルクリックすることで詳細な編集も行なえます。

売りの機能②=オートメーションの設定と編集がとても簡単

売りの機能③=用途に応じて選べるオーディオ編集プラグイン

左が「NewTone」で、右が「Edison」

タイムストレッチやピッチ修正などのオーディオ編集を行ないたい場合、FL STUDIOではそれぞれに応じた個々のプラグインエフェクトとして編集ツールが用意されています。リアルタイムにピッチやタイミングなどの修正を行ないたい場合には「Pitcher」を、通常のピッチ修正とタイムストレッチなどを行ないたい場合には「NewTone」を 、オーディオの録音から波形編集までのトータル的な処理を行ないたい場合には「Edison」と、用途に応じて使い分けることができます。

売りの機能④=オーディオ編集ツール「Gross Beat」を装備

この「Gross Beat」は、リピート、スクラッチ、ゲートエフェクトなど、DJパフォーマンスでよく使用されるトリッキーな効果を作れるプラグインエフェクトです。例えば、ドラムのシンプルなループにGross Beatをインサートするだけで、複雑なリズムパターンに変化させることができるなど、使い方次第で思わぬ効果が得られます。プリセットも内蔵されていますが、ユーザーが自由に変化曲線をカスタマイズできます

売りの機能⑤=減算方式のシンセ「Harmless」を装備

FL STUDIOに収録されているシンセ音源は、いずれも個性的なサウンドや操作性を持つものが多いのですが、この「Harmless」も独自のサウンドを作り出すことができます。基本的にはティンバーから出力された波形をフィルターで加工していく減算方式のシンセなのですが、出力する波形の倍音構成にユーザー自身が作成した波形を使うこともできるので、よりキャラの濃いサウンドを作り出せます

売りの機能⑥=フレキシブルにルーティングが行なえるミキサー

FL STUDIOのミキサーは、チャンネルラックからの信号を立ち上げるトラックが99本、エフェクトのセンドリターン用のトラックが4本の合計103本で構成されており、その数が固定となっているのが特徴です。チャンネルラックに追加されているソフトシンセは、99本のどこのトラックにもアサインでき、チャンネルのグループ化やエフェクトのサイドチェインなどのルーティングも容易かつ自由に行なうことができます。

「解説本PDFバンドル」版に注目!

SIGNATURE BUNDLE通常版とクロスグレード版それぞれに、「解説本PDFバンドル」版が用意されています。

これはサウンド・デザイナーの攻略本『FL STUDIO 12攻略BOOK』のPDF版と教則ビデオを収録した、FL STUDIO特製USBメモリがバンドルされているパッケージです。EDMのトラックメイキングのヒントが満載なので、初めてFL STUDIOに触れる人にとっては最適です。価格は、SIGNATURE BUNDLE通常版が¥32,500、クロスグレード版が¥20,500。


アコースティカMixcraft Pro Studio 7
オープンプライス(¥20,000前後)
問:㈱銀座十字屋 ディリゲント事業部
TEL:03-6264-7820
http://www.dirigent.jp

低価格ながらスペックに一切の妥協をしていない驚異のソフト

「Mixcraft Pro Studio 7」は、最大で32ビット/192kHzの録音・再生に対応し、オーディオ、MIDI、動画データをドラッグ&ドロップで簡単に扱うことのできるDAWソフトです。2万円という低価格ながら、音楽制作に必要なツールはすべて含まれているという、非常にコストパフォーマンスに優れているのも特徴です。

「Mixcraft Pro Studio 7」は、アメリカのアコースティカ社が開発しているWindows専用のDAWソフトです。

画面構成や操作性が非常にシンプルなのが特徴で、ドラムやギター、ベースなどの7500を超える豊富なループ素材を内蔵しており、音楽の知識がなくても、それらをトラック上に並べるだけで誰でも曲を作ることができます。

また、オリジナルのサウンドとデザインを忠実に再現したモーグMinimoogやハモンドB3、フェンダーRhodesなどのソフト音源が20種類、スタジオクオリティのEQやコンプ、リバーブ、アンプシミュレーターなどのエフェクトが52種類も用意されており、曲作りやミックスをするうえで十分過ぎるほどのスペックを持っています。

MIDIの打ち込みに関しては、通常のピアノロール以外に、SONARのものと似ているステップシーケンサーも使うことができるので、ドラムの打ち込みなどもスムーズに移行できるでしょう。

注目なのが、バージョン7で新搭載された「パフォーマンスパネル」という機能です。これはオーディオとMIDIのクリップを格子状のパネルに配置してフレキシブルに扱えるというもので、オーディオをストレッチしたり、スライスした曲のクリップをミックスすれば、マッシュアップなどを簡単に作ることができます。オーディオのトリガーやMIDIのループ再生などがすべてリアルタイムに行なえるるので、本ソフトをライブパフォーマンス・ツールとして使うのもありです。

他にも3バンドEQを備えたミキサーや自由度の高いタイミング補正機能を有し、さらに動画編集もできるなど、この低価格が信じられない優れたソフトです(文:永桶喜則/編集部)。

【動作環境】
●対応OS:Windows XP、Vista、10、8、 7、Vista ●CPU:1.5GHz以上(デュアルコアCPU以上を推奨) ●メモリ:1GB以上(2GB以上を推奨) ●その他:DVDドライブ、オーディオインターフェイスが必要

注目機能

①リアルなサウンドでギターをレコーディングできるアンプシミュレーター「Shred Amp Simulator」を内蔵している。
②プロも多用している有名ブランド、アイソトープの「iZotope Mastering Essentials」が用意されているので、クオリティの高いマスタリングを行なうこともできる。
③オーディオクリップとMIDIクリップをリアルタイムで扱うことができ、ミックスやループなど自在にライブパフォーマンスが行なえる「パフォーマンスパネル」。
④MIDI入力は通常のピアノロール以外に、画像のステップシーケンサーでも行なうことができる。なお、スコアでの入力も可能だ。

姉妹機種

ソフト音源やエフェクト数が少ないものの、機能的には「Pro Studio 7」と変わらない「Mixcraft 7」も販売されている(オープンプライス/¥10,000前後)

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