オーディオファンだけでなく、音楽を作る人にも魅力的な製品
録音エンジニアが試す注目のUSB DAC LUXMAN DA-250
録音エンジニアが試す注目のUSB DAC LUXMAN DA-250
2016/02/10
パワードスピーカーGENELEC DPM 8030との組み合わせで聴く音は?
簡単に解説してもらったのち、実際の試聴を行うことに。ハイレゾ音源をMacBookよりAudirvana Plusにて再生。「DA-250」にスタジオでモニタースピーカーとしてよく使われているGENELEC(ジェネレック)「8030BPM」を接続。音源は、レイ・ブラウン・トリオの「Exactly Like You」(192kHz/24bit)、マイケル・ジャクソンの「Wanna Be Startin' Somethin'」(176.4kHz/24bit)、宇多田ヒカル「Automatic」(96kHz/24bit)など、幅広いジャンルの楽曲を使用した。
間瀬:驚きました。素晴らしいです! 聴く前は、もっと気持ちよく聴くことだけのオーディオ寄りの音だろうと思っていました。GENELECのモニタースピーカーならではのカッチリとした音に加えて、空気感のようなものまでしっかり聴こえたのは衝撃的でした。また、このサイズであれだけボリュームを上げてもバランスが破綻せず、ヒステリックな音にならない。これは使えますね。
次に、同一のハイレゾ音源による24bitと32bitの違いを比較試聴。ちなみに「DA-250」は、32bitのハイレゾ音源をダウンコンバートせずに再生することが可能となっている。そこで、TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND(テクノボーイズ・パルクラフト・グリーンファンド)の新曲「打ち寄せられた忘却の残響に」を使い、両者の違いを聴き比べてみた。ちなみに、この楽曲、両者でマスタリングエンジニアが異なっていて、エンジニアの違いによるテイストの差、というのも楽しむことができる。なお、24bit音源のマスタリングはYMOのエンジニアとしてもおなじみの小池光夫、32bit音源は山下達郎など数々のJ-POP作品を手がけた原田光晴が手がけている。
間瀬:全然違いますね。まとまりよくきれいに仕上げた24bitと、音の空間を作り込んだ32bit。それぞれのエンジニアによる音の方向性や意図を、フォーマットによって最大限に表現した印象です。
野村:今、ハイレゾ好きな人たちで盛り上がっているのは、このような聴き比べなんです。自分は32bit、いや自分は24bitの方がいいなどと、自分の好みの音を探っていくことなのです。ヘッドホンで聴き比べるとその違いがより明瞭に現れてきます。
間瀬:レコーディングの現場でも以前、88.2kHzで録音するのか、96kHzで録音するのか、このことによって音の違いが大きく現れることがありましたが、それぐらいの差を感じました。でもこの価格帯で、このような現場レベルの音質の聴き比べができるのは、楽しいですねえ。
エンジニアにとってハイレゾとは?
野村:レコーディング現場で作業をされている立場から、ハイレゾに対して間瀬さんはどのようにお考えになられていますか?
間瀬:今、音の終着点って両極端になってきていますね。ハイレゾのような高音質なフォーマットもあれば、配信による圧縮音源もますます普及してきています。また配信のみで、CD版のリリースをしないアーティストさえいます。このような状況の中で、僕もいろいろな問題に遭遇して、迷いや葛藤があります。
そういった状況のなかで、信頼のおけるサウンドを持つシステムでチェックしたい思いはとても強いです。これはアーティストも現場にいる人間も同じで、そのような良質なサウンドで判断して、作品を完成させたいと思っています。
なので、当然のように、アーティストもハイレゾに対して非常に興味を持っています。できれば、これだけやったことを、このスタジオで聴いている状態で聴いて欲しいよねって、みんな思ってますから。だから、出来上がった音を受け取る側に自信を持って渡したい。それこそ、ここまできちんと作ったんで、これ以降のことは知らないよ!というぐらいに(笑)。
でも、その音をiPhoneやパソコンのスピーカーで判断されても「ちょっと!」って思いますよ(笑)。 かといってみんなが高級オーディオを買えるわけでもなく、また中途半端な製品で「こんなものか」と判断されても困ります。過渡期である今、身近で良質な製品が必要とされていると思いますね。オーディオにしろ、ハイレゾにしろ、業界全体として、若い人たちに関心を向けてもらうことは重要ですからね。
続いて、スピーカーをGENELECからB&W 802Dに変更。アンプもラックスマン製のハイエンドモデルを活用し、モニタースピーカーのサウンドとハイエンドオーディオのサウンドを聴き比べてみることに。ここでは、開発の長妻氏が「DA-250」制作時にリファレンスとして使用していた音源、ダイド「Don't believe in love」、エリー・アーメリング「Sei mir gegrusst, Op.20 No.1 D.741」などを聴いてみる。
長妻:ダイドはそれほど声量があるわけでなく話すように歌う人なので、あまり力んでいるように聴こえてしまっては、ダメなんです。ほぐれたように、そこに佇むように聴こえるよう、音作りのときに気をつけています。
間瀬: ああ、リファレンスにされている意味がわかります。スピーカーのキャラクターはあれども、GENELECから出した音と、B&Wから出した音とを比べて、中域の出方やドラムのスピード感など、違いはさほど感じられませんね。逆にDA-250の素直な音の特性が浮かび上がってきます。こんなコンパクトなシステムでも、音楽の表現の骨格部分が非常にしっかりしていますね。
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