芯のある低域が特徴のモニターコントローラー機能付きインターフェイス
SPL「Creon」をエンジニアの篠崎恭一がレビュー!
SPL「Creon」をエンジニアの篠崎恭一がレビュー!
2017/05/26
「Creon」は、マイクプリやモニターコントローラー、オーディオインターフェイス機能がひとつの筐体にまとめられたモデルだ。高品質なSPLディスクリート・マイクプリアンプと、楽器用のハイインピーダンス・プリアンプを搭載しており、素直でクセのない、ナチュラルなサウンドを実現している。また、iOSデバイスによるレコーディングとモニタリングが手軽に行なえる「USB Class 2.0コンプライアント」という規格に対応しているのもポイントだ。
芯のある低域が特徴のモニターコントローラー機能付きモデル
デザインがポップで、ちょっとシンセっぽい雰囲気もあって親しみが持てますね。全部のボタンにLEDが付いていて、どれがオンになっているのかすぐにわかるので、直感的に操作できる点は親切だと思いました。あと、大きなボリュームツマミも操作感が良かったです。
高音質で定評のあるSPL独自のマイクプリと楽器用のプリアンプを搭載。ファンタム電源とローカットのオン/オフも本体のスイッチで行なうことができる
スイッチで再生するソースを選ぶことができ、スタンドアロンのモニターコントローラーとしても使える。また、再生音を一時的に下げるDIMスイッチも装備
音質的には、歌やアコギを録った感じだと低音が結構スッキリしていて、音作りがしやすかったです。これくらいの価格帯だと、低域がボヤけるモデルもあるのですが、本機は芯のある低域が感じられます。なので、エレキの低音弦をかき鳴らすようなプレイでも、輪郭のある音で録ることができました。ジャンル的には、やはりこのガッツのある低音感を活かして、骨太のロックとかEDM、ダンスミュージック系の制作で本領を発揮するでしょうね。高額製品に比べるとレンジは若干狭いんですが、リファレンスCDを流してみても低域が締まっている印象は同じで、この価格にしてはかなり優秀なモデルだと思います。
それと、接続しているソースをスイッチで瞬時に選べるので、モニターコントローラーとしても使えます。これ1台でDAWで必要な環境が揃うという点も魅力ですね。あと、忘れてはならないのがヘッドホンアウトで、すごく音量に余裕があるんですよ。例えば、DJブースで本機を使った際も、周りの音に負けずに的確にモニタリングができると思います。
それから今回チェックしたモデルの中で、唯一iOSでも使えるのも本機の特徴ですね。自宅ではオーディオインターフェイス/モニターコントローラーとして使い、外ではミキサー的に使うというように、環境を選ばずオールマイティに活用できるモデルです。
SPEC
●サウンドクオリティ:最高24ビット/192kHz ●入出力端子:マイク(XLR)×2、楽器用(標準フォーン)、ラインイン(標準フォーン)×2、アンバランスソースイン(RCA)、バランスソースイン(標準フォーン)、スピーカーアウト(XLR)×2、ヘッドホン、USB ●電源:専用ACアダプター付属 ●外形寸法:260(W)×67(H)×175(D)mm ●重量:2.0kg
まず、各モデルのマイクプリの音質を確かめるために、AKG C3000BとロードM5という2本のコンデンサーマイクを用意して、ボーカルをC3000Bで、アコギのサウンドをM5で収音しました。それと、エレキギターをHi-Z入力に直接入力して演奏もしています。
接続したソースをダイレクトモニタリングにして演奏した状態と、Pro Toolsに録音して再生した音を、ヤマハのMSP7 Studio(スピーカー)、オンキョーIE 02(イヤホン)、ソニーMDR-CD900ST(ヘッドホン)で聴きました。
基本的には素の状態で試聴しましたが、内蔵DSPなどでエフェクトをかけられるモデルではエフェクトの質と、録音済みのソースにリバーブなどの空間系エフェクトをかけてエフェクトのかかり具合も確かめています。さらに、ドナルド・フェイゲンの『ナイト・フライ』、そしてビョークの『メダラ』を再生しての確認も行ないました。
◉チェッカー:篠崎恭一(シノザキ キョウイチ)
サウンドクリエイターやトラックメイカー、レコーディングエンジニア、PAエンジニアとして幅広く活動する傍ら、DAWの豊富な知識を活かし、GRANRODEO、IDOL M@STER、長渕 剛などのマニピュレーターとしても活躍。また、専門学校で後進の指導にも力を入れている。
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